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一章 クエストと冒険と旅と仲間と

第二話 ファイヤーウルフを討伐

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「森に出たぁぁぁあああ!!」

 わたしはリオネルを引きずって手を引いてわたしたちの出会ったの森に出た。
 眼鏡をかけた女の子もびっくりの速さで森に帰ってきたのだ。

 そういえばこの眼鏡ちゃん、リーシャさんに似てる気がするなぁ~

「ファイヤーウルフってさっきの襲われてたやつ?」
「違うよー!ファイヤーウルフはあれの……退化版?かな」
「退化版、か。うん、分かった」

 ざっざっと二人の足音が聞こえる。
 石で整えられているということはなく、草をただ取っただけの道はちょっと歩きずらい。
 なのでゆっくりと歩いていく。
 すぱすぱ歩いているリオネルはおかしいと思う。同じくらいの身長に、足の長さなのに……!!!!

 解せぬ!解せぬよ!

「そういえば、治癒魔法以外使えないとか言ってたけれど、加護も相手に与えられないの?」
「加護?って与えられるものなの?」
「うん。神によく祈る治癒魔法師は、神の御力おちからの一部を借りて加護を与えられるらしいよ。使い終わったら返さないといけないらしいけど」
「へー!」

 そんな風に話しながら歩いていると目的地が見えてくる。

「ぐああああああああああああああ」

 そしてファイヤーウルフの威嚇の声が聞こえてくる。
 フォイアヴォルフに比べたら怖くない。とてもちっぽけな存在だ。


「……こいつは、水をかけたら消滅するかな?」
「退化版だし、消滅するんじゃないかな?」
「たしかに」

 わたしがそう返すとリオネルは水魔法を出した。
 祈りの言葉もなしに。

 もしかして祈りを捧げるのは回復魔法だけなのかもしれない。

 そしてリオネルはあの時のように腕を犠牲にしてはいなかったけれど、風魔法を使って、ファイヤーウルフを木に激突させると、その瞬間に水をぶっかけていく。

 わたしは邪魔にならないように木陰で座って待つ。治癒魔法以外使えないし。
 加護、どうやってつかうんだろうなぁ

 なんか魔力消費えぐそうだなあ。
 魔力、治癒できないかなぁ?

 物は試し。わたしは魔力を治癒できるか確かめるために杖を持った。
 魔力をほどよく込めていく。
 魔力も癒しの女神さまでいいかなぁ、?

「癒しの女神様!彼のために貴女様の癒しの力の一部を使わせてください!彼の魔力よ、蘇れ」

 その瞬間魔法の杖から青緑色の光が飛び出した。そしてリオネルに降り注いだ。

 わたしの治癒魔法を見ている彼は、この光もわたしだと思い至ったようで、ファイヤーウルフが消滅したのを確認してすぐに、勢いよくわたしの方を向いた。

「え?ポーション飲んでないのに、魔力が回復してるんだけど、リーナなにしたの!?」
「成功だ!!これ、これからも使えるよ!!」

 その反応に、わたしは喜びのあまりそう言いながらリオネルに突っ込んだ。

「ちょっ!?」
「魔力を治癒したいな~って思ったからやってみたら成功したんだ!これを使えば戦闘が楽になる!!」

 大発見だ!!と喜んでリオネルを見ると顔が真っ赤だった。熱でもあるのだろうか。

「どうしたの?熱でもある?」
「い、いや大丈夫だよ」
「ほんとかなぁ……まぁ、戦闘もして疲れてるだろうし、リオネルはとりあえず座ってて!」

 わたしはリオネルをリラックスさせるために準備を始めた。

 その時だった。

「グア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

 フォイアヴォルフのようで、フォイアヴォルフよりも圧のある雄叫びが聞こえた。
 耳がキンキンして痛い。思わず耳を手で覆う。
 そしてそんな耳にリオネルの切羽詰まった叫び声が飛び込んできた。

「リーナ!!!!そこから離れろ!!あれは!!前のフォイアヴォルフあいつよりも強い、フォイアヴォルフあいつの亜種だ!!」

 わたしは目を見開いた。

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