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第2章~2回目の小学生~
第7話Part.13~魔を操りし者~
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魔族軍団の攻勢が和らいで、右翼の防衛に入っていたシルヴァン・ラシュリーは敵が抜けて行った泉の方へと部隊を進めて行った。
それを確認したバルトルメスは前線を押し上げる事を決めた。魔族軍団は一挙に押し切ろうと部隊を進めていた為被害が相当出ている。そして不意を突いたにも拘わらず押し返されてしまったため大きく動揺しており軍が乱れているのが見て取れたからだ。
数的にも士気的にも優位となったため、歩兵を前に押し出して手堅く前に進んでいく。魔族側も当然防御陣を築いていたが、堅牢と言えるものではなく順調に陣を落としていった。
リール山の入り口辺りまで進んだグレイティス王国軍は十字路になった道に布陣する魔族部隊を視認する。グレイティス王国軍が進んだ道は当然リール・ア・リーフの街への道、正面はリール山で左側は王都、右側はまた別の地区への道となっている。
山への入り口はこの道か山を越えた側にしかないが、山越えした側に行くには大きく迂回して行かなければならず軍を展開するには数日はかかる。そのため今すぐ攻めるには実質この道しかないのでこの部隊を避けて通ることはできなかった。
しかし要の地を守っているだけあり今までの部隊とは明らかに違う、統制の取れた部隊だった。
バルトルメスの号令でホルトら歩兵が攻めかかる。今まではさくさくと進めていたが今度はそうもいかない。兵の強さが今までと比べ物にならないというのもそうだが、この部隊のどの兵もまるで死を恐れていないような動きで戦ってきたのだ。
主にオーガで編成されたこの部隊だが、手足を吹き飛ばされようと気にせず戦い、首を飛ばされていてもまるで道連れとでも言いたげに前に倒れて敵にのしかかろうとする。
本来のオーガは他の生物と同じく死や痛みへの恐怖を持っているはずだが、この部隊は感情を失い命令されたことを遂行しているだけに見えた。
ホルトはオーガを斬り伏せながら目を凝らすと、後方に指揮官と思われる者が居た。おそらくあの指揮官がオーガを操っていると考えたホルトは一直線にオーガの軍団を突破していく。
オーガたちは指揮官から単純な指令しか受けていないようで突破されてもホルトを止めるどころか声すら上げる者は無く、抜かれればまたすぐ近くに居る騎士に襲い掛かる。
「お前が隊長だな。覚悟しろ。」
ホルトはオーガの群れを抜けて指揮官の元へ走った。指揮官はリール山のように泰然とした様子で椅子に座っていた。顔全体を覆う兜をつけているため表情は分からないが、明らかにホルトを見下していた。その雰囲気はホルトに大剣を向けられても変わらなかったが、やれやれと言う声が聞こえそうな様子で悠然と立ち上がった。
ホルトもかなりの長身で190センメラーほどある偉丈夫だったが、指揮官の背丈はその倍はあろうかというものだった。
そして横に侍らせている種族は分からないが女性の様な見た目の魔族に自らの剣を掲げさせ、指揮官は鞘から剣を引き抜いた。
剣の長さは300センメラーほど、幅が20センメラーほどあるものだった。ホルトの剣よりも当然長いが、指揮官が彼の2倍ほどの背丈がある為、ホルトとは違い彼の中では通常の長剣のようなものなのだろう。
体格で言えば明らかに不利で、オーガを操っている力も自身に向けられるのかといったところも気になるが、本陣に軍団を進める為にはこの指揮官を倒すしかない。ホルトは大剣を握る手を強めた。
それを確認したバルトルメスは前線を押し上げる事を決めた。魔族軍団は一挙に押し切ろうと部隊を進めていた為被害が相当出ている。そして不意を突いたにも拘わらず押し返されてしまったため大きく動揺しており軍が乱れているのが見て取れたからだ。
数的にも士気的にも優位となったため、歩兵を前に押し出して手堅く前に進んでいく。魔族側も当然防御陣を築いていたが、堅牢と言えるものではなく順調に陣を落としていった。
リール山の入り口辺りまで進んだグレイティス王国軍は十字路になった道に布陣する魔族部隊を視認する。グレイティス王国軍が進んだ道は当然リール・ア・リーフの街への道、正面はリール山で左側は王都、右側はまた別の地区への道となっている。
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しかし要の地を守っているだけあり今までの部隊とは明らかに違う、統制の取れた部隊だった。
バルトルメスの号令でホルトら歩兵が攻めかかる。今まではさくさくと進めていたが今度はそうもいかない。兵の強さが今までと比べ物にならないというのもそうだが、この部隊のどの兵もまるで死を恐れていないような動きで戦ってきたのだ。
主にオーガで編成されたこの部隊だが、手足を吹き飛ばされようと気にせず戦い、首を飛ばされていてもまるで道連れとでも言いたげに前に倒れて敵にのしかかろうとする。
本来のオーガは他の生物と同じく死や痛みへの恐怖を持っているはずだが、この部隊は感情を失い命令されたことを遂行しているだけに見えた。
ホルトはオーガを斬り伏せながら目を凝らすと、後方に指揮官と思われる者が居た。おそらくあの指揮官がオーガを操っていると考えたホルトは一直線にオーガの軍団を突破していく。
オーガたちは指揮官から単純な指令しか受けていないようで突破されてもホルトを止めるどころか声すら上げる者は無く、抜かれればまたすぐ近くに居る騎士に襲い掛かる。
「お前が隊長だな。覚悟しろ。」
ホルトはオーガの群れを抜けて指揮官の元へ走った。指揮官はリール山のように泰然とした様子で椅子に座っていた。顔全体を覆う兜をつけているため表情は分からないが、明らかにホルトを見下していた。その雰囲気はホルトに大剣を向けられても変わらなかったが、やれやれと言う声が聞こえそうな様子で悠然と立ち上がった。
ホルトもかなりの長身で190センメラーほどある偉丈夫だったが、指揮官の背丈はその倍はあろうかというものだった。
そして横に侍らせている種族は分からないが女性の様な見た目の魔族に自らの剣を掲げさせ、指揮官は鞘から剣を引き抜いた。
剣の長さは300センメラーほど、幅が20センメラーほどあるものだった。ホルトの剣よりも当然長いが、指揮官が彼の2倍ほどの背丈がある為、ホルトとは違い彼の中では通常の長剣のようなものなのだろう。
体格で言えば明らかに不利で、オーガを操っている力も自身に向けられるのかといったところも気になるが、本陣に軍団を進める為にはこの指揮官を倒すしかない。ホルトは大剣を握る手を強めた。
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