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プロローグ~あの日の青年~
しおりを挟む……次に彼女が目覚めたのは、いつもの施設の自室だった。
母親代わりの職員達に話を聞くと、ひとりの青年が気絶した彼女をここまで運んできたのだと言う。
ベッドに横たわっていた彼女は、職員に支えられながら重たい身体を起こした。
ふと…
『 ……?』
横に目を遣ると
『 あのジャケット… 』
『 ああ、あれはミレイちゃんを運んできてくれた男の子が、あなたに着せてくれていた服よ 』
返すタイミング逃しちゃってねぇ
そう話しながら、職員の女性は壁にかけたジャケットを手にとって彼女に渡した。
サイズの大きな男物の上着。
彼女は渡されたそれをじっと見詰める。
『 ──…!! このバッジ、って 』
そして彼女は、ジャケットの胸元に光る銀色のバッジに目を止めた。
翼の模様をした独特なデザイン──
それを彼女はよく知っていたのだ。
職員を押し退けてベッドから飛び降りた彼女は、机の上の引き出しを開けて、そこにある木箱を取り出した。
木箱を開けると、そこには亡き母の形見が入っている。
“ …ほら、やっぱり ”
『 同じバッジ…!! 』
母の形見は、青年のジャケットに付いたそれと全く同じ物。
『 なら、あの人は── 』
.......
それは運命的な出会い。
……もしくは偶然。
その小さな事件と、顔すら知らない青年との出会いは、彼女の胸にしまわれる。
そして二つのバッジは、仲良く木箱に収められた。
なんの因果か……この出来事が、彼女をあの場所へ導くことになる。
あの青年との、再会へと───。
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