異世界チート(初等部編)~底辺で怠惰な俺が能力チート貰って転生してもやる気ないのは変わんない。でもみんな無駄に俺を頼ってくる件

三浦ウィリアム

文字の大きさ
上 下
40 / 101
第2章~2回目の小学生~

第7話Part.7~偉大な雨魔術をサボりに使うな!~

しおりを挟む
『1クィロメラー=1キロメートル』
『1スクーレクィロメラー=1平方キロメートル』


王都魔術研究所の所員となってからしばらくは雨魔術【ラ・ヤーグス】の研究に回された。彼女が雨魔術を使えることは分かったが、問題の有無や条件等を調べる必要があったからだ。

まずは術者に対しての影響だが今のところ雨魔術を使用したことがあるのはアーシュレのみ。彼女自身には魔術を使用した事による反動は今のところは見られず、後年もそういった影響は見られなかった。

次に雲を生み出す方法だった。一から雲を生み出して雨を降らせているのなら問題ない。しかし他の場所から雲を持ってきて無理矢理術者周辺で降らせるようなものならば、他の場所から怒りの声が上がりかねない。国を超えてとなればそれが戦争の火種にもなりかねない為慎重に調べられた。
これに関してはすぐに心配はなさそうだということが分かった。何度か雨魔術で雨を降らせたが、その周辺が干上がったということは無く、継続調査は必要にしてもとりあえずは魔術の力で一から雲を作って雨を降らせるものだと結論付けられた。

魔術を使用できる条件は一定量の水が1スクーレクィロメラー以内に存在している必要があるようだ。雲がどうして雨を降らせるのかはまだこの世界では判明していないのだが、雨が降る時は雲が出ているというのは皆が知るところである為、魔術によって水を使用して雲を生み出すのではないかと仮説が立てられた。

この際に活躍したのがアーシュレに仕えているホルトだった。一説には馬と100クィロメラーほど並走していたという逸話が残っているくらいに俊足で体力もある。そして声が大きいので、彼が走って研究者たちの伝令役のような役目を務めていた。
あまりの足の速さに「この研究が終わったら彼の俊足を調べてみたい。」「魔術でも使わなきゃ説明がつかん速さだ。」と学者たちが冗談交じりで言ったという逸話もある。

「アーシュレ様は偉大な魔術を見つけてくれたよね。俺もたまに使ってる。魔術師のモリーンにめちゃくちゃ叱られたけど。サボりに魔術使ったからってそんなに怒られるとは思わなかった。」
「ファンデンくん……。」

俺はアーシュレの研究資料を読んでいた時そう声を漏らす。そう、たまに本当にしんどかったりめんどくさかったりした時、隠れて雨魔術を唱えて雨を降らすことがあった。
しかし最近、俺の魔術の先生であるモリーンにバレてしまいめちゃくちゃ叱られた。いつもは好々爺といった人なのだが、この時は髪の毛が逆立ち目尻も吊り上がっていた。
少なくとも国内屈指の魔術師で戦功をしっかりと上げていたというのは間違いなく本当だろうという凄みがあった。
そんな話をするとアメリアが呆れているような驚いているような何とも言えない微妙な表情を見せる。

「アメリアさんはそんなしょうもないことには使わなさそうだね。」
「そもそも使えないよ……?」
「え?」
「雨魔術ってすっごく難しいんだよ?範囲も広いし、手順も多いから魔術力をたくさん使うの。」

実は雨魔術は結構難しい魔術だったようだ。言われてみればたしかに単純に火の玉を飛ばす火炎系魔術の【ラ・アローヴ】に比べれば発動までの手順が多い。
その分消費される魔術力が多く、魔術力が低い者ならそれを使うだけで魔術力がほとんど枯渇してしまうほどらしい。
モリーンが激怒したのは子どもには消費が激しすぎる魔術の使用は危険だったからのようだ、多分。俺は(それならそう言ってくれればよかったのになあ。)と思いながら「知らなかった……。」と答えるほかなかった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双

さこゼロ
ファンタジー
突然、異世界に転生召喚された4人の少年少女たち。儀式を行った者たちに言われるがまま、手に持っていたスマホのアプリを起動させる。 ある者は聖騎士の剣と盾、 ある者は聖女のローブ、 それぞれのスマホからアイテムが出現する。 そんな中、ひとりの少年のスマホには、画面にカメラアプリが起動しただけ。 ハズレ者として追放されたこの少年は、これからどうなるのでしょうか… if分岐の続編として、 「帰還した勇者を護るため、今度は私が転移します!」を公開しています(^^)

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...