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第2章~2回目の小学生~
第14話Part.2~父と母のペイツ~
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一度家に帰ってペイツに行くための服装に着替えるが、学校や仕事に行ってから家に帰るともう外に出たくない気分になる。
そして「ま、明日でいっか。」で明日に先延ばしすることが昔から多かった。どうしてもやらなければならないと追い詰められている事柄ならなんとか踏ん張るが、別にまだいいかということは今できるのに後回し。そして実はすぐに必要だったとか、急な用事が入ったとかで困り果ててしまう。
そんなことがあってもまた結局楽な方を選んでしまう。その繰り返しだった。
俺の心がこの身体通りの年齢なら面倒などとは毛ほども思わないと絶対に言えるだろうが。
パートナーのペティは贔屓目に見なくても美少女だ。そこまでたくさん話した訳でもないが、性格も心優しくいい子だと思う。
そんな女の子とパーティーに行くのだから今からソワソワして、セバスティアン辺りに「落ち着きが無さすぎますぞ。そのようにしていてはご婦人方に嗤われますぞ。」と嗜められていたことは想像に難くない。
しかし中身は42歳だ。この言葉があればもう説明は不要だろう。
「ファンデン、そろそろ行くのか?」
そろそろペティを迎えに出ようと思ったところで父と母に声を掛けられた。父と母は仲の良い夫婦で、2人で居るときはいつもにこやかなのだが、今日は一段とそう見える。まあ俺の卒業式を見に来ていたのだから、それは当然か。俺は「はい。」と返答すると
「懐かしいですね。私もお父さんと参加したかったんですけど、お父さんたら照れてしまって一緒に行ってくれなかったんですよ?」
「いや、違う。少し歳の差が大きかったからだ……。」
両親の馴れ初めにあまり興味が無かったので聞いたことが無かったのだが、父と母は幼い頃からの知り合いで、そこから結婚したらしい。
母は少し冗談ぽく父に対して彼の卒業時のペイツでパートナーにしてくれなかったことを持ち出す。父は苦笑いしながら歳の差があったからだと訂正する。
父と母の歳の差は5歳。父が卒業するときに母は1年生だ。たしかにこれは誘わない。しかし母はこれに最後まで一緒に行くと言って聞かなかったらしい。昔から母は父一筋だったようで、父が22歳、母が17歳で結婚したようだ。そして今に至る。
ここまで聞かされれば父が母と結婚した理由が気になってしまい、俺は父に母と結婚しよう。結婚したいと決めたのはいつなのかと尋ねてみた。
母もそれは聞いたことが無かったようで、母も一緒になって聞きたがった。父は照れ臭いようで「そろそろフィオーニ家のご令嬢を迎えに行かないと遅刻するぞ。」と言って話を遮ってしまった。
たしかにそれはそうなのだが、何ともうまいことはぐらかされてしまった。しかし母の方は時間がたっぷりあるので「では私には聞かせてもらいますよ?」とニコニコ笑顔のままで父に迫っていた。父がこちらに向けていた眼差しは恨めしそうだった。
俺は父にニヤリとした笑みを向けてから一礼して、ペティを迎えに行くためにフィオーニ家の邸宅に馬車を走らせた。
そして「ま、明日でいっか。」で明日に先延ばしすることが昔から多かった。どうしてもやらなければならないと追い詰められている事柄ならなんとか踏ん張るが、別にまだいいかということは今できるのに後回し。そして実はすぐに必要だったとか、急な用事が入ったとかで困り果ててしまう。
そんなことがあってもまた結局楽な方を選んでしまう。その繰り返しだった。
俺の心がこの身体通りの年齢なら面倒などとは毛ほども思わないと絶対に言えるだろうが。
パートナーのペティは贔屓目に見なくても美少女だ。そこまでたくさん話した訳でもないが、性格も心優しくいい子だと思う。
そんな女の子とパーティーに行くのだから今からソワソワして、セバスティアン辺りに「落ち着きが無さすぎますぞ。そのようにしていてはご婦人方に嗤われますぞ。」と嗜められていたことは想像に難くない。
しかし中身は42歳だ。この言葉があればもう説明は不要だろう。
「ファンデン、そろそろ行くのか?」
そろそろペティを迎えに出ようと思ったところで父と母に声を掛けられた。父と母は仲の良い夫婦で、2人で居るときはいつもにこやかなのだが、今日は一段とそう見える。まあ俺の卒業式を見に来ていたのだから、それは当然か。俺は「はい。」と返答すると
「懐かしいですね。私もお父さんと参加したかったんですけど、お父さんたら照れてしまって一緒に行ってくれなかったんですよ?」
「いや、違う。少し歳の差が大きかったからだ……。」
両親の馴れ初めにあまり興味が無かったので聞いたことが無かったのだが、父と母は幼い頃からの知り合いで、そこから結婚したらしい。
母は少し冗談ぽく父に対して彼の卒業時のペイツでパートナーにしてくれなかったことを持ち出す。父は苦笑いしながら歳の差があったからだと訂正する。
父と母の歳の差は5歳。父が卒業するときに母は1年生だ。たしかにこれは誘わない。しかし母はこれに最後まで一緒に行くと言って聞かなかったらしい。昔から母は父一筋だったようで、父が22歳、母が17歳で結婚したようだ。そして今に至る。
ここまで聞かされれば父が母と結婚した理由が気になってしまい、俺は父に母と結婚しよう。結婚したいと決めたのはいつなのかと尋ねてみた。
母もそれは聞いたことが無かったようで、母も一緒になって聞きたがった。父は照れ臭いようで「そろそろフィオーニ家のご令嬢を迎えに行かないと遅刻するぞ。」と言って話を遮ってしまった。
たしかにそれはそうなのだが、何ともうまいことはぐらかされてしまった。しかし母の方は時間がたっぷりあるので「では私には聞かせてもらいますよ?」とニコニコ笑顔のままで父に迫っていた。父がこちらに向けていた眼差しは恨めしそうだった。
俺は父にニヤリとした笑みを向けてから一礼して、ペティを迎えに行くためにフィオーニ家の邸宅に馬車を走らせた。
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