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禁断の森
禁断の森_3
しおりを挟む「馬どもが興奮してるな」
「何だぁ?あいつらどうした」
外に繋がれた馬達の様子がおかしい…。何かに怯えたようにけたたましく鳴いている。
男達はセレナの首輪から伸びるロープを中央の柱にきつく括り付け、彼女が逃げられないようにした後で、馬をなだめに外へ出た。
セレナは小屋にひとり残される。
「…何の、騒ぎ…?」
まさかお父様が助けに…?
いや、それはあまりに早すぎる。けれど
──いずれにしても、これが奴等から逃げるための絶好のチャンスであることに変わりない。
“ 今なら誰もいない。今なら……!! ”
セレナはドレスの中に手を入れた。
もしもの為に持っておけと父親に言われていた護身用の短剣。脚に忍ばせていたそれを彼女は取り出した。
“ 急がないと……!! ”
首輪と柱を繋ぐロープに刃を立てて、焦る彼女の額に汗が滲む。
手元が震える。
指に力が入ってくれない。
お願いだから……!!
「…ッ…切った」
そして彼女はなんとかロープを切り終わり、連中が戻る前に急いで小屋を出た。
外では相変わらず、男達が暴れる馬に手こずっていた。
“ どこか隠れる場所…っ ”
街まで続く道は見晴らしがよく、隠れられるような場所が無い。
セレナは仕方無く森に入った。
「あ! 畜生、馬が逃げやがった…っ」
その間に手綱を振り切って馬が逃げていく。
悪態をついた拍子に振り返った男のひとりが、逃げるセレナの後ろ姿を目にして信じられないとばかりに叫んだ。
「おい!? 女も逃げてるぞ!」
「…っんだと!? 」
「──…!! 」
気付かれた。
青ざめたセレナは、振り向く勇気などなく飛び跳ねるように走り出した。
男達は馬を諦めセレナを追い始める。
彼女の後を追って森の中に入ろうとした。
──彼等は、もっと深く考えるべきだったのだ
「……ん? おい…ッッ」
「何だ…!? あの獣…!! 」
何故、この道を誰ひとりとして通らないのか。
何故、山小屋の住人は
家を捨てこの地を離れたのか──。
「狼だあああ!!!」
それが、逃げるセレナが聞いた彼等の断末魔の叫びであった───。
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