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第2章~2回目の小学生~
第6話Part.5~戦いの火種~
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シルヴァンがカール一世とこの泉に来たのはリール山の戦いの2年前、そしてカール一世が王に即位する1年前だった。
カール一世はリール・ア・リーフの街に巡察に来ていた。当然近衛隊長のシルヴァンも伴ってである。
巡察は恙なく終わり、王都へ帰ろうとしていた際に大きなアクシデントが起きる。オークロード率いるオーク20頭に襲われたのだ。
リール・ア・リーフ周辺にはあまり強い魔物もおらず、魔族を見る事はほぼ皆無だったが、この時に限って遭遇してしまった。
オークは一応魔族に分類されるものの、知性はほとんど獣同然で腕力はあれども近衛騎士たちの敵ではなかった。しかし率いるオークロードは違う。
オークロードは知性・統率に秀で、強さも普通のオークとは比べ物にならない。故に獣同然のオークたちもロードの指示には従い、組織立った行動を行う為非常に近衛騎士でも手を焼く相手となる。
近衛騎士たちはシルヴァンを含めて15人。オークロードが居るだけに少し苦戦するかもしれない。シルヴァンは剣を握る手を強めた。
シルヴァンはカール一世を少し後ろに控えさせ、防御の態勢を取る。オークは魔術を使えない為接近戦しかない。何としてもカール一世に手を出させない構えだった。
オークたちは真正面から騎士たちにぶつかる。しっかりと隊列を組んでそれを崩さずに棍棒を振り回してくる。その上オークロードは魔術の使用もでき、オークたちの身体能力を上げる魔術を使用していた。なんとか近衛騎士は隊列を維持するが、オークたちに押される。
だがそんな流れを変えたのがシルヴァンだった。彼は負傷した騎士に替わって前に出ると、正面のオークを一刺しし前蹴りでその死骸を退けて、更に左右のオークの足を切断。正面が崩れたところで彼はオークロードに向かって物凄い速度で距離を詰めた。
オークの群れで押していた故に油断していたのか、思いがけない速攻と補助魔術の使用で迎撃態勢が取れていなかったオークロードを剣で一閃し一撃で倒してしまう。
頭を失ったオークは強化魔術も切れて指示も無い為明らかに攻撃が鈍り、騎士たちにそのまま屠られた。近衛騎士たちは重傷者は多数出したものの、死者は無くオークロードを退けることができたのだ。
しかし疑念が残るのは何故こんなところにオークロード率いるオーク20頭が現れたのか。
「殿下、これは斥候部隊かもしれません。」
「私も同じことを考えていた。」
シルヴァンとカール一世の推察は一致していた。オークの群れは魔族の斥候部隊ではないかと。普段ならば現れないオーク、街を攻めるにしてもオーク20体だけで落とせるほどリール・ア・リーフの防衛も甘くはない。
それならば攻め寄せる為に斥候に出ていたところを偶然発見したのではないかという結論に至った。とはいえさっき倒したオークの群れだけではないかもしれないので、シルヴァンは副将と比較的傷の浅い5人に命じて他に魔族が居ないかを捜索させることにした。
シルヴァンとカール一世、そして残りの近衛騎士はケガを負った者の治療も必要なので一度近くにある泉に退くことにした。
カール一世はリール・ア・リーフの街に巡察に来ていた。当然近衛隊長のシルヴァンも伴ってである。
巡察は恙なく終わり、王都へ帰ろうとしていた際に大きなアクシデントが起きる。オークロード率いるオーク20頭に襲われたのだ。
リール・ア・リーフ周辺にはあまり強い魔物もおらず、魔族を見る事はほぼ皆無だったが、この時に限って遭遇してしまった。
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だがそんな流れを変えたのがシルヴァンだった。彼は負傷した騎士に替わって前に出ると、正面のオークを一刺しし前蹴りでその死骸を退けて、更に左右のオークの足を切断。正面が崩れたところで彼はオークロードに向かって物凄い速度で距離を詰めた。
オークの群れで押していた故に油断していたのか、思いがけない速攻と補助魔術の使用で迎撃態勢が取れていなかったオークロードを剣で一閃し一撃で倒してしまう。
頭を失ったオークは強化魔術も切れて指示も無い為明らかに攻撃が鈍り、騎士たちにそのまま屠られた。近衛騎士たちは重傷者は多数出したものの、死者は無くオークロードを退けることができたのだ。
しかし疑念が残るのは何故こんなところにオークロード率いるオーク20頭が現れたのか。
「殿下、これは斥候部隊かもしれません。」
「私も同じことを考えていた。」
シルヴァンとカール一世の推察は一致していた。オークの群れは魔族の斥候部隊ではないかと。普段ならば現れないオーク、街を攻めるにしてもオーク20体だけで落とせるほどリール・ア・リーフの防衛も甘くはない。
それならば攻め寄せる為に斥候に出ていたところを偶然発見したのではないかという結論に至った。とはいえさっき倒したオークの群れだけではないかもしれないので、シルヴァンは副将と比較的傷の浅い5人に命じて他に魔族が居ないかを捜索させることにした。
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