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第2章~2回目の小学生~
第12話Part.2~力の差~
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再び元の間合いにまで戻された俺は再びゼオンを中心にぐるりと回り始める。ゼオンは再び受けに回るようだ。俺は半周ほど回った時バックステップする。そしてそこからサイドステップ。右左右左とステップを踏みつつゼオンとの距離を詰める。
そしてゼオンの長剣の間合いの寸前、左から右にステップを踏むと見せかけて更に左前に踏み込んで一気にゼオンとの距離を詰め、横薙ぎに剣を払った。しかしこんなフェイントに引っかかるゼオンでは無い。彼は俺から見て右側に目を向ける事も無く長剣を斬り上げてきた。
だがそんなことは分かっている。それを分かった上でこちらの方が小回りが利き、剣も軽いので先に剣撃が当たると踏んでいたのだ。「貰った!」俺はそう確信した。だが俺の剣は彼の身体に当たる前に弾き返されてしまった。
凄まじい剣速。2倍の長さはある剣を使っているとは思えないスピードだった。俺の腕に痺れが走る。辛うじて剣は離さなかった。いや、逆か。手を麻痺させられてしまい言うことが利かず、腕を緩めることができなくなっていた。
だが腕を上げることは不可能で俺の右腕はだらりと下がり、木剣を引きずるようになっていた。この状況、今俺の身体がどういった状態か分からないゼオンではない。すぐに追撃に移ってきた。
俺はとにかく逃げるしかない。盾で防ぐことも考えたが、こちらの手まで麻痺させられれば逃げる事もままならなくなる。今、右腕が麻痺している状態ですら右腕が重く邪魔になっている。盾は最後の手段だ。とにかくゼオンと間合いを取って、右腕の回復を待つ。
ゼオンの追撃を躱すが、それは容易では無かった。何発か身体に掠った攻撃もあった。だが数メラーほど経った時、右腕の感覚が戻り始めてきた。手を軽く握り強く握り。右腕を揺さぶりながら確認する。そして腕を少しずつ上げていき本来の構えに戻す。するとゼオンは再びこちらを待ち構える構えを取った。
こうなってしまえば再び俺から前に出なければゼオンに攻撃を加えることができない。だが前に進めない。剣を合わせたのは2回だが、力の差ははっきりと感じさせられた。
一度アバラを折られたとはいえ、ディエゴ相手でもこんな気持ちは感じたことは無かった。魔物討伐の際は父や騎士たちに護られていたし、魔物自体も大した力も持たない者たちだった。
この手合わせだって、ゼオンに勝てないにしてもここまでとは思っていなかった。想像上で手合わせしたゼオンもここまで強くはなかった。少しは攻撃を掠らせる程度はできていた。
所詮今までは自分より弱い相手と闘っていただけなのだと思い知らされた。そして自分より明確に格上の相手となるとこうだ。足が竦んでいる。
ゼオンは俺が怖気づいていることに気づいたのか、迎え撃つ構えを解いてこちらに一歩一歩進む。だが剣は構えておらず無防備だ。しかし俺には彼が何倍も大きく、そして俺にとどめを刺すために重々しく迫っているように見えた。
俺は思わずバックステップして彼との距離を取る。だが身体が強張ってきていることを自身でも感じる。自分の身体が自分の身体ではないように感じた……。
そしてゼオンの長剣の間合いの寸前、左から右にステップを踏むと見せかけて更に左前に踏み込んで一気にゼオンとの距離を詰め、横薙ぎに剣を払った。しかしこんなフェイントに引っかかるゼオンでは無い。彼は俺から見て右側に目を向ける事も無く長剣を斬り上げてきた。
だがそんなことは分かっている。それを分かった上でこちらの方が小回りが利き、剣も軽いので先に剣撃が当たると踏んでいたのだ。「貰った!」俺はそう確信した。だが俺の剣は彼の身体に当たる前に弾き返されてしまった。
凄まじい剣速。2倍の長さはある剣を使っているとは思えないスピードだった。俺の腕に痺れが走る。辛うじて剣は離さなかった。いや、逆か。手を麻痺させられてしまい言うことが利かず、腕を緩めることができなくなっていた。
だが腕を上げることは不可能で俺の右腕はだらりと下がり、木剣を引きずるようになっていた。この状況、今俺の身体がどういった状態か分からないゼオンではない。すぐに追撃に移ってきた。
俺はとにかく逃げるしかない。盾で防ぐことも考えたが、こちらの手まで麻痺させられれば逃げる事もままならなくなる。今、右腕が麻痺している状態ですら右腕が重く邪魔になっている。盾は最後の手段だ。とにかくゼオンと間合いを取って、右腕の回復を待つ。
ゼオンの追撃を躱すが、それは容易では無かった。何発か身体に掠った攻撃もあった。だが数メラーほど経った時、右腕の感覚が戻り始めてきた。手を軽く握り強く握り。右腕を揺さぶりながら確認する。そして腕を少しずつ上げていき本来の構えに戻す。するとゼオンは再びこちらを待ち構える構えを取った。
こうなってしまえば再び俺から前に出なければゼオンに攻撃を加えることができない。だが前に進めない。剣を合わせたのは2回だが、力の差ははっきりと感じさせられた。
一度アバラを折られたとはいえ、ディエゴ相手でもこんな気持ちは感じたことは無かった。魔物討伐の際は父や騎士たちに護られていたし、魔物自体も大した力も持たない者たちだった。
この手合わせだって、ゼオンに勝てないにしてもここまでとは思っていなかった。想像上で手合わせしたゼオンもここまで強くはなかった。少しは攻撃を掠らせる程度はできていた。
所詮今までは自分より弱い相手と闘っていただけなのだと思い知らされた。そして自分より明確に格上の相手となるとこうだ。足が竦んでいる。
ゼオンは俺が怖気づいていることに気づいたのか、迎え撃つ構えを解いてこちらに一歩一歩進む。だが剣は構えておらず無防備だ。しかし俺には彼が何倍も大きく、そして俺にとどめを刺すために重々しく迫っているように見えた。
俺は思わずバックステップして彼との距離を取る。だが身体が強張ってきていることを自身でも感じる。自分の身体が自分の身体ではないように感じた……。
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