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prologue
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しおりを挟むおやおや。
お前さんときたら…また森に近付いたのかね?いけない子だ。
──友達との度胸試し?そんならもっと別の方法でやりなさいな。
あの森は駄目だよ。……絶対にねぇ。
どうして駄目かって?
そりゃあお前ぇ……
狼たちがいるからに決まっておろうが。
それにねぇよくお聞き。
あの森には、もっと、もっと恐ろしいものが棲んでおるんじぁよ……。
そいつの正体は狼──
でもただの狼じゃあない。
わしら人間が此処に来るずうっと前から何百年、いや何千年 、" あの森 " に棲んでおる。
その化け物の名前はね
『 銀狼 』と
そう言うのだよ……。
森深くの何処かにある、奴等の巣くう聖地──
そこで、その夥しい数の狼たちを従える首領のようなモノと言われとる。
しかもその " 化け " 物は文字通り、わしら人間と同じ姿に化けることができる。そんな恐ろしい力を持っているのじゃよ。
──ん?
どうしたんだい?急にそんなに震えだして……暖炉の火が弱いのかい?
……違う、とな。ではなんじゃ。
──…人間の姿に化けるんなら、もしかしたら近くに紛れ込んでいるかもしれない?
ハッハッハ
素直で可愛い子だのぅ……。安心しなさい、そんなことにはならんから。
いくら姿形が同じであろうとその男の容貌は──この世の者とは思えない、凍り付くような美しさと聞く……。
そんな化け物がいたならば、一目でわかろうて。
大丈夫、大丈夫じゃ……。
さぁこれで、化け物の話は終わりとしよう。
いいかお前さん、わしの話を聞いたからには、もう二度とあの森に近づいてはいけないよ。そうすれば平気じゃ……。
──なんだい
どれくらいその銀狼が美しいのか気になるだって?
そうじゃのう……。わしも直接見たわけではないからのぅ。
でも、気をおつけ。
どんなに見てくれが美しかろうと
皮を剥げば中身は狼──。……残虐な、獣じゃあ。
気をおつけ
気をおつけ───…。
──…
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