異世界チート(初等部編)~底辺で怠惰な俺が能力チート貰って転生してもやる気ないのは変わんない。でもみんな無駄に俺を頼ってくる件

三浦ウィリアム

文字の大きさ
上 下
14 / 101
第2章~2回目の小学生~

第3話3幕~命を懸けるからこそ~

しおりを挟む
ラグヮジャを倒した後、一度森を抜けるまで魔物の捜索を続けた。
父や護衛の騎士が居るのでその後出た魔物にも苦戦することは全くなかった。

「油断は大敵。どんなに自分より弱い魔物ばかりだとしても気を抜けば命を落とす。我々は命のやり取りをしているのだ。」

父は常日頃からこう言っている。家中の騎士たちもそれを肝に銘じていて全く油断なく取り組んでいる。俺ももちろんそうだが、その為本当にさしたる苦戦は無かった。

「ファンデン様の戦いぶりは凄まじかったですなあ。これが初めてとは信じられませぬ。」
「ファンデン様が居れば、ロートリース家も安泰ですな!」

リーフの森からリール・ア・リーフに戻る道中、騎士たちがそう言って俺の事を称える。
俺は馬車に揺られながら騎士たちの賞賛を聞き流しながら今日の戦闘について頭の中で振り返っていた。

「ファンデン、あの時はどうして魔術を使う判断をした?」
「今の自分の力ではラグヮジャの動きについて行けないと判断したからです。」
「そうか、その判断は正しいな。」

父に不意に尋ねられる。最初のラグヮジャとの戦いで、自分が魔術を使う判断をしたことについてだ。
俺は父に自らの所見を答えると、その判断は正しいと言われた。父も俺の動きを見て、まだ接近戦は難しいと見ていたようだ。

「あそこで無理に切り込まなかったのはいい判断だ。戦闘にケガはつきものではあるが、防げるところは防ぐことが肝要だ。」

父は慎重さと冷静さを保つことの重要性を説く。とにかく父は命を大切にしている。
命を惜しんでいるわけでは無いし、家中の騎士たちも俺たちロートリース家の為に命を投げ出せる覚悟を持つ者たちだ。
だからこそ無駄に命を散らすことも散らさせることもないよう、慎重に事を運んでいる。

今回それほど苦戦しなかったのも、父や騎士たちが強いこともあったが、油断をせず慎重さを欠かなかったからだと思う。
いつも父に同様のことを繰り返し説かれていたが、今日初めて実戦を経験して、その重要性を身を以て感じることができた。

「母にまた一つ大きくなったお前を見せてやろう。きっと喜ぶぞ。」
「はい!」

今日魔物退治に出て以来ずっと厳めしい顔を見せていた父がふっと相好を崩す。俺もそれに合わせて自然と笑顔になり元気に答える。
そして母や兄弟。使用人たちが待つ家に戻って行った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

丘の上の嘆き岩

森羅秋
ファンタジー
とある街のとある孤児院の裏の丘の上に突然現れた大きな岩。 毎日深夜になると嘆き声を響かせる岩に恐れ、次々と家族が去ってしまう。 家族はきっと戻ってくる、と孤児院で待ち続けるフェール。 そんなある日、嘆き岩の様子を見に行った帰り道で、フェールは奇妙な魚と出会うことになる。 ***************** 中編小説くらいの長さです。 こちらの作品はpixivに載せているものを加筆&修正したものです。 *****************

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...