異世界チート(初等部編)~底辺で怠惰な俺が能力チート貰って転生してもやる気ないのは変わんない。でもみんな無駄に俺を頼ってくる件

三浦ウィリアム

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第2章~2回目の小学生~

第8話Part.3~パーティーの始まり~

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パーティーの会場に向かう廊下で向かい側から女子たちが歩いて来ていた。だが主催たるペティは居ない。どうやらペティは先に部屋に入っているようだ。
アメリアとマリアとアリア、そしてヨーゼフたちのグループに居た女子2人と合流する。俺たちは軽く会釈をした後に一緒に会場に入ると今回の主催のペティ・フィオーニその人が出迎える。

中には丸く大きなテーブルが用意されていた。そして今回のパーティーを取り仕切る役割を仰せつかったと思われる初老の男性から席を指し示された。
俺はペティの右隣に案内されて自分の右隣にアメリア。グループごとに半円を描いて1つの円卓を囲むという分け方で、ペティから時計回りに彼女の組の男女が交互に座り、俺たちのグループは俺から反時計回りにやはり男女交互に座った。

「皆様お集まりいただきありがとうございます。2ヵ月間の課外学習お疲れさまでした。今夜はその打ち上げとしてささやかながらパーティーを開催させていただきました。当家の料理人が腕によりをかけた料理を心行くまでお楽しみください。」

ペティが椅子から立って挨拶をする。さすが豪商の娘だけあって、こういった場に慣れているのか非常に堂々としたものだった。そして彼女がグラスを持って、それに合わせて俺たちもグラスを持つ。
グラスの飲み物はさすがにお酒ではないが、グラスに入った赤紫色のこの液体は中々それらしく見える。
ペティの「乾杯。」の言葉で俺たちも同じ言葉を返してグラスを上げてからグイっとこの液体を飲み干す。

この世界では【グレッド】と呼ばれている元の世界でいうところのぶどうから作られたジュースを飲む。甘味料も入っていて甘くて飲みやすいが、こういったものを飲むたびに元の世界で飲んでいたコーラを思い出す。
スマホとかネットとかは無いなら無いで意外と気にならなくなってきたが、毎日絶対行われる食事に関してはふと元の世界の事を思い出してしまう。
この世界に来て10年経ったが今だに舌があの味を覚えている。作り方でも知っていれば作らせるところなのだが、残念ながら覚えていないというか知らない。
炭酸水なら水に二酸化炭素を溶かし込むということくらいは知っているが、どうやって溶かし込むかは知らない。
今のところこの世界にそんなものが存在しているという話は聞いたことが無いので、誰か開発してくれないかなと少しだけ期待している。

ペティの乾杯の挨拶の後にどこからともかく音楽が流れてくる。静かでありながらも華やかな曲で見事な演奏だと思った。だが正直な所細かい違いは分からない。さすがに酷すぎる演奏なら分かるとは思うが、どこが見事かと聞かれればはっきりと答えられる自信はない。

そして次に食事が運ばれてきた。今回は学校の授業の打ち上げパーティーということで格式ばったコース料理ではないようだ。
それでも今となっては慣れたが、東亜としての30年はほとんどテーブルマナーも何もないという食事ばかりだったし、数少ないコース料理を食べた機会は数度くらいあった親戚の結婚式ぐらい。それも身内だけのものなので見苦しくなければ特に問題もないというレベルのものだった。
そんな生活からそれを身につけるのは中々苦労したのを思い出す。覚えが悪く何度か父に頬を平手打ちされたこともあった。
物心がつく前に身についているというパターンならどんなに楽だったかと思うが、残念ながら俺は赤ん坊の頃から意識があったので食事の時間が嫌な時すらあった。いや、今でも少し苦手意識は残っている。

今でも元の世界で食べた牛丼とかカツ丼を思い出す。マナーも何もなくどんぶり飯を掻っ込んで食べたい。牛丼もどきならどうにか作れるかもしれない。さすがに飲食店のクオリティは行かないだろうが。
今は難しいだろうがこの世界で大人になってから少し自由が利くようになってからこっそりやろうと密かに考えている。

パーティーは粛々と進んでいき次はメインディッシュのお出ましとなる。
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