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第2章~2回目の小学生~
第7話Part.18~本陣へ進め!~
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ホルトは斬り落とした指揮官の首を乱雑に拾い上げてさっきの魔族の女2人の下へ歩んでいく。
その時の2人はまさに生きた心地がしなかっただろう。指揮官を殺した獣の様な男が首を持ち、指揮官の長剣を引きずってこちらに歩いてきたのだ。
魔族の女は恐怖に涙を流し、片方の女の座っているところは水浸しになっていた。どうやら恐怖のあまり失禁してしまったようだ。
ホルトは指揮官の首を魔族の女にずいと押し出しながら
「お前たちの大将に伝えろ。次はお前がこうなる番だ。俺はただの兵卒、俺程度なら後ろにいくらでもいるぞ。死にたくなければさっさと魔界に帰れと。」
ホルトは事実と嘘を折り交えながら脅しつけた。そのようなことをしなくても状況的に撤退しそうではあったが、もしまだ戦うつもりなら重要な拠点を任されて相当強かったであろうこの指揮官を倒せる者がこちらにはゴロゴロ居ると思わせて士気を下げさせようと狙った。
この2人は実際に指揮官が倒されるのを見ており、更に怯え切って正常な判断もつかなさそうなのでメッセンジャーにするには最適だと考えたのだ。
そしてその時ちょうど、傀儡から解放されたオーガを撤退させたバルトルメスの部隊が続々とこちらに集まってきた。
ホルトの言った通りならこの面々一人一人が指揮官を倒せる獣の様な人間である。
言うことを聞かなければ自分達はどうなってしまうのかと彼女らは自分の考えうる限りの苦痛を思い浮かべたのか、恐怖のあまり歯をカチカチと鳴らしながら震えていた。
だが相手の言うことを聞けばとりあえずはこの場からは逃がしてもらえるという事実に、魔族の女2人はコクコクと首を痙攣させるかのように速く動かして了解の返事を返した。
そしてホルトに言われた通り指揮官の首を持って本陣へと走って逃げていった。
「アレは?」
「オーガ部隊の指揮官の首を脅し文句と一緒に本陣へ持って行かせました。」
「勝手な事を……。まあいい、カリム!奴等を隠れて追え。」
「ハッ。」
少し前にホルトの身体を回復させてくれたヴァンという女性が、逃げた魔族の女たちを見て尋ねた。そしてホルトは自身の行動を説明すると、勝手な事をするなとは言いつつもホルトの意図は察したようで、更に斥候部隊を率いるカリムという男にあの2人を追うことを指示した。本陣の正確な場所や罠等の有無などを調べるためだ。
その斥候が戻ってくるまでの間、ホルトはまたヴァンに傷を治してもらっていた。さっきまで着ていたはずの鎧は砕けて無くなっており、更に服も血まみれともなれば誰でも傷を負ったことは分かり、彼女に服を脱がされて傷を見られた。
だが傷自体はアーシュレの回復薬で塞がっており彼女を驚愕させた。
アーシュレの回復薬によるものだと説明すると
「そんなものが……興味深いな。」
「…………触るのはやめてください。」
「内臓のダメージは残っているようだな。」
ペタペタと無造作に身体に触ってくるヴァンにはさすがに困惑したようで、やめてくれと言うがヴァンも回復魔術のエキスパートだけあって、内臓に戦闘のダメージが残っていることを指摘された。
再びヴァンに手をかざされて回復魔術をかけてもらい、これで再び全快した。
「ありがとうございます。」
「いや。しかしよく動けたものだな。今回復した分でも最早立っていられない程のケガだったぞ。」
ヴァンはホルトが回復しきるまで魔術をかけてくれたのだが、時間がかなりかかったことで彼女の経験上これだけ時間のかかるものだと普通は立っていられないと呆れられた。
