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第四巻
僕は君しか──
しおりを挟む──…
『 おい! しっかりしろ! 』
君がさ、初めて僕の前に現れた時──
橋の上で倒れていた僕を見て、尻餅をつくくらい驚いていたよね。
でもそれは僕だって同じだったんだ。
身体の全てが震えた。
君を見た瞬間に目を疑った。
その証拠に、僕は君から目をそらせなかったさ。
それまでの僕は、こんなくだらない世界に、生きる意味なんて見いだせなかった。
身に覚えのない濡れ衣を着せられ、組の追っ手から逃げる日々。見つからないように人里を避けて移動すれば、時代にあぶれた無法者たちがいい餌を見つけたとばかりに狙ってくる。
醜い
醜いんだ、人間なんて……。
ひとりひとりは何の力も無いくせにうじゃうじゃと群がっては
自己完結な理論で
自分勝手な理想を語る。
弱さを隠すために異形のモノを怖れ、迫害することで安堵を得ようとする。
……うんざりだった。
とっくに諦めていた。
だからあの日も、治癒能力の高さゆえに死ぬことさえできない……そんな自分を呪っていたんだ。
なのに、君がさ
……君が僕に、生きてもいいんだって、教えてくれたんだよ?
君が居場所をくれたんだ。
互いを理解し合える存在──それを直感できたことへの、驚きと喜び。
僕たちは、出会った瞬間から仲間だったから。
仲間だなんて、そんなものの存在さえよぎりもしなかった地獄の中で……
君だけが花だ。
君だけが綺麗なんだ。
僕が生きようと思ったのは、綺麗な君を醜い人間から守りたいと思ったからだ。
だからずっと一緒にいさせて。
僕は君しか信じられない。
僕は君しか必要ない。
僕は君しか、愛せない──。
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