銀狼【R18】

弓月

文字の大きさ
上 下
33 / 63
淫らな罠

淫らな罠_4

しおりを挟む

 銀狼は彼女の顔を覗きこみ、ほてった頬に手の甲を添える。

「まだ熱いか…」

「…っ…もう、ハァ、…無理……!! 」

 厭気を抜くためと言われてもこれ以上あの荒療治を続けられては精神がもたない。

 怯えるセレナは咄嗟に脚を閉じた。


「──…そうであろうな」

「?」


 だが意外なことに銀狼は頷いた。

 セレナがそう答えるのは重々承知と言いたげな口調で、彼は頬から手を離す。

 長い睫毛で隠された瞳を俯かせ──

 そしてセレナの手元に転がされた果実の皮を手に取った。

「それさっきの実の…」

「セリュスの果皮だ」

 首を傾げたセレナの前で、臼桃色の皮から残った実の部分を剥ぎ取っていった。

「ハァ……ハァ……どうする、の?」

「セリュスの果皮は解毒の作用をもつ」

「えっ…」

「残った厭気はこれで解毒できる」

「──…!」

 解毒──?

 ああ、だから森の小鳥はこの実を食べても平気だったのか、と

 セレナの疑問が解けたところで……

” それなら、そもそも “

 納得できない事が増えてしまった。

 銀狼がセレナに皮を差し出したが、彼女はすぐに受け取ろうとしない。

「どうした。この程度の渋味も我慢できないのか、人間は」

「そうではなくてっ…! …そんな便利な方法があるならどうして先に教えてくれなかったの……?」

「……」

「……あ、あんな方法……使わなくてもよかったのに……!!」

「…あんな方法?」

「だからッ…// さっきの……っ」

 言葉に詰まるセレナ。

 彼女の口に、銀狼は果実の皮を押しこむ。

「……むッぐ」

「……黙って食べろ、セレナ」

 そして渋い皮の味に顔をしかめたセレナに、小馬鹿にした様子で口の端を上げた。

 また、弄ばれた…!

「ひどい人ね、あなたって……」

「フっ…」

 セレナが何か言おうとすれば次の果皮が押し込まれる。

 やりどころの無い羞恥を胸に、彼女は大人しく食べるしかなかった。








───



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

パパのお嫁さん

詩織
恋愛
幼い時に両親は離婚し、新しいお父さんは私の13歳上。 決して嫌いではないが、父として思えなくって。

処理中です...