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第2章~2回目の小学生~
第12話Part.3~俺は何をやってるんだ!~
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俺はここから惨めに逃げ回るのみだった。後ろへ右へ左へ。とにかくゼオンの間合いに入らないところまで。逃げたところで勝利は無い。模擬戦なのだから降参すれば良いのに降参もしない。ただ見苦しいだけだ。
周囲で見ている者たちの表情など見れたものではない。きっと呆れ果てている。そう思っても突っ込めない。
だがいつまでも逃げ切れることは無い。ゼオンの方が間違いなくスタミナもある。次第に剣先が俺の盾を捉え始めてきた。このままでは敗北は時間の問題だった。
俺はゼオンと目が合った気がした。顔の防御のため、鉄仮面を着けているため本当かどうかは分からないがとにかく目が合った気がした。彼の目は来いと言っている気がする。そして飛んでくる攻撃の1つ1つが俺を呼んでいる。
もうその時にはさっき感じた重苦しい威圧感は感じなかった。どうやらゼオンはさっきの俺の行動を見てこれまでだと考えたようだが、どうにかして面目の立つ形にしようとしてくれているようだ。
俺は彼の言うままに打ちかかるほかなかった。彼に教わった型の1つ1つを叩きこんでいく。最早打ち込み稽古とほとんど同じ。俺はできる限りの力で打ち込んだが全てをいなされた。
「お見事。次は受けてもらいますぞ。」
ゼオンは俺に聞こえるぐらいの声でそう言うと、今度は俺に攻撃を仕掛けてきた。こちらは剣を躱す。どうしても避け切れない時は盾でいなしていく。
八百長とも言えるやり取りの後、ゼオンは力を入れて決めに来た。だが俺はこれを拒否した。さっきまで(もうダメだ。)と諦めていたクセに、この予定調和を断固拒否する。やっと開き直れたのかもしれない。
俺はゼオンの剣を弾き返して攻め掛かる。がむしゃらに剣を振り続ける。全てを受け流されたがチャンスが訪れた。
俺はゼオンの上段からの一撃を盾で受けた。そしてその一撃を膝を使って柔らかく受け、そして全身をバネにするような要領で彼の一撃を弾き返した。
さっきまで勝負をつけようとしておいてコレは、ほぼ不意打ちのようで若干汚い気がするが、これくらいでゼオンの不意を突けるのなら俺だってこんなにビビりはしない。
だが若干体勢を崩させることには成功した。俺はそこから盾を突き出して、彼の視界を塞ぐ。今ゼオンから俺の姿はほとんど見えていないだろう。
姿も攻撃の挙動も見えないところから突く。外せばもう俺に為す術はない。俺は渾身の力を込めて放った。
狙いはゼオンの左肩。ここならなるべく隠れたままで攻撃が放てるからだ。そしてゼオンの利き手ではないが、両手で扱う長剣を得物にしているゼオンだ。左肩にダメージを負えば影響が無い筈がない。
まあ彼なら片手でも普通に扱ってきそうだが、それでも全く影響が無いことは無い筈だ。
俺の剣がゼオンの左肩へと伸びていく。後少し、後少し。俺の剣がゼオンの肩を捉えようとしたその時、ゼオンは俺の攻撃をかわしていた。
「お見事でしたが、まだ気配が感じられました。それでは隠した意味がありません。」
ゼオンはそう言って、長剣で俺の盾を弾き飛ばした。そして俺の首筋に剣があった。紛れもない完敗。俺は「参った。」そう言うしかなかった。
周囲で見ている者たちの表情など見れたものではない。きっと呆れ果てている。そう思っても突っ込めない。
だがいつまでも逃げ切れることは無い。ゼオンの方が間違いなくスタミナもある。次第に剣先が俺の盾を捉え始めてきた。このままでは敗北は時間の問題だった。
俺はゼオンと目が合った気がした。顔の防御のため、鉄仮面を着けているため本当かどうかは分からないがとにかく目が合った気がした。彼の目は来いと言っている気がする。そして飛んでくる攻撃の1つ1つが俺を呼んでいる。
もうその時にはさっき感じた重苦しい威圧感は感じなかった。どうやらゼオンはさっきの俺の行動を見てこれまでだと考えたようだが、どうにかして面目の立つ形にしようとしてくれているようだ。
俺は彼の言うままに打ちかかるほかなかった。彼に教わった型の1つ1つを叩きこんでいく。最早打ち込み稽古とほとんど同じ。俺はできる限りの力で打ち込んだが全てをいなされた。
「お見事。次は受けてもらいますぞ。」
ゼオンは俺に聞こえるぐらいの声でそう言うと、今度は俺に攻撃を仕掛けてきた。こちらは剣を躱す。どうしても避け切れない時は盾でいなしていく。
八百長とも言えるやり取りの後、ゼオンは力を入れて決めに来た。だが俺はこれを拒否した。さっきまで(もうダメだ。)と諦めていたクセに、この予定調和を断固拒否する。やっと開き直れたのかもしれない。
俺はゼオンの剣を弾き返して攻め掛かる。がむしゃらに剣を振り続ける。全てを受け流されたがチャンスが訪れた。
俺はゼオンの上段からの一撃を盾で受けた。そしてその一撃を膝を使って柔らかく受け、そして全身をバネにするような要領で彼の一撃を弾き返した。
さっきまで勝負をつけようとしておいてコレは、ほぼ不意打ちのようで若干汚い気がするが、これくらいでゼオンの不意を突けるのなら俺だってこんなにビビりはしない。
だが若干体勢を崩させることには成功した。俺はそこから盾を突き出して、彼の視界を塞ぐ。今ゼオンから俺の姿はほとんど見えていないだろう。
姿も攻撃の挙動も見えないところから突く。外せばもう俺に為す術はない。俺は渾身の力を込めて放った。
狙いはゼオンの左肩。ここならなるべく隠れたままで攻撃が放てるからだ。そしてゼオンの利き手ではないが、両手で扱う長剣を得物にしているゼオンだ。左肩にダメージを負えば影響が無い筈がない。
まあ彼なら片手でも普通に扱ってきそうだが、それでも全く影響が無いことは無い筈だ。
俺の剣がゼオンの左肩へと伸びていく。後少し、後少し。俺の剣がゼオンの肩を捉えようとしたその時、ゼオンは俺の攻撃をかわしていた。
「お見事でしたが、まだ気配が感じられました。それでは隠した意味がありません。」
ゼオンはそう言って、長剣で俺の盾を弾き飛ばした。そして俺の首筋に剣があった。紛れもない完敗。俺は「参った。」そう言うしかなかった。
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