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第2章~2回目の小学生~
第10話Part.9~この結果は当然のものです~
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『1セコン=1秒』
シェーベリー戦闘大学校の入学試験を終えてから結果が来るまで大体1~2ヵ月ほどの時間がかかる。合否の書類は職員が直接届けに来るらしく、その移動時間もあるため人によって差があるらしい。
元居た世界なら、俺が受験した頃はそうでもなかったが最近ではネットで見れる学校も数多かったが、ここではそうもいかない。
わざわざ職員が届けに来るのは、昔補欠合格を狙った受験生の貴族が伝書鳩や配達人を襲撃して、合格者に結果が届けさせず何人かの辞退者を出させようとしたことがあったようで、それを防ぐためにそれなりに腕の立つ職員と冒険者が出向いているようだ。
この話をセバスティアンから聞かされた時は大いに笑った。やってることが脳筋すぎるだろうと思ったが、そういう方法を取るくらいしか無く厳正に行われ、不正を行う隙がないということなのだろうとそう思うことにした。
合否を待つ間はいつも通り学校に通い、鍛練と勉強の日々だ。1つの山場は越えたとはいえ、あくまでもシェーベリー戦闘大学校に入るのは通過点に過ぎないのでそれで鍛練と勉強が軽くなる事などあるわけがなかった。
そんな日々を過ごしていたある日、俺が学校から帰ってくるとセバスティアンから遂に合否が届いたと言われた。だがまだ誰も中は見ていないようだ。
発表は今日のディナー。その時には父も家に戻っているし、その時皆の前で発表しようということなのだろう。これで合格してなかったらディナーの空気がヒエヒエになるのは間違いない。
当然ディナーまでは勉強と鍛練。その度に結果が届いたことに関する話が最初に出る。その誰もが俺の合格を疑っていないようだ。まあ家庭教師たちからそう言われると少し自信にはなる。
俺の勉強や戦闘に関して指導し、見守って来てくれていた人たちだ。おべっかではなければ指導者としての立場からも言ってるのだから。
そしてディナーの時間になった。俺と両親、そして兄弟たちが勢ぞろい。更にはゼオンやモリーン、家庭教師の先生たちと言った俺の指導をしていたものたちも控えている。
今、これまでの指導の結果がとりあえず形として分かるのだ。先生たちも神妙な顔をしている。
「それでは私めから合否の発表をさせていただきます。」
執事長のセバスティアンが合否が書かれた羊皮紙を持っている。セバスティアンは中の羊皮紙を見る。彼の表情から合否どちらかは読み取れない。
「ファンデン・ロートリース様の結果は。」
とセバスティアンが読み上げる。しかしここまで読み上げて何故かタメをつけ始める。この爺さん、ワザとやっているのか天然なのか分からないが無駄に不安にさせてくる。まあさすがにどっかの爺さんのように顔芸付きでタメは作らないのだが。
部屋全体が沈黙する。さっきから神妙な顔だった先生たちは更に神妙な顔になるし、父は威厳のある表情をしながらもチラチラとセバスティアンを見ている。幼い弟妹は何が起きているのか分からずポカンとした顔をしている。
誰か「いや、早う言えや!」とでもツッコんでくれればと思ったが、もうこの場はセバスティアンが何か言わないともう何も言えない雰囲気になっていた。
「合格でございます。おめでとうございますファンデン様。」
やっと結果を言ったセバスティアン。時間にして10数セコンくらいのタメだったが、もっと長く感じた。皆もやっと言ったかというような感じで少し弛緩した空気が流れた。
「兄上!おめでとうございます!」
弟のノースデンが祝福の言葉を言うと、少し気が抜けて祝福の言葉を言っていなかった大人たちが口々に「おめでとうございます!」と続いた。
何か妙な合格発表だったが、ともかく俺はシェーベリー戦闘大学校に通う権利を得たというわけだ。まあ感触から言えば落ちるはずはないというくらいの感触だったし、当然の結果といったところだろう。
「順位も書いてあります。国語が5位、数学が3位、魔術学が2位、社会学が4位、地理が2位で全体で4位。実技は両方1位となっております。」
羊皮紙には試験の順位まで通知してくれているらしい。勉強の方は全部1番はとれなかったようだが五指には入ったようだ。実技は1番。まあこっちは当然だと思う。
「よし!息子ファンデンの合格を祝して今日は大いに飲もうではないか!」
父も試験前や試験後の合格発表前は合格して当然というような反応だったが、合格が確定したときはやはりうれしいようで、俺を指導した先生たちにうれしそうに酒を注いで回り、グラス同士をコツンと当てては酒を飲んでいた。
普段酒を飲むところをあまり見ない母も今日は飲んでいた。グラスがたくさんある。しかし母の顔はいつもと同じニコニコとしている。顔も赤くなってすらない。多分さっきから騒いでいる父より飲んでる。どうやら母はとんでもない酒豪のようだ。
だがどうやら今日はディナー後の勉強は無さそうだ。もう先生が父に酔い潰されていた……と思っていたのだが、自習させられた。