それから少ししてカリムとその部隊が帰還して、本陣の場所と罠や伏兵は特にないことが分かり、バルトルメスの部隊は本陣に向かって再び進むことになった。
その時の2人はまさに生きた心地がしなかっただろう。指揮官を殺した獣の様な男が首を持ち、指揮官の長剣を引きずってこちらに歩いてきたのだ。
魔族の女は恐怖に涙を流し、片方の女の座っているところは水浸しになっていた。どうやら恐怖のあまり失禁してしまったようだ。
ホルトは指揮官の首を魔族の女にずいと押し出しながら
「お前たちの大将に伝えろ。次はお前がこうなる番だ。俺はただの兵卒、俺程度なら後ろにいくらでもいるぞ。死にたくなければさっさと魔界に帰れと。」
ホルトは事実と嘘を折り交えながら脅しつけた。そのようなことをしなくても状況的に撤退しそうではあったが、もしまだ戦うつもりなら重要な拠点を任されて相当強かったであろうこの指揮官を倒せる者がこちらにはゴロゴロ居ると思わせて士気を下げさせようと狙った。
この2人は実際に指揮官が倒されるのを見ており、更に怯え切って正常な判断もつかなさそうなのでメッセンジャーにするには最適だと考えたのだ。
そしてその時ちょうど、傀儡から解放されたオーガを撤退させたバルトルメスの部隊が続々とこちらに集まってきた。
ホルトの言った通りならこの面々一人一人が指揮官を倒せる獣の様な人間である。
言うことを聞かなければ自分達はどうなってしまうのかと彼女らは自分の考えうる限りの苦痛を思い浮かべたのか、恐怖のあまり歯をカチカチと鳴らしながら震えていた。
だが相手の言うことを聞けばとりあえずはこの場からは逃がしてもらえるという事実に、魔族の女2人はコクコクと首を痙攣させるかのように速く動かして了解の返事を返した。
そしてホルトに言われた通り指揮官の首を持って本陣へと走って逃げていった。
「アレは?」
「オーガ部隊の指揮官の首を脅し文句と一緒に本陣へ持って行かせました。」
「勝手な事を……。まあいい、カリム!奴等を隠れて追え。」
「ハッ。」
少し前にホルトの身体を回復させてくれたヴァンという女性が、逃げた魔族の女たちを見て尋ねた。そしてホルトは自身の行動を説明すると、勝手な事をするなとは言いつつもホルトの意図は察したようで、更に斥候部隊を率いるカリムという男にあの2人を追うことを指示した。本陣の正確な場所や罠等の有無などを調べるためだ。
その斥候が戻ってくるまでの間、ホルトはまたヴァンに傷を治してもらっていた。さっきまで着ていたはずの鎧は砕けて無くなっており、更に服も血まみれともなれば誰でも傷を負ったことは分かり、彼女に服を脱がされて傷を見られた。
だが傷自体はアーシュレの回復薬で塞がっており彼女を驚愕させた。
アーシュレの回復薬によるものだと説明すると
「そんなものが……興味深いな。」
「…………触るのはやめてください。」
「内臓のダメージは残っているようだな。」
ペタペタと無造作に身体に触ってくるヴァンにはさすがに困惑したようで、やめてくれと言うがヴァンも回復魔術のエキスパートだけあって、内臓に戦闘のダメージが残っていることを指摘された。
再びヴァンに手をかざされて回復魔術をかけてもらい、これで再び全快した。
「ありがとうございます。」
「いや。しかしよく動けたものだな。今回復した分でも最早立っていられない程のケガだったぞ。」
ヴァンはホルトが回復しきるまで魔術をかけてくれたのだが、時間がかなりかかったことで彼女の経験上これだけ時間のかかるものだと普通は立っていられないと呆れられた。
それから少ししてカリムとその部隊が帰還して、本陣の場所と罠や伏兵は特にないことが分かり、バルトルメスの部隊は本陣に向かって再び進むことになった。
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