勇者ブレイドの冒険~無能な勇者(リーダー)呼ばわりで皆脱退?!でもかわいい女の子たちとハーレムパーティー組んだんで戻りたいと言っても遅い!

三浦ウィリアム

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第1章~無能な勇者~

第4話Part.4~そっちがそのつもりなら~

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 コング支部長の合図と同時にシューインが真正面から突撃。相変わらず好戦的な奴だ。ヤツの得物の方が攻撃範囲が広いためそれを利した距離から攻撃を仕掛けてきた。俺はヤツの攻撃を躱す。盾で受け流すより、避けられるなら避けた方が良い。攻撃を受け止めるだけでも腕には中々の負担になるからだ。

 俺はヤツの隙を伺いながら縦横正面と飛んでくる剣撃の風雨を全て避ける。ヤツは俺が攻撃を避け続けることに苛立ったのか横薙ぎの攻撃が少し大振りになった。
 この攻撃なら割り込める。俺はそう判断して前に踏み込む。ヤツの攻撃を盾で横に受け流しながらその動きと連動してヤツの首元へ一撃を加える。そのつもりだった。

 俺は受け流そうとしたものの、ヤツの剣撃の角度を逸らすことができない。そのまま正面で受けてしまい、俺は身体ごと剣で持ち上げられそのまま弾き飛ばされた。膝を突いたが体勢はなんとか保ったが、シューインの剣の凄まじい威力に観衆たちは歓声を上げた。そして俺に賭けていたであろう奴らは「今日の稼ぎパーじゃねえか!」などと勝手な事を言っている。

 しかし妙だ。さっき闘った時はこれほどの威力はなかったはず。あの時より怒っているとはいえここまで目に見えて威力が変わることなどないはずだが。
 あるとすればさっきの闘いは物凄く手を抜いていたということになるが、何発も殴られているのにそれでも手を抜き続けているなどということはありえないだろう。

「ちょこまかちょこまかと動き回ってるがぁ、所詮俺の力には敵わねえんだよォッ!」

 ヤツの剣が轟音を立てながら迫ってくる。俺は後ろに飛び退いて避ける。躱すことはできるが中々攻め手が見つからない。
 俺は攻撃を避けながら状況を整理し、ヤツの力が上がった理由に気づいた。おそらく補助魔術の力だろう。相手の腕力を増大する魔術をマリーが扱えたはずだ。相当な消費があるようで滅多に使用していなかったが、今は魔物との戦いでも冒険の道中でもない。それ故に消費を気にせず使ったのだろう。
 ヤツがそれを扱える可能性はあるが、昨日まで共に旅をしていて今日に覚えたとは思えない。そして今までの旅路で覚えていたのなら自己顕示欲の高いアイツのこと、覚えたと言って俺たちに見せびらかせているはず。それ故その可能性は真っ先に排除した。

 まあ決闘に補助魔術を使ってはいけないという規則は無いが、自分で使用できない魔術を仲間にあらかじめ使用させてから闘うとは随分と姑息な真似をする。
 俺は腕力を上げる魔術は使えないが、身体の動きを速くする魔術なら使用できる。そっちがそのつもりならこちらも補助魔術を使わせてもらおう。

「ラ・チェルド。」

 俺はヤツから距離を離して、向こうには聞こえないように身体の動きを速くする魔術を使用する。そして俺はヤツに無防備を装って近づいて行く。当然ヤツは攻撃を行ってくるが俺は避ける。そこからは再び攻撃を避け続ける。しかしヤツの攻撃が俺の身体を掠め始めた。

「ハハハ!てめぇちょこまか逃げるばっかじゃねえか。見苦しいんだよォッ!」

 ヤツは喚きたてながら剣を振るい続ける。だがここまでほとんど攻撃し続け、そしてそのほとんどを躱され続けていたので明らかに疲れが見えてきていた。剣速が鈍り、それを補うためか剣が大振りになってくる。俺はその攻撃を間一髪避ける。だが今度は半分重心を残し、すぐに前に出られるようにしていた。
 ヤツの剣が俺の前を通る。俺はすぐに体勢を戻して地面を蹴る。俺が本来持っている身体のバネと速力を上げるラ・チェルドの効果で一瞬で距離を詰めた。アイツの目は俺の動きを捉え切れていない。
 そして木盾でヤツの身体を力いっぱい押す。俺はヤツの身体を下から突き上げるように体当たりをかまして身体を浮かせてやり、そのまま尻から落とした。

 ラ・チェルドをかけていたのに身体に攻撃を掠めさせていたのはワザとだ。本当は掠めさせる気はなかったのだが、ワザと速さを抑えてヤツの目をその速さに慣らせてやり、隙ができた時に一気にトップスピードに乗り見えざる一撃を放ったのだ。 
 受け身の体勢を取れなかったシューインは倒れはしなかったものの右肘を地に突いてすぐに動けずにいる。俺はヤツの腹を足で押すように蹴り、そのまま上半身を押し倒す。ヤツの身体は仰向けになって動きが止まった。
 俺はそんなヤツの身体に跨るような体勢を取って、剣を逆手に持ってそのまま地に剣を突き刺す。もちろん顔に刺すわけがないがやろうと思えばできる体勢。俺の勝ちだ。

「そこまで!」

 俺が完全に勝利を決めた体勢を取ったと同時に支部長からも俺の勝利を告げる声が響いた。
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