しかもいつもの勉強より多い。(これなら先生から授業受けた方がマシじゃないか)と思いながら夜遅くまで勉強する羽目になってしまった。
シェーベリー戦闘大学校の入学試験を終えてから結果が来るまで大体1~2ヵ月ほどの時間がかかる。合否の書類は職員が直接届けに来るらしく、その移動時間もあるため人によって差があるらしい。
元居た世界なら、俺が受験した頃はそうでもなかったが最近ではネットで見れる学校も数多かったが、ここではそうもいかない。
わざわざ職員が届けに来るのは、昔補欠合格を狙った受験生の貴族が伝書鳩や配達人を襲撃して、合格者に結果が届けさせず何人かの辞退者を出させようとしたことがあったようで、それを防ぐためにそれなりに腕の立つ職員と冒険者が出向いているようだ。
この話をセバスティアンから聞かされた時は大いに笑った。やってることが脳筋すぎるだろうと思ったが、そういう方法を取るくらいしか無く厳正に行われ、不正を行う隙がないということなのだろうとそう思うことにした。
合否を待つ間はいつも通り学校に通い、鍛練と勉強の日々だ。1つの山場は越えたとはいえ、あくまでもシェーベリー戦闘大学校に入るのは通過点に過ぎないのでそれで鍛練と勉強が軽くなる事などあるわけがなかった。
そんな日々を過ごしていたある日、俺が学校から帰ってくるとセバスティアンから遂に合否が届いたと言われた。だがまだ誰も中は見ていないようだ。
発表は今日のディナー。その時には父も家に戻っているし、その時皆の前で発表しようということなのだろう。これで合格してなかったらディナーの空気がヒエヒエになるのは間違いない。
当然ディナーまでは勉強と鍛練。その度に結果が届いたことに関する話が最初に出る。その誰もが俺の合格を疑っていないようだ。まあ家庭教師たちからそう言われると少し自信にはなる。
俺の勉強や戦闘に関して指導し、見守って来てくれていた人たちだ。おべっかではなければ指導者としての立場からも言ってるのだから。
そしてディナーの時間になった。俺と両親、そして兄弟たちが勢ぞろい。更にはゼオンやモリーン、家庭教師の先生たちと言った俺の指導をしていたものたちも控えている。
今、これまでの指導の結果がとりあえず形として分かるのだ。先生たちも神妙な顔をしている。
「それでは私めから合否の発表をさせていただきます。」
執事長のセバスティアンが合否が書かれた羊皮紙を持っている。セバスティアンは中の羊皮紙を見る。彼の表情から合否どちらかは読み取れない。
「ファンデン・ロートリース様の結果は。」
とセバスティアンが読み上げる。しかしここまで読み上げて何故かタメをつけ始める。この爺さん、ワザとやっているのか天然なのか分からないが無駄に不安にさせてくる。まあさすがにどっかの爺さんのように顔芸付きでタメは作らないのだが。
部屋全体が沈黙する。さっきから神妙な顔だった先生たちは更に神妙な顔になるし、父は威厳のある表情をしながらもチラチラとセバスティアンを見ている。幼い弟妹は何が起きているのか分からずポカンとした顔をしている。
誰か「いや、早う言えや!」とでもツッコんでくれればと思ったが、もうこの場はセバスティアンが何か言わないともう何も言えない雰囲気になっていた。
「合格でございます。おめでとうございますファンデン様。」
やっと結果を言ったセバスティアン。時間にして10数セコンくらいのタメだったが、もっと長く感じた。皆もやっと言ったかというような感じで少し弛緩した空気が流れた。
「兄上!おめでとうございます!」
弟のノースデンが祝福の言葉を言うと、少し気が抜けて祝福の言葉を言っていなかった大人たちが口々に「おめでとうございます!」と続いた。
何か妙な合格発表だったが、ともかく俺はシェーベリー戦闘大学校に通う権利を得たというわけだ。まあ感触から言えば落ちるはずはないというくらいの感触だったし、当然の結果といったところだろう。
「順位も書いてあります。国語が5位、数学が3位、魔術学が2位、社会学が4位、地理が2位で全体で4位。実技は両方1位となっております。」
羊皮紙には試験の順位まで通知してくれているらしい。勉強の方は全部1番はとれなかったようだが五指には入ったようだ。実技は1番。まあこっちは当然だと思う。
「よし!息子ファンデンの合格を祝して今日は大いに飲もうではないか!」
父も試験前や試験後の合格発表前は合格して当然というような反応だったが、合格が確定したときはやはりうれしいようで、俺を指導した先生たちにうれしそうに酒を注いで回り、グラス同士をコツンと当てては酒を飲んでいた。
普段酒を飲むところをあまり見ない母も今日は飲んでいた。グラスがたくさんある。しかし母の顔はいつもと同じニコニコとしている。顔も赤くなってすらない。多分さっきから騒いでいる父より飲んでる。どうやら母はとんでもない酒豪のようだ。
だがどうやら今日はディナー後の勉強は無さそうだ。もう先生が父に酔い潰されていた……と思っていたのだが、自習させられた。
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