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第2章~2回目の小学生~
第9話~武功貴族・ロートリース家の当主は強くあれ~
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学校に通い始めてからも勉強と鍛錬は1日も欠かさなかった。いや欠かさなかったというよりは欠かすことが物理的に不可能だったと言った方が正確だ。
まだ1年2年くらいの頃なら学校の時間も短めだったのでマシだったが、5年6年となってくると学校の時間も長い上に家での勉強も鍛錬も時間が増す。全てが終わった後はすぐに寝てしまう。
子どもになったのになんか東亜だった頃のブラック企業で働いてるような状態じゃないかと思うが、その頃から寝つきは良くそこは助かっている。大体どんな日でもすぐに寝れるので不眠で更に疲れているということが無いだけまだマシだ。
勉強も鍛錬も自分から積極的に行おうという気はほとんど無いが、常に誰かが側についているというような状態でサボることができなかった。まあ何度か部屋に閉じこもって勉強嫌だとゴネたことがあったので余計に一人になる時間が減った。
今日まずは剣の鍛錬を行う。最近は騎士と剣を打ち合うことが多い。俺はこのロートリース家の嫡男なので騎士たちも遠慮して忖度する……ということは全く無くかなり容赦ない。
ロートリース家も武功貴族ということもあって当主には強さが求められるからだろう。弱いと下手をすれば廃嫡もあり得る。
「行きますぞ。」
ロートリース家中の騎士ナンバー2に当たるディエゴと打ち合うことになった。ゼオンに次ぐ強さだけあって彼は相当強い。
武器はディエゴは片手剣と盾、俺は長剣。兜を被り体中しっかり防具を付けて致命傷は避けられるように剣は木剣。だが斬れないだけで身体に食らえば相当痛い。事実このディエゴに2ヵ月前に打たれてアバラを折られた。彼とはそれ以来の打ち合い稽古だ。
俺はディエゴと向き合い、剣先を前に突き出す構え。間合いは俺の方が長いが懐に入られれば不利になる。まずは彼を懐に入れないように意識を向ける。
そして俺は突きを放つ。だがディエゴはそれを読んでいたようでさっと後ろに避けた。そして再び間合いを戻す。
俺はフェイントを織り交ぜながら攻撃するぞとプレッシャーをかける。ディエゴも中々飛び込むタイミングが無いのか飛び込んでこない。
そちらが来ないなら自分が行く。俺は前に一歩足を強く踏み出しながら突きを放つ。するとディエゴは半身の体勢で剣を正面から受けるのではなく滑らせるように受けて剣の一撃を受け流してきた。
そしてそのままディエゴは懐に飛び込もうとする。彼の瞬発力は凄まじく、低い体勢から突っ込む姿はまるで獣でも相手にしているかのよう。
だが俺だってこの状況を想定していなかったわけがない。俺はこれを迎え撃つ。一瞬でトップスピードに乗ったディエゴから逃げるのは無理。ここは逃げるリソースも攻撃に費やすべきだ。
俺は受け流された剣を引くが引き切らない。そして左手は柄のままだが右手は刀身となる箇所を握って横薙ぎに払う。剣に体重を乗せるように体を完全に左に向けながら振る。ディエゴは俺の左の腹部を狙って来ているので、その地点から身体を逃がす役割にもなる。
しかしこの攻撃をディエゴは読んでいた。盾で自身の左半身を固めていた。俺の剣はディエゴの身体に届かない。だが俺はそのまま前に数歩進む。彼の目から俺の姿が消える。剣に押し込まれて体勢が少し崩れ、更に彼の大きな盾は彼の左側の目線を覆っていたからだ。
俺は死角からディエゴの足を払うように斬り上げた。木剣なので当然離断はされないが、いきなり薙ぎ払われて倒れる。そしてすかさず倒れたディエゴの首筋に剣をピタリとつけて決着がついたことを知らせた。
「ま、参った。」
これにはディエゴも降参するより他なく、俺はアバラ一本の借りを返すことができた。
まだ1年2年くらいの頃なら学校の時間も短めだったのでマシだったが、5年6年となってくると学校の時間も長い上に家での勉強も鍛錬も時間が増す。全てが終わった後はすぐに寝てしまう。
子どもになったのになんか東亜だった頃のブラック企業で働いてるような状態じゃないかと思うが、その頃から寝つきは良くそこは助かっている。大体どんな日でもすぐに寝れるので不眠で更に疲れているということが無いだけまだマシだ。
勉強も鍛錬も自分から積極的に行おうという気はほとんど無いが、常に誰かが側についているというような状態でサボることができなかった。まあ何度か部屋に閉じこもって勉強嫌だとゴネたことがあったので余計に一人になる時間が減った。
今日まずは剣の鍛錬を行う。最近は騎士と剣を打ち合うことが多い。俺はこのロートリース家の嫡男なので騎士たちも遠慮して忖度する……ということは全く無くかなり容赦ない。
ロートリース家も武功貴族ということもあって当主には強さが求められるからだろう。弱いと下手をすれば廃嫡もあり得る。
「行きますぞ。」
ロートリース家中の騎士ナンバー2に当たるディエゴと打ち合うことになった。ゼオンに次ぐ強さだけあって彼は相当強い。
武器はディエゴは片手剣と盾、俺は長剣。兜を被り体中しっかり防具を付けて致命傷は避けられるように剣は木剣。だが斬れないだけで身体に食らえば相当痛い。事実このディエゴに2ヵ月前に打たれてアバラを折られた。彼とはそれ以来の打ち合い稽古だ。
俺はディエゴと向き合い、剣先を前に突き出す構え。間合いは俺の方が長いが懐に入られれば不利になる。まずは彼を懐に入れないように意識を向ける。
そして俺は突きを放つ。だがディエゴはそれを読んでいたようでさっと後ろに避けた。そして再び間合いを戻す。
俺はフェイントを織り交ぜながら攻撃するぞとプレッシャーをかける。ディエゴも中々飛び込むタイミングが無いのか飛び込んでこない。
そちらが来ないなら自分が行く。俺は前に一歩足を強く踏み出しながら突きを放つ。するとディエゴは半身の体勢で剣を正面から受けるのではなく滑らせるように受けて剣の一撃を受け流してきた。
そしてそのままディエゴは懐に飛び込もうとする。彼の瞬発力は凄まじく、低い体勢から突っ込む姿はまるで獣でも相手にしているかのよう。
だが俺だってこの状況を想定していなかったわけがない。俺はこれを迎え撃つ。一瞬でトップスピードに乗ったディエゴから逃げるのは無理。ここは逃げるリソースも攻撃に費やすべきだ。
俺は受け流された剣を引くが引き切らない。そして左手は柄のままだが右手は刀身となる箇所を握って横薙ぎに払う。剣に体重を乗せるように体を完全に左に向けながら振る。ディエゴは俺の左の腹部を狙って来ているので、その地点から身体を逃がす役割にもなる。
しかしこの攻撃をディエゴは読んでいた。盾で自身の左半身を固めていた。俺の剣はディエゴの身体に届かない。だが俺はそのまま前に数歩進む。彼の目から俺の姿が消える。剣に押し込まれて体勢が少し崩れ、更に彼の大きな盾は彼の左側の目線を覆っていたからだ。
俺は死角からディエゴの足を払うように斬り上げた。木剣なので当然離断はされないが、いきなり薙ぎ払われて倒れる。そしてすかさず倒れたディエゴの首筋に剣をピタリとつけて決着がついたことを知らせた。
「ま、参った。」
これにはディエゴも降参するより他なく、俺はアバラ一本の借りを返すことができた。
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