異世界チート(初等部編)~底辺で怠惰な俺が能力チート貰って転生してもやる気ないのは変わんない。でもみんな無駄に俺を頼ってくる件

三浦ウィリアム

文字の大きさ
上 下
51 / 101
第2章~2回目の小学生~

第7話Part.18~本陣へ進め!~

しおりを挟む
ホルトは斬り落とした指揮官の首を乱雑に拾い上げてさっきの魔族の女2人の下へ歩んでいく。
その時の2人はまさに生きた心地がしなかっただろう。指揮官を殺した獣の様な男が首を持ち、指揮官の長剣を引きずってこちらに歩いてきたのだ。

魔族の女は恐怖に涙を流し、片方の女の座っているところは水浸しになっていた。どうやら恐怖のあまり失禁してしまったようだ。
ホルトは指揮官の首を魔族の女にずいと押し出しながら

「お前たちの大将に伝えろ。次はお前がこうなる番だ。俺はただの兵卒、俺程度なら後ろにいくらでもいるぞ。死にたくなければさっさと魔界に帰れと。」

ホルトは事実と嘘を折り交えながら脅しつけた。そのようなことをしなくても状況的に撤退しそうではあったが、もしまだ戦うつもりなら重要な拠点を任されて相当強かったであろうこの指揮官を倒せる者がこちらにはゴロゴロ居ると思わせて士気を下げさせようと狙った。
この2人は実際に指揮官が倒されるのを見ており、更に怯え切って正常な判断もつかなさそうなのでメッセンジャーにするには最適だと考えたのだ。

そしてその時ちょうど、傀儡から解放されたオーガを撤退させたバルトルメスの部隊が続々とこちらに集まってきた。
ホルトの言った通りならこの面々一人一人が指揮官を倒せる獣の様な人間である。
言うことを聞かなければ自分達はどうなってしまうのかと彼女らは自分の考えうる限りの苦痛を思い浮かべたのか、恐怖のあまり歯をカチカチと鳴らしながら震えていた。
だが相手の言うことを聞けばとりあえずはこの場からは逃がしてもらえるという事実に、魔族の女2人はコクコクと首を痙攣させるかのように速く動かして了解の返事を返した。
そしてホルトに言われた通り指揮官の首を持って本陣へと走って逃げていった。

「アレは?」
「オーガ部隊の指揮官の首を脅し文句と一緒に本陣へ持って行かせました。」
「勝手な事を……。まあいい、カリム!奴等を隠れて追え。」
「ハッ。」

少し前にホルトの身体を回復させてくれたヴァンという女性が、逃げた魔族の女たちを見て尋ねた。そしてホルトは自身の行動を説明すると、勝手な事をするなとは言いつつもホルトの意図は察したようで、更に斥候部隊を率いるカリムという男にあの2人を追うことを指示した。本陣の正確な場所や罠等の有無などを調べるためだ。

その斥候が戻ってくるまでの間、ホルトはまたヴァンに傷を治してもらっていた。さっきまで着ていたはずの鎧は砕けて無くなっており、更に服も血まみれともなれば誰でも傷を負ったことは分かり、彼女に服を脱がされて傷を見られた。
だが傷自体はアーシュレの回復薬で塞がっており彼女を驚愕させた。
アーシュレの回復薬によるものだと説明すると

「そんなものが……興味深いな。」
「…………触るのはやめてください。」
「内臓のダメージは残っているようだな。」

ペタペタと無造作に身体に触ってくるヴァンにはさすがに困惑したようで、やめてくれと言うがヴァンも回復魔術のエキスパートだけあって、内臓に戦闘のダメージが残っていることを指摘された。
再びヴァンに手をかざされて回復魔術をかけてもらい、これで再び全快した。

「ありがとうございます。」
「いや。しかしよく動けたものだな。今回復した分でも最早立っていられない程のケガだったぞ。」

ヴァンはホルトが回復しきるまで魔術をかけてくれたのだが、時間がかなりかかったことで彼女の経験上これだけ時間のかかるものだと普通は立っていられないと呆れられた。

それから少ししてカリムとその部隊が帰還して、本陣の場所と罠や伏兵は特にないことが分かり、バルトルメスの部隊は本陣に向かって再び進むことになった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

処理中です...