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一章 クエストと冒険と旅と仲間と

閑話 とある転移者の転移二日目 午後

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 おなかがすいてくる時間帯になってきましたね。
 どうも、さっきぶりです。上坂裕也カミザカユウヤです。

 鍋にライターに薪が落ちていたため、ぼくはトマトのスープを作っていたのですが……。
 いつのまにかどす黒い魔法を放った女性が傍にいたんですよ!!
 心臓止まったかと思いました。

「えっと、僕の名前は、上坂裕、いや、ユウヤ・カミザカ」

 ――のほうがいいよね

 名前を聞かれたので、外国人風に名乗ってみる。ちょっと、ごもごも言っちゃったけど、きっと大丈夫だろう。

 そっと、彼女を見てみる。
 薄い茶色の髪の毛を一つの三つ編みとして結んでいて、すこしたれ目な緑色の目とあっている。

「ユウヤさんね、わたしはリーナです!」

 そう名乗ったとき、にこーっと笑った顔がとても可愛かった。

 ……モテそうな人だし、陽キャにいそうな人だな……。

 ◇◇◇

 リーナさんと会話をしていたのですが、後ろから走ってくる音が聞こえてきました。
 振り向くと、そこにはイケメンがこちらに向かってくるのが見えました。

 とても透き通るような黒髪!黒い目!!イケメンにイケメンを足したような整った顔立ち!!それはもう、ザ・イケメンだった。

「おまたせ。ユメミル草のほかにも、運よく六つ目の採取物である、回復草亜種かいふくそうあしゅがあったから採取してたんだけど…………彼はどうしたの?」

 ゆめみるそう?夢を見る、草?なにそれおもしろい。

「トメトを調理していた子。ユウヤ・カミザカっていうらしい」
「えっとはじめまして、?」

 急に話を振られてびくびくしながら挨拶する。するとイケメンは質問してきた。

「僕と同じ髪色だね……君も苦労したんじゃないの?」

 日本ではみんな黒髪、黒い目ですけど??

「えっと、?髪色が黒でなにかあるんですか?」
「あぁ、そっか、しらないか」

 なにが?

 内心突っ込んでいくと、黒髪が忌避される理由をイケメンは説明を始めた。

『魔王といっしょの色だから、不吉とされて、忌避されている。それが勇者様からも忌避されて、差別されている理由。』

 イケメンの話を聞いて、僕はそう理解した。
 正直、どうでもいいかなぁ。

「そうなんですか。でも、僕はどうでもいいですよ。忌避されようが、ので何とも思いません」

 僕は思ったことを口にする。

「この世界の人間じゃない?」

 あ!口が滑った!
 僕は焦って言う。

「いえ!なんでもありませんよ!」

 これは隠しておかないといけないことだろう。

「あ、そうだ!おしえてくれたお礼に、この先ほど調理したトメト、?をあげます!」

 話をそらすため、ちょうどいいところにあったトマトスープを手に取る。
 すべて、ちょうどよく落ちていた調味料や鍋を使って調理したスープだ。

「でも、わたしなにもしてないよ!いいの?」
「ここが異世界ファンタジーだということを教えてくれたのでいいんです!!」

 ぼくは無理やりだけど、渡す口実をつくり、イケメンにも渡す。

「いただきます」

 リーナさんは一口飲んだ。

「え、おいしい!」

 僕はその言葉にほっと息を吐く。
 そして、リーナさんの突然すぎる言葉に目を見開いた。

「……ねぇ、ユウヤ。わたしたちのパーティに入らない?」
「え!リーナ!?」
「リオネル、だって彼のことをパーティに入れたら、野宿するときでもこんなにおいしいごはんがたべられるかもしれないんだよ?」
「それは、いいかも、」

 うわぁ、なんか勝手に決まっていってる!?
 でも、異世界で定番のパーティーに入るのは願ったりかなったりだ。僕は思いを口にする。

「なんか知らない間に決まっていってるような気がしますけど……」

 息を吸った。

「僕の能力とか知らないですけれど、僕が貴方達の役に立てるなら、ぜひともパーティーに入れてください!!」
「よし!じゃあ、冒険者ギルドにいって、パーティ追加申請しないと!」

 そう言うと彼はきょとんとした顔になった。

「ぼうけんしゃぎるど……?冒険者、?」

 そっか、パーティーって冒険者だよね……。
 そう思ってイケメンのほうを向くと、黒い笑みを浮かべていた。

「冒険者じゃないのか……それなら一人前の冒険者になれるように剣術から魔法まで教えてあげるよ」
「魔法……魔法!?よろしくお願いします!!」

 魔法!?絶対使いたい!!空飛びたい!!
 僕は土下座をする。
 そこからはなんにも頭に入ってこなかった。

 気づいたら、イケメンにたたき起こされて、鍛錬が始まっていた。

 辛い。もうやめたい。だめですか……?

 ……その間にリーナさんは雑用をやることになったらしい。

 疲労困憊で何にも手がつかない!!魔法を使えるようになるという目標がなかったら僕はもう死んでいたと思う。




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