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第五章
罠
しおりを挟む「ハァっハァっ、ごめん遅くなったー」
それから数刻後、武具の保管庫に戻ってきたオメル。
つまみ食いを見つかり散々逃げ回った彼は、走った後で息を切らしていた。
「あいつらの休憩が終わったみたいで助かった。でも今日の夜はばったり会わないように気を付けなくちゃ」
しかし、先ほど腰を下ろしていた場所にシアンの姿がない。
「……あれ、シアン?」
・・・・・
「シアンどこ?」
声をかけても返事はなかった。
保管庫の中に入って探してみるも、人の気配はしない。
武具が押し込まれたその部屋は窓が無く、扉を閉めれば真っ暗になる。今は外が明るいためうっすらと中を見渡せるが、夜になれば何も見えない。
“ だから日が高いうちに作業を終わらせようって、シアン言ってたんだけど… ”
「うーん、便所かな」
ギィーー…
「──シアン?」
その時、唯一の出入り口である扉が閉まる音とともに、部屋に射し込む光が失われた。
「シアン戻ったのか?」
「……」
「扉しめたらなにも見えないぞ。開けろよ」
「……」
「ぇ