異世界チート(初等部編)~底辺で怠惰な俺が能力チート貰って転生してもやる気ないのは変わんない。でもみんな無駄に俺を頼ってくる件

三浦ウィリアム

文字の大きさ
上 下
38 / 101
第2章~2回目の小学生~

第7話Part.5~降り注ぐ雨~

しおりを挟む
高台に到着したアーシュレとアースと10人の従者とホルト。空の様子を見てみると今は雲一つない状態。彼女の魔術の力を確かめるには最高の状態だった。
学者として彼女の新たな魔術に興味津々で少年のようにキラキラした目で待つアース、そして奇跡の魔術を再び見られるとうれしそうなホルト。従者たちも彼女の魔術に関して耳に入っているらしく興味津々で見る。

「それでは、行きます。ラ・ヤーグス!」

アーシュレは呪文を唱えた。皆が期待に胸を膨らませながら固唾を飲んで見守る。その間は誰も何も発さず、聞こえるのは周囲の木々のざわめきくらいだ。
アーシュレは今はただ待つ。電撃系魔術の場合炎系魔術などとは違い唱えればすぐに撃てるというものではなく、雷雲を呼ぶというワンクッション置かなければならない。その為雨を呼ぶ魔術もその系統であるという仮説を立てていた。
そして前回はしっかりと確認できなかったが、もし本当に魔術の力ならばどのようにして雲が現れるのかも見たかった。

これを待つこと数分、従者たちは空を見上げる事に飽き始めていたがアーシュレたちは見上げ続ける。すると徐々に空の流れが見えてきた。つまり雲が現れ始めたのだ。そこからは早く、雲はアーシュレたちが見上げる空を覆いつくし、そしてたくさんの雨粒を降り注がせた。

これを目の当たりにした従者たちは歓喜の声を上げる。アースはこの雨を身体いっぱいに浴びながら「素晴らしい!素晴らしいぞおおおおおお!」と叫び笑い、新たな発見を喜んだ。ホルトはというと当然といった体であった。彼だけは全く信じて疑っていなかったので当然といえば当然か。
そしてアーシュレは空を見上げながら呪文を教えてくれた男の子を思い出していた。やはりあの子は人智の及ばぬ存在だったのだろうと思った。どうして彼が自分に呪文を教えてくれたのかはハッキリとは分からないが、しかしお陰で救われた。彼女は彼に感謝した。

「この後、ホルトはホイケ家に仕えたんだね。」
「うん、そうみたい。」

何故か俺はアメリアと1冊の資料を一緒に見ていた。お互い隣同士椅子に座って身体を寄せながら。左側に座ったアメリアが次のページに行く際に「めくるね?」と言ってきて、俺はそれに答えるようなやり取りを続ける。

今俺たちがしているような事をアーシュレとホルトも行っていたようで、教育を受ける機会が無かったホルトにアーシュレが隣で本の内容を教えていたりしたようだ。
これはホルトの勉強になると同時にアーシュレ自身も他人にアウトプットすることで更なる学びを深めることができ、一石二鳥の事だったらしい。

「なんかこうしてるとアーシュレとホルトみたいだね。」
「えっ!?」

俺はふとアーシュレとホルトの情景を思い浮かべて思わずポロリと漏らすとアメリアは何故か相当驚いていた。彼女はやけに顔を赤くしている。しかし怒っている様子はなく恥ずかしがっているか照れているかのどちらかに見える。
正直どこが引っかかってそうなったのかがよく分からないが失言だったようだ。

「え?あ、いや……何でもない。」

俺はとりあえず失言を取り消した。しかし何がどう失言だったのかよく分からない中での曖昧な言葉だったので、彼女の様子は変わらない。むしろ耳まで赤くしてこれはどうも事態が悪化したような気がする。

「つ、次!次読もうか!」
「……うん。」

もうここは強引でも話を変えるしかないと、次の資料に行こうとアメリアに言って椅子から立ち上がる。彼女も同じく立ち上がり、また一緒に本棚から資料を探すことになった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...