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第2章~2回目の小学生~
第10話Part.4~試験会場にて~
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俺と少女は特に突っ込んだことは聞かれず解放された。先生からは俺とバルフォアがいざこざを起こしている、いや俺からすればバルフォアが勝手にキレているだけなのだが、ともかくその様子は見えなかったようで、少女が突き飛ばされたところに偶然居合わせただけと受け取ってくれたようだ。いや、実際にそうなのだが。
「ありがとう!あたし、リサ・イノーア。よろしくね。」
「俺はファンデン・ロートリースだ。よろしく、イノーアさん。」
「リサでいいって。」
突き飛ばされた少女改め、リサ・イノーアは快活な話し方をする女の子だ。イノーアという名の家には聞き覚えがないので、彼女もどこかの地方貴族の1人かもしれない。
リサは首元ぐらいまでの長さの少々ベージュがかった茶髪で、しっかりとした目鼻立ちと角度の付いた眉が気の強さを感じさせる美人系顔立ち。身長は145センメラーほどでこの歳としては特別大柄でも小柄でもないくらいの身長で細身なのだが胸のふくらみはそこそこあるように見える。
リサの出身地は畜産業で有名なケルメンらしく、貴族では無く平民階級の出身と彼女は語っていた。
俺の通っていたリール・ア・リーフは基本的に貴族や富裕層が通う学校だったが、このシェーベリー戦闘大学校は一応幅広く門戸が開かれており、平民でも成績優秀者には奨学金も出るらしい。
貴族や富裕層はメンツもあってほとんど使わないそうだが、リサのような子からすれば非常にありがたい制度となっている。
「あっ。あたしはあっちの会場だからまたね。」
「ああ。お互い頑張ろう。」
毎年夥しい人数の受験者が同日に試験を受ける為、受験生は何部屋かに分かれて試験を受けることになる。俺とリサは部屋が違うのでちょうど分かれ道になっているところで別れた。
さて俺も行くかとリサとは別の道を進んでいると俺の名前を呼ぶ聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ファンデン!お前どの部屋なんだ?」
「セリオスじゃないか。俺はメイティスの部屋だな。」
「おっ一緒かあ。よっしゃ!行こうぜ!」
俺を呼んでいたのはセリオスだった。彼も俺と同じ部屋で筆記試験を受けることになったようだ。シェーベリー戦闘大学校を受験するのは俺やセリオスだけではなく、近衛騎士を目指すルークや父が著名な騎士であるダニーはもちろん、ヨーゼフやフリオも受験することになっている。他の4人はどうも別の会場みたいだが。
俺とセリオスがメイティスの部屋に入ると、見たくもない顔がそこにはあった。運悪くあの大公家のドラ息子・バルフォアも同じ部屋で筆記試験を受けるようだ。バルフォアもこちらに気づいて敵意むき出しの視線を送ってきたが、試験官も中に居るので絡んでは来なかった。
セリオスもバルフォアの明確な敵意は感じ取ったようで、「アイツと何かあったのか?めちゃくちゃ睨んできてるけど。」と聞いてきた。
俺はアイツのことを教えてやるとセリオスは「フリオが聞いたら泣くぞ。」と猛烈なバルトルメスフリークであるフリオの名前を出す。たしかにそれは想像に難くない。フリオほどのファンではない俺ですらアレには猛烈なショックを覚えたのだ。彼が聞いたらたしかに泣いてしまいそうだ。
「じゃあまた後でな!」
「ああ。お互いの健闘を。」
同じ部屋でも着く席は遠いので俺とセリオスは別れた。お互いの健闘を祈るグータッチをして。
「おいおい田舎じゃ妙な儀式が流行ってるなあ。今にも呪いでも始めそうだぜ!」
と近くから腰巾着の声が聞こえた気がしたが、一々反応するとまたややこしいのでスルーすることにした。スルーすることにしたのだが運悪くこの腰巾着は俺の真後ろの席だった。事あるごとにイヤミを言ってきそうなので非常に憂鬱な気分になった。
「ありがとう!あたし、リサ・イノーア。よろしくね。」
「俺はファンデン・ロートリースだ。よろしく、イノーアさん。」
「リサでいいって。」
突き飛ばされた少女改め、リサ・イノーアは快活な話し方をする女の子だ。イノーアという名の家には聞き覚えがないので、彼女もどこかの地方貴族の1人かもしれない。
リサは首元ぐらいまでの長さの少々ベージュがかった茶髪で、しっかりとした目鼻立ちと角度の付いた眉が気の強さを感じさせる美人系顔立ち。身長は145センメラーほどでこの歳としては特別大柄でも小柄でもないくらいの身長で細身なのだが胸のふくらみはそこそこあるように見える。
リサの出身地は畜産業で有名なケルメンらしく、貴族では無く平民階級の出身と彼女は語っていた。
俺の通っていたリール・ア・リーフは基本的に貴族や富裕層が通う学校だったが、このシェーベリー戦闘大学校は一応幅広く門戸が開かれており、平民でも成績優秀者には奨学金も出るらしい。
貴族や富裕層はメンツもあってほとんど使わないそうだが、リサのような子からすれば非常にありがたい制度となっている。
「あっ。あたしはあっちの会場だからまたね。」
「ああ。お互い頑張ろう。」
毎年夥しい人数の受験者が同日に試験を受ける為、受験生は何部屋かに分かれて試験を受けることになる。俺とリサは部屋が違うのでちょうど分かれ道になっているところで別れた。
さて俺も行くかとリサとは別の道を進んでいると俺の名前を呼ぶ聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ファンデン!お前どの部屋なんだ?」
「セリオスじゃないか。俺はメイティスの部屋だな。」
「おっ一緒かあ。よっしゃ!行こうぜ!」
俺を呼んでいたのはセリオスだった。彼も俺と同じ部屋で筆記試験を受けることになったようだ。シェーベリー戦闘大学校を受験するのは俺やセリオスだけではなく、近衛騎士を目指すルークや父が著名な騎士であるダニーはもちろん、ヨーゼフやフリオも受験することになっている。他の4人はどうも別の会場みたいだが。
俺とセリオスがメイティスの部屋に入ると、見たくもない顔がそこにはあった。運悪くあの大公家のドラ息子・バルフォアも同じ部屋で筆記試験を受けるようだ。バルフォアもこちらに気づいて敵意むき出しの視線を送ってきたが、試験官も中に居るので絡んでは来なかった。
セリオスもバルフォアの明確な敵意は感じ取ったようで、「アイツと何かあったのか?めちゃくちゃ睨んできてるけど。」と聞いてきた。
俺はアイツのことを教えてやるとセリオスは「フリオが聞いたら泣くぞ。」と猛烈なバルトルメスフリークであるフリオの名前を出す。たしかにそれは想像に難くない。フリオほどのファンではない俺ですらアレには猛烈なショックを覚えたのだ。彼が聞いたらたしかに泣いてしまいそうだ。
「じゃあまた後でな!」
「ああ。お互いの健闘を。」
同じ部屋でも着く席は遠いので俺とセリオスは別れた。お互いの健闘を祈るグータッチをして。
「おいおい田舎じゃ妙な儀式が流行ってるなあ。今にも呪いでも始めそうだぜ!」
と近くから腰巾着の声が聞こえた気がしたが、一々反応するとまたややこしいのでスルーすることにした。スルーすることにしたのだが運悪くこの腰巾着は俺の真後ろの席だった。事あるごとにイヤミを言ってきそうなので非常に憂鬱な気分になった。
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