14 / 35
第1章~無能な勇者~
第4話Part.3~君のためにも必ず勝つ~
しおりを挟む
「さっきどうして謝ったんですか?」
シューインと決闘することが決まった俺はギルド裏手にある空き地へ行く。ここで決闘を行うのだが、決闘用に用意された防具を装着している時にミリアからさっき謝ったことについて尋ねれられた。俺は用意された防具を装着しながら
「俺がもっと用心していればこうはならなかったかもしれないことに巻き込んでしまったからだ。」
自分が確たる証拠を持っておらず不要な決闘を行わされることになり、そしてもし自分が負けたら彼女自身も汚名を被ってしまうことだって有り得る。もっと自分がしっかりとしていればよかったんだと俺はもう一度謝った。
「謝らないでください。私も何も言えなかったですし……。」
ミリアは目を伏せながら沈んだ声で俺にそう答える。彼女も責任を感じてしまっているようだ。俺はその時丁度防具を手足と胴体に装着し終わった。そして彼女のすぐ近くまで行き、彼女の両肩に手を置いた。ミリアは顔を上げて「どうしたんですか?」と怪訝そうな顔をして尋ねた。
「必ず勝ってくる。」
俺は彼女のためにも必ず勝たなければならない。俺は闘いに向かうため彼女に背を向けて空き地の中心へと歩みを進めながら頭部の防具を装着した。
今回の決闘用の防具は怪我を少なくするために身体中に防具を装着している。木剣での決闘なので防具も多少は軽い素材で作られてはいるものの、やはり全身装備はかなり重さを感じる。だがそれはシューインの方も同じ。
俺は片手木剣と木盾を持ってシューインの準備を待った。
元々草原の街道沿いに作られたこのロデードの町、この空き地はその草原の名残があった。足を踏み鳴らしてみると地面は非常に柔らかく、攻撃で吹き飛ばされて落下してもダメージが多少吸収されるだろう。
そして決闘が行われると聞いて、ギルド内に居た冒険者や町の住民が続々と集まり始めた。集まっている者たちをよく見てみると何やら賭け事のような事まで始めている。更には酒の杯を片手に見ている者も。この決闘はある意味娯楽のようになっているのかもしれない。
俺が空き地や見物人などを見回している間にシューインの準備もできたらしい。ヤツも俺と同じ防具を身につけ、そしてヤツの得物と似た長さの長木剣を持っている。
顔を保護するために鉄仮面付きの兜を装備しているためヤツの表情は全く分からないが。どうせニヤニヤとしているのだろうと思う。
審判役のコング支部長が対峙する俺たちの間に立つ。
「お互い、準備はできたかな?」
「もちろん!」
「いつでも大丈夫です。」
彼の言葉に即座に反応するのがシューイン。俺も準備はできていると答えると支部長は両腕を広げて俺たちに少し距離を取るように指示をする。
俺もシューインも後ずさるように距離を取る。そして「構え!」という声で戦闘態勢を取り「始め!」の声で動き出した。
シューインと決闘することが決まった俺はギルド裏手にある空き地へ行く。ここで決闘を行うのだが、決闘用に用意された防具を装着している時にミリアからさっき謝ったことについて尋ねれられた。俺は用意された防具を装着しながら
「俺がもっと用心していればこうはならなかったかもしれないことに巻き込んでしまったからだ。」
自分が確たる証拠を持っておらず不要な決闘を行わされることになり、そしてもし自分が負けたら彼女自身も汚名を被ってしまうことだって有り得る。もっと自分がしっかりとしていればよかったんだと俺はもう一度謝った。
「謝らないでください。私も何も言えなかったですし……。」
ミリアは目を伏せながら沈んだ声で俺にそう答える。彼女も責任を感じてしまっているようだ。俺はその時丁度防具を手足と胴体に装着し終わった。そして彼女のすぐ近くまで行き、彼女の両肩に手を置いた。ミリアは顔を上げて「どうしたんですか?」と怪訝そうな顔をして尋ねた。
「必ず勝ってくる。」
俺は彼女のためにも必ず勝たなければならない。俺は闘いに向かうため彼女に背を向けて空き地の中心へと歩みを進めながら頭部の防具を装着した。
今回の決闘用の防具は怪我を少なくするために身体中に防具を装着している。木剣での決闘なので防具も多少は軽い素材で作られてはいるものの、やはり全身装備はかなり重さを感じる。だがそれはシューインの方も同じ。
俺は片手木剣と木盾を持ってシューインの準備を待った。
元々草原の街道沿いに作られたこのロデードの町、この空き地はその草原の名残があった。足を踏み鳴らしてみると地面は非常に柔らかく、攻撃で吹き飛ばされて落下してもダメージが多少吸収されるだろう。
そして決闘が行われると聞いて、ギルド内に居た冒険者や町の住民が続々と集まり始めた。集まっている者たちをよく見てみると何やら賭け事のような事まで始めている。更には酒の杯を片手に見ている者も。この決闘はある意味娯楽のようになっているのかもしれない。
俺が空き地や見物人などを見回している間にシューインの準備もできたらしい。ヤツも俺と同じ防具を身につけ、そしてヤツの得物と似た長さの長木剣を持っている。
顔を保護するために鉄仮面付きの兜を装備しているためヤツの表情は全く分からないが。どうせニヤニヤとしているのだろうと思う。
審判役のコング支部長が対峙する俺たちの間に立つ。
「お互い、準備はできたかな?」
「もちろん!」
「いつでも大丈夫です。」
彼の言葉に即座に反応するのがシューイン。俺も準備はできていると答えると支部長は両腕を広げて俺たちに少し距離を取るように指示をする。
俺もシューインも後ずさるように距離を取る。そして「構え!」という声で戦闘態勢を取り「始め!」の声で動き出した。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる