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掲げた使命
掲げた使命_5
しおりを挟む「止まって!」
青年たちに向けていた震える切っ先は
ゆっくりと……彼女の首にあてがわれた。
「──…ッ」
「行かせてくれないと…この場で死ぬわよ」
セレナの喉元で放たれた鋭利な輝きに、驚愕した二人は凍りついたように動きを止める。
「わたしは剣の素人だけど、自分の喉をかき切るぐらいはできるわ……」
「お、落ち着けってセレナ様……」
「早く退きなさい」
「……っ」
セレナの異常な行動の、その迫力にただただ圧倒されるばかりだ。
「──…そこを退いて!」
彼女に鋭く睨み付けられ二人は背筋に寒気を覚えた。
何故なら彼女は決して冗談ではない……その覚悟がひしひしと伝わってくるからだ。
無数のトゲで肌を刺されるように、はっきりと。
「今戻っても手遅れです!! きっとッ…あちらは戦場だ…っ…!! あ…危ないですよ!」
「──…それでも行くわ」
「…っ…何故ですか?」
「……」
何故って、そんな
正当な理由なんてない
正しい答えなんて見つからない
今の想いを口走ったら…誰もがわたしを侮蔑する
けれど
わたしは、" 彼 " のことを……!!
「二人はこのまま街に帰って」
セレナは柄を持つ手に力を込める。
「絶対に……追って来ないで」
固まった彼等を見据えたまま後ずさった。
そして──
ある程度の距離ができると、短剣を片手に背を向けて走り去った。
セレナの目は揺れていない。その背中は迷い無かった。
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