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第1章~無能な勇者~
第1話Part.3~貧乏勇者、街で野宿する~
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仲間は去って行った。俺はしばらく立ち上がれずにいたがいつまでもここに留まっていても仕方がない。野営の道具もアイツらに持っていかれてしまったため日が暮れるまでに次の街に着かなければならない。
次の街には日が暮れるまでに到着できる予定ではあった。おそらくアイツらもその街に行っているであろうから少し気は進まなかったのだが何の準備もせずに野営するのは自殺行為と言える。俺は重い身体を引きずるように先に進み始めた。
なるべく魔物たちに会わないように慎重に進む。4人で居た時は対処もできたが今は1人。魔物は基本的に群れを成していることが多く数的不利は否めない。消耗を覚悟で戦えばなんとか撃退することも可能だろうがそんな戦い方を続けられる訳も無い。
魔物の気配を感じた時は茂みに隠れるなどして気配を伺いながらやり過ごし、鉢合わせてしまった時は基本的に奴等の目を眩ませて逃げを打った。
慎重に進んだ結果、街に着く頃には日がほとんど落ちてしまっていた。だが暗闇で前が見えなくなるまでには到着できた。この町はガルヴァン王国のロデードという宿場町だ。ガルヴァン王国の隣国であるパリッシュ王国に行く者たちが中継する町だ。
元々俺たちはパリッシュ王国に現れたという魔王の配下を倒しに行く道中だった。離脱したアイツらはこれからどうするのかは知らないが、俺はとりあえずこの辺りで仲間を探したかった。
仲間は失っても魔王を倒すことを諦めた訳じゃない。だが1人で魔王に勝てる訳もないので同志となってくれる者が必要だ。まあ同志は見つからないにしてもパリッシュ王国まで共に行ってくれる冒険者か傭兵辺りは見つけたい。
パリッシュ王国に行けばおそらく魔王の配下を倒せる者を探しているはずだし腕に覚えがある者も来ているはずなのでその者たちに加わってまずは討伐に向かう。
「はぁ?金がねえだ?帰った帰った。」
「そこを何とか……。馬小屋でもいいです。何なら下働きもします。力仕事なら自信があります。」
「馬小屋も空きはねえんだ。さっさと帰れ。」
街に到着はしたのだがまだ問題があった。奴等に金まで持って行かれて一銭も無い。当然宿屋に泊まるには金が必要だ。何とか下働きでも何でもするので泊めてもらえないかと宿屋の主人に頼んだのだが皆首を縦に振ってくれなかった。
俺は肉体的にも精神的にも疲労してフラフラとしながら町を彷徨う。そして見つけたのは大きな橋。上部に向かって曲線に掛けられた橋で下を見てみるとちょっとした隙間があった。
もう最悪雨を凌げればそれでいいと俺は下に降りて橋の下に入った。俺は橋に背中を預けて胡坐をかいて座る。土台は石を切り出した物のようで当然硬い。
こんなところで寝れるのだろうかと思ったが、俺の疲労は想像以上に大きかったようですぐにウトウトとしてきたと思った時にはもう眠りに落ちてしまっていた。
次の街には日が暮れるまでに到着できる予定ではあった。おそらくアイツらもその街に行っているであろうから少し気は進まなかったのだが何の準備もせずに野営するのは自殺行為と言える。俺は重い身体を引きずるように先に進み始めた。
なるべく魔物たちに会わないように慎重に進む。4人で居た時は対処もできたが今は1人。魔物は基本的に群れを成していることが多く数的不利は否めない。消耗を覚悟で戦えばなんとか撃退することも可能だろうがそんな戦い方を続けられる訳も無い。
魔物の気配を感じた時は茂みに隠れるなどして気配を伺いながらやり過ごし、鉢合わせてしまった時は基本的に奴等の目を眩ませて逃げを打った。
慎重に進んだ結果、街に着く頃には日がほとんど落ちてしまっていた。だが暗闇で前が見えなくなるまでには到着できた。この町はガルヴァン王国のロデードという宿場町だ。ガルヴァン王国の隣国であるパリッシュ王国に行く者たちが中継する町だ。
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仲間は失っても魔王を倒すことを諦めた訳じゃない。だが1人で魔王に勝てる訳もないので同志となってくれる者が必要だ。まあ同志は見つからないにしてもパリッシュ王国まで共に行ってくれる冒険者か傭兵辺りは見つけたい。
パリッシュ王国に行けばおそらく魔王の配下を倒せる者を探しているはずだし腕に覚えがある者も来ているはずなのでその者たちに加わってまずは討伐に向かう。
「はぁ?金がねえだ?帰った帰った。」
「そこを何とか……。馬小屋でもいいです。何なら下働きもします。力仕事なら自信があります。」
「馬小屋も空きはねえんだ。さっさと帰れ。」
街に到着はしたのだがまだ問題があった。奴等に金まで持って行かれて一銭も無い。当然宿屋に泊まるには金が必要だ。何とか下働きでも何でもするので泊めてもらえないかと宿屋の主人に頼んだのだが皆首を縦に振ってくれなかった。
俺は肉体的にも精神的にも疲労してフラフラとしながら町を彷徨う。そして見つけたのは大きな橋。上部に向かって曲線に掛けられた橋で下を見てみるとちょっとした隙間があった。
もう最悪雨を凌げればそれでいいと俺は下に降りて橋の下に入った。俺は橋に背中を預けて胡坐をかいて座る。土台は石を切り出した物のようで当然硬い。
こんなところで寝れるのだろうかと思ったが、俺の疲労は想像以上に大きかったようですぐにウトウトとしてきたと思った時にはもう眠りに落ちてしまっていた。
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