異世界チート(初等部編)~底辺で怠惰な俺が能力チート貰って転生してもやる気ないのは変わんない。でもみんな無駄に俺を頼ってくる件

三浦ウィリアム

文字の大きさ
上 下
76 / 101
第2章~2回目の小学生~

第12話~ロートリース騎士団長・ゼオン・アーヴィナー~

しおりを挟む
 ゼオンとの手合わせの日、俺は久々に心躍っていた。彼と出会ってからもう10年近く経つが、未だに手合わせしたことが無く、騎士たちから聞く彼は桁外れに強いという話と、共に魔物討伐に出た時に見る彼の動き、そして彼自身の鍛練ぐらいでしか知りえなかった。
 だが家中の騎士も父も手放しで認めたゼオンが遂に手合わせをしてくれる。遂に彼に一人前と認められたような気がしたからだ。

 俺は今回、片手剣と盾の装備で挑む。ゼオンは長剣を扱う為間合いでは最初から勝負にはならない。大剣という手もあるが、隙が大きすぎておそらく彼を捉えることはできない。
 それならば間合いは短くとも防御用の装備を持って迎え撃った方がよいと思った。それでも不利であることは変わらないだろうが。

 俺とゼオンの立ち合いはもう家中に知られているようで、家中の騎士のほとんどは見に来ており、なんと父まで見に来ている。
 朝言われたが、今日はわざわざ仕事を早く終わるように調整して見に来たようだ。少し恥ずかしい気がするがうれしかった。

「ではファンデン様、始めましょうか。」
「ああ。手加減は無用だ。行くぞ!」

 武器と防具を着けて立ち合う。俺は低い体勢を取ってなるべく盾の防御範囲内に身体を納めながらゼオンの周りをゆっくりと回り始める。ゼオンはこちらに合わせてその場から動かずに回り、いつでも俺の攻撃に対応できるよう待ち構えている。

 しばらくぐるりと回ってはみたがさすがに隙が見当たらない。少しずつフェイントを織り交ぜて牽制を入れてみたが全く引っかかる気配がないし、彼が焦れる気配もない。
 静かな立ち上がりに観戦している父たちは黙って見守っている。

 さてどうしたものかと思ったところで、ゼオンが初めて足を前に踏み出して俺の左半身への横薙ぎのモーションを起こした。もう既に間合いに入っている。俺は後ろに逃げた。だがこれは完全にフェイントだった。情けないことにこちらが先にフェイントに引っかかってしまった。
 ゼオンは全く逆の方向から剣を振る。右半身は盾を持っていない方だ。拙い!咄嗟に俺は盾で右半身を防ぐ。なんとか間に合ったが、そのまま彼の長剣に身体を浮かされた。
 だがゼオンの攻撃は止まらない。ゼオンは剣を振り切らず、その位置から左手一本で突きを放ってきた。俺は咄嗟に剣を身体の右側に薙ぎ払って、ゼオンの突きの軌道を無理矢理逸らした。片手の突きだったのでまだ威力が低く比較的容易に逸らすことができた。

 俺は突きで若干前に身体が突っ込んでいるゼオンに向かって突っ込む。小回りならこちらの方が利く。俺は横薙ぎに剣を振ろうとしたが、ゼオンの右肘が飛んできた。鎧を着こんだ腕を縦に振って、右ひじを叩きつけてきた。
 俺は盾で彼の右肘を防ぐ。片手の突きはこちらが突っ込んできた際に迎撃するために使える腕を残していたのだ。この肘の攻撃で弾き返されて再び元の間合いにまで戻された。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双

さこゼロ
ファンタジー
突然、異世界に転生召喚された4人の少年少女たち。儀式を行った者たちに言われるがまま、手に持っていたスマホのアプリを起動させる。 ある者は聖騎士の剣と盾、 ある者は聖女のローブ、 それぞれのスマホからアイテムが出現する。 そんな中、ひとりの少年のスマホには、画面にカメラアプリが起動しただけ。 ハズレ者として追放されたこの少年は、これからどうなるのでしょうか… if分岐の続編として、 「帰還した勇者を護るため、今度は私が転移します!」を公開しています(^^)

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...