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第2章~2回目の小学生~
第7話Part.5~降り注ぐ雨~
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高台に到着したアーシュレとアースと10人の従者とホルト。空の様子を見てみると今は雲一つない状態。彼女の魔術の力を確かめるには最高の状態だった。
学者として彼女の新たな魔術に興味津々で少年のようにキラキラした目で待つアース、そして奇跡の魔術を再び見られるとうれしそうなホルト。従者たちも彼女の魔術に関して耳に入っているらしく興味津々で見る。
「それでは、行きます。ラ・ヤーグス!」
アーシュレは呪文を唱えた。皆が期待に胸を膨らませながら固唾を飲んで見守る。その間は誰も何も発さず、聞こえるのは周囲の木々のざわめきくらいだ。
アーシュレは今はただ待つ。電撃系魔術の場合炎系魔術などとは違い唱えればすぐに撃てるというものではなく、雷雲を呼ぶというワンクッション置かなければならない。その為雨を呼ぶ魔術もその系統であるという仮説を立てていた。
そして前回はしっかりと確認できなかったが、もし本当に魔術の力ならばどのようにして雲が現れるのかも見たかった。
これを待つこと数分、従者たちは空を見上げる事に飽き始めていたがアーシュレたちは見上げ続ける。すると徐々に空の流れが見えてきた。つまり雲が現れ始めたのだ。そこからは早く、雲はアーシュレたちが見上げる空を覆いつくし、そしてたくさんの雨粒を降り注がせた。
これを目の当たりにした従者たちは歓喜の声を上げる。アースはこの雨を身体いっぱいに浴びながら「素晴らしい!素晴らしいぞおおおおおお!」と叫び笑い、新たな発見を喜んだ。ホルトはというと当然といった体であった。彼だけは全く信じて疑っていなかったので当然といえば当然か。
そしてアーシュレは空を見上げながら呪文を教えてくれた男の子を思い出していた。やはりあの子は人智の及ばぬ存在だったのだろうと思った。どうして彼が自分に呪文を教えてくれたのかはハッキリとは分からないが、しかしお陰で救われた。彼女は彼に感謝した。
「この後、ホルトはホイケ家に仕えたんだね。」
「うん、そうみたい。」
何故か俺はアメリアと1冊の資料を一緒に見ていた。お互い隣同士椅子に座って身体を寄せながら。左側に座ったアメリアが次のページに行く際に「めくるね?」と言ってきて、俺はそれに答えるようなやり取りを続ける。
今俺たちがしているような事をアーシュレとホルトも行っていたようで、教育を受ける機会が無かったホルトにアーシュレが隣で本の内容を教えていたりしたようだ。
これはホルトの勉強になると同時にアーシュレ自身も他人にアウトプットすることで更なる学びを深めることができ、一石二鳥の事だったらしい。
「なんかこうしてるとアーシュレとホルトみたいだね。」
「えっ!?」
俺はふとアーシュレとホルトの情景を思い浮かべて思わずポロリと漏らすとアメリアは何故か相当驚いていた。彼女はやけに顔を赤くしている。しかし怒っている様子はなく恥ずかしがっているか照れているかのどちらかに見える。
正直どこが引っかかってそうなったのかがよく分からないが失言だったようだ。
「え?あ、いや……何でもない。」
俺はとりあえず失言を取り消した。しかし何がどう失言だったのかよく分からない中での曖昧な言葉だったので、彼女の様子は変わらない。むしろ耳まで赤くしてこれはどうも事態が悪化したような気がする。
「つ、次!次読もうか!」
「……うん。」
もうここは強引でも話を変えるしかないと、次の資料に行こうとアメリアに言って椅子から立ち上がる。彼女も同じく立ち上がり、また一緒に本棚から資料を探すことになった。
学者として彼女の新たな魔術に興味津々で少年のようにキラキラした目で待つアース、そして奇跡の魔術を再び見られるとうれしそうなホルト。従者たちも彼女の魔術に関して耳に入っているらしく興味津々で見る。
「それでは、行きます。ラ・ヤーグス!」
アーシュレは呪文を唱えた。皆が期待に胸を膨らませながら固唾を飲んで見守る。その間は誰も何も発さず、聞こえるのは周囲の木々のざわめきくらいだ。
アーシュレは今はただ待つ。電撃系魔術の場合炎系魔術などとは違い唱えればすぐに撃てるというものではなく、雷雲を呼ぶというワンクッション置かなければならない。その為雨を呼ぶ魔術もその系統であるという仮説を立てていた。
そして前回はしっかりと確認できなかったが、もし本当に魔術の力ならばどのようにして雲が現れるのかも見たかった。
これを待つこと数分、従者たちは空を見上げる事に飽き始めていたがアーシュレたちは見上げ続ける。すると徐々に空の流れが見えてきた。つまり雲が現れ始めたのだ。そこからは早く、雲はアーシュレたちが見上げる空を覆いつくし、そしてたくさんの雨粒を降り注がせた。
これを目の当たりにした従者たちは歓喜の声を上げる。アースはこの雨を身体いっぱいに浴びながら「素晴らしい!素晴らしいぞおおおおおお!」と叫び笑い、新たな発見を喜んだ。ホルトはというと当然といった体であった。彼だけは全く信じて疑っていなかったので当然といえば当然か。
そしてアーシュレは空を見上げながら呪文を教えてくれた男の子を思い出していた。やはりあの子は人智の及ばぬ存在だったのだろうと思った。どうして彼が自分に呪文を教えてくれたのかはハッキリとは分からないが、しかしお陰で救われた。彼女は彼に感謝した。
「この後、ホルトはホイケ家に仕えたんだね。」
「うん、そうみたい。」
何故か俺はアメリアと1冊の資料を一緒に見ていた。お互い隣同士椅子に座って身体を寄せながら。左側に座ったアメリアが次のページに行く際に「めくるね?」と言ってきて、俺はそれに答えるようなやり取りを続ける。
今俺たちがしているような事をアーシュレとホルトも行っていたようで、教育を受ける機会が無かったホルトにアーシュレが隣で本の内容を教えていたりしたようだ。
これはホルトの勉強になると同時にアーシュレ自身も他人にアウトプットすることで更なる学びを深めることができ、一石二鳥の事だったらしい。
「なんかこうしてるとアーシュレとホルトみたいだね。」
「えっ!?」
俺はふとアーシュレとホルトの情景を思い浮かべて思わずポロリと漏らすとアメリアは何故か相当驚いていた。彼女はやけに顔を赤くしている。しかし怒っている様子はなく恥ずかしがっているか照れているかのどちらかに見える。
正直どこが引っかかってそうなったのかがよく分からないが失言だったようだ。
「え?あ、いや……何でもない。」
俺はとりあえず失言を取り消した。しかし何がどう失言だったのかよく分からない中での曖昧な言葉だったので、彼女の様子は変わらない。むしろ耳まで赤くしてこれはどうも事態が悪化したような気がする。
「つ、次!次読もうか!」
「……うん。」
もうここは強引でも話を変えるしかないと、次の資料に行こうとアメリアに言って椅子から立ち上がる。彼女も同じく立ち上がり、また一緒に本棚から資料を探すことになった。
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