異世界チート(初等部編)~底辺で怠惰な俺が能力チート貰って転生してもやる気ないのは変わんない。でもみんな無駄に俺を頼ってくる件

三浦ウィリアム

文字の大きさ
上 下
39 / 101
第2章~2回目の小学生~

第7話Part.6~アーシュレとホルト、王都に赴く~

しおりを挟む
アーシュレが雨を降らせる魔術を発見してから3ヶ月ほど後、彼女は王都グレイティアに居た。
彼女が雨を降らせる魔術を発見したという話はすぐに王国中を駆け巡り、遂には王の耳にも入った。その為王直々からの召喚となった。
そしてアーシュレに伴われる従者の一人にホルト・ローズの姿があった。

ホルトは物心つく前に実の両親と別れてしまっており、ファーストネームは彼の着ていた服にあったのでホルトとであると分かっているのだが、ファミリーネームが分からなかった。
今までは特に必要としていなかったのでホルトとだけ名乗っていたが、これからは何かと不便になるかということで新たに付けられた名だった。
【ローズ】とは彼が昔アーシュレに読んでもらった物語の登場人物で非常に強く優しい騎士で、とある貴婦人を生涯に渡って慕い続けた男だった。
彼の名前は【ローズ・シュミード】でファミリーネームはシュミードだったのだが、彼はローズという名前が気に入ったらしく、ローズという名を拝借したようだ。

アーシュレは城に呼ばれて王と拝謁するため従者を2人伴って城へ行ったが、ホルトは待機である。彼はまだ仕えてから3ヶ月程度。当然といえば当然である。彼は他に居残りになった従者たちと一緒に王からアーシュレに用意された屋敷で彼女の帰りを待つ。

一方その頃アーシュレは王と拝謁していた。当時の王はプロヴァン・グレイティス一世。リール山の戦い時の王カール・グレイティス一世の父だ。

「面を上げるが良い。」
「ありがとうございます。」

護衛の従者は謁見の間の外で待たされているため、この部屋にはプロヴァン一世と大臣、そして衛兵が10人ほど。そしてアーシュレである。
プロヴァン一世も武辺の人として知られており、武人らしく回りくどい言い回しは無く率直にアーシュレが雨を降らせる魔術を発見したのは本当かと尋ねた。
彼女はその通りであることを答え、見つけた時の状況や呪文を唱えた後、雨が降るまでの状態といったことを交えながら説明した。

プロヴァン一世は彼女の話を聞いて嘘を言っているようには思えないと感じたが、実際に見たわけではないので、王都の魔術研究者たちも雨を降らせる魔術を研究しているのでぜひ彼らに見せて欲しいと要請する。
アーシュレは王の要請である為断ることなく了承した。
その後は王からアーシュレの父であるアースは息災であるかなどといった雑談がしばらく続いたが、公務の時間が迫ったプロヴァン一世に大臣が「そろそろお時間ですぞ。」と言ったところで話が終わった。

「う、うむ。それではアーシュレ、頼んだぞ。」
「はっ。」

プロヴァン一世はもう少し話したかったようで少し不満そうに口を尖らせながら大臣を見たが、いつものことなのか大臣は全く意に介さない様子だった。王はアーシュレにその様子を見られている事を思い出し、一度咳ばらいをしてから話を締めて彼女を下がらせた。

その数日後の夜、彼女は再び雨を降らせる。雲一つ見えぬ夜に呪文を唱えれば雨が降った。プロヴァン一世は多忙であったので閲覧の間にも居た大臣が代理としてそれを見守る。
そして王都魔術研究所の所員、特に雨を降らせる魔術を研究していた者たち20人が見守る。
彼らは自分が10年以上、長ければ20年以上かけて研究していた魔術をまだ20歳の者が発見したなどと信じられず、「まあ精々笑い飛ばしてやりましょう。」といった彼女を侮った声がアーシュレにも聞こえる。
この場にホルトが居たら恐らく研究者に食って掛かっているだろう。アーシュレもそれを見越して彼を連れてきていなかった。
しかしそんな声もアーシュレが雨を降らせれば悔しさ混じりながらも彼女を称賛する声が飛んだ。

大臣は王にアーシュレの魔術が真のものであると報告し、王はそれを受けてアーシュレ・ホイケを王都魔術研究所に迎えたいと要請されて父のアースに尋ねてみると、彼もここで研究をしていたことがあったようでアーシュレが父に尋ねてみると、彼女自身の意志に任せると返ってきた。

アーシュレは王の要請を受諾し、王都魔術研究所の一員となった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

処理中です...