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二章 王様の願い(強制)
第四話 のんびり旅はどこへ
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「準備終わったー?」
ひょこ、なんて扉から顔を出して話しかけてみる。
二人とも、入り口には居ないようで、わたしの声だけが響いた。
そのことにそのことに感動をしみじみと感じる。
はじめの頃は同室だったからなぁ。
ユウヤが合流したころはとても、とっても、みんなも知ってるかもしれないけど!お金がなかったのである。
だから、安く抑えるために、最低限は守られる宿の、同じ部屋で過ごしていた。
『女子1に男子2って、逆ハーレムじゃないっすか!!』
なんてユウヤはずっと言っていた。
まぁ、そんな感じだったから、この大きな部屋で泊まれると考えたら、感動するものでしょ?
ユウヤはこの部屋を『ホテル』、リオネルは『夢のような部屋』と言い表していた。
リオネルは一体、どんな生活してきたのだろうか……。知りたいけど知りたくないよ……!!
そんな思考を断ち切ると、わたしは奥の部屋に向かって、足を進めた。
「準備終わった?」
またまたひょこっと顔を出してみる。リオネルが手紙を飛ばしているところだった。
ちなみに使っている紙は普通のものだが、インクがすごいもので、返事などを書いた紙を二つ折ったところに、魔力がふんだんに込められたインクを使って、送りたい相手の名前を書けば、相手に届くという優れものである。
世間知らずのユウヤはやっぱり知らなかったようで、目をキラキラさせて見ている。
そしてわたしに気づくと
「リーナ!ちょうど終わったところだよ!」
ユウヤはわたしのほうを向くと、にこりとわらってそう言った。
「リオネルはー?」
「ユウヤがやってくれたから終わってるよ。今すぐにでも出れる」
「そう」
リオネルの返事を聞くとわたしはこの後の予定を考え始める。
雑用の経験は伊達じゃない。勇者一行パーティの頃と比べたら、ものすごく頭がまわる。
少しドジも減ってきたんじゃない?!頭もよくなっていたりして……。
「よし行くぞ!!」
そう高々に宣言しながら、荷物を持とうとすると、わたしの荷物がないことに気が付いた。
あれ?おかしいぞ?ユウヤに頼んだ気がするんだけど……。
「あれ、ユウヤ、わたしの荷物は?」
「女性の荷物の準備なんて出来ませんよ!!」
顔をぽっと赤くしてそう叫んだ。
どうやらわたしの準備はしてくれなかったようだ。言ってくれればよかったのに!!
て、ことは……準備終わってないの、わたしだけ!?
わたしは急いで荷物を詰めた。
◇◇◇
「よし行くぞ!!」
気を取り直して、そうまたまた高々に宣言しながら、みんなで出口に向かう。
リオネルの呆れる気配がする。うん、気のせい。
荷物を詰めた、リュックサックのカバンはとても背負いやすい。
ユウヤが六十日かけて装備をそろえるお店で説明して、得たものらしい。リオネルから聞いた。
うん、装備も完璧で、冒険の準備して、旅出るぞ!って感じだったんだけど、目の前にはお高そうな馬車があった。
「ねぇ、のんびりゆっくり旅は、?」
その質問には誰も答えてくれなかった。
ひょこ、なんて扉から顔を出して話しかけてみる。
二人とも、入り口には居ないようで、わたしの声だけが響いた。
そのことにそのことに感動をしみじみと感じる。
はじめの頃は同室だったからなぁ。
ユウヤが合流したころはとても、とっても、みんなも知ってるかもしれないけど!お金がなかったのである。
だから、安く抑えるために、最低限は守られる宿の、同じ部屋で過ごしていた。
『女子1に男子2って、逆ハーレムじゃないっすか!!』
なんてユウヤはずっと言っていた。
まぁ、そんな感じだったから、この大きな部屋で泊まれると考えたら、感動するものでしょ?
ユウヤはこの部屋を『ホテル』、リオネルは『夢のような部屋』と言い表していた。
リオネルは一体、どんな生活してきたのだろうか……。知りたいけど知りたくないよ……!!
そんな思考を断ち切ると、わたしは奥の部屋に向かって、足を進めた。
「準備終わった?」
またまたひょこっと顔を出してみる。リオネルが手紙を飛ばしているところだった。
ちなみに使っている紙は普通のものだが、インクがすごいもので、返事などを書いた紙を二つ折ったところに、魔力がふんだんに込められたインクを使って、送りたい相手の名前を書けば、相手に届くという優れものである。
世間知らずのユウヤはやっぱり知らなかったようで、目をキラキラさせて見ている。
そしてわたしに気づくと
「リーナ!ちょうど終わったところだよ!」
ユウヤはわたしのほうを向くと、にこりとわらってそう言った。
「リオネルはー?」
「ユウヤがやってくれたから終わってるよ。今すぐにでも出れる」
「そう」
リオネルの返事を聞くとわたしはこの後の予定を考え始める。
雑用の経験は伊達じゃない。勇者一行パーティの頃と比べたら、ものすごく頭がまわる。
少しドジも減ってきたんじゃない?!頭もよくなっていたりして……。
「よし行くぞ!!」
そう高々に宣言しながら、荷物を持とうとすると、わたしの荷物がないことに気が付いた。
あれ?おかしいぞ?ユウヤに頼んだ気がするんだけど……。
「あれ、ユウヤ、わたしの荷物は?」
「女性の荷物の準備なんて出来ませんよ!!」
顔をぽっと赤くしてそう叫んだ。
どうやらわたしの準備はしてくれなかったようだ。言ってくれればよかったのに!!
て、ことは……準備終わってないの、わたしだけ!?
わたしは急いで荷物を詰めた。
◇◇◇
「よし行くぞ!!」
気を取り直して、そうまたまた高々に宣言しながら、みんなで出口に向かう。
リオネルの呆れる気配がする。うん、気のせい。
荷物を詰めた、リュックサックのカバンはとても背負いやすい。
ユウヤが六十日かけて装備をそろえるお店で説明して、得たものらしい。リオネルから聞いた。
うん、装備も完璧で、冒険の準備して、旅出るぞ!って感じだったんだけど、目の前にはお高そうな馬車があった。
「ねぇ、のんびりゆっくり旅は、?」
その質問には誰も答えてくれなかった。
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二章に入って三人とも一気に成長しましたが、レオンの落ちぶれっぷりに笑いましたw
続きの執筆も応援しております。
感想、ありがとうございます!
初めは転生系が多い中、転生させないで行こうと考えて書いていたのですが、お金の表現や日本とは名前が違う植物を説明するのが難しすぎて転移者であるユウヤくんが出てきてしまったんですよね……。出す予定の無かったキャラなので、パーティに加えるしかなかったんです。
気まぐれで執筆しておりますので、投稿は遅れるかもしれませんが楽しみにお待ちくださいませ!
応援、ありがとうございます!!!!