銀狼【R18】

弓月

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prologue

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 おやおや。


 お前さんときたら…また森に近付いたのかね?いけない子だ。


 ──友達との度胸試し?そんならもっと別の方法でやりなさいな。


 あの森は駄目だよ。……絶対にねぇ。


 どうして駄目かって?


 そりゃあお前ぇ……


 狼たちがいるからに決まっておろうが。


 それにねぇよくお聞き。


 あの森には、もっと、もっと恐ろしいものが棲んでおるんじぁよ……。




 そいつの正体は狼──


 でもただの狼じゃあない。


 わしら人間が此処に来るずうっと前から何百年、いや何千年 、" あの森 " に棲んでおる。




 その化け物の名前はね


 『 銀狼 』と


 そう言うのだよ……。




 森深くの何処かにある、奴等の巣くう聖地──


 そこで、そのおびただしい数の狼たちを従える首領のようなモノと言われとる。


 しかもその " 化け " 物は文字通り、わしら人間と同じ姿に化けることができる。そんな恐ろしい力を持っているのじゃよ。





 ──ん?


 どうしたんだい?急にそんなに震えだして……暖炉の火が弱いのかい?


 ……違う、とな。ではなんじゃ。


 ──…人間の姿に化けるんなら、もしかしたら近くに紛れ込んでいるかもしれない?


 ハッハッハ


 素直で可愛い子だのぅ……。安心しなさい、そんなことにはならんから。


 いくら姿形が同じであろうとその男の容貌は──この世の者とは思えない、凍り付くような美しさと聞く……。


 そんな化け物がいたならば、一目でわかろうて。


 大丈夫、大丈夫じゃ……。


 さぁこれで、化け物の話は終わりとしよう。


 いいかお前さん、わしの話を聞いたからには、もう二度とあの森に近づいてはいけないよ。そうすれば平気じゃ……。





 ──なんだい


 どれくらいその銀狼が美しいのか気になるだって?





 そうじゃのう……。わしも直接見たわけではないからのぅ。





 でも、気をおつけ。





 どんなに見てくれが美しかろうと


 皮を剥げば中身は狼──。……残虐な、獣じゃあ。






 気をおつけ





 気をおつけ───…。











──…





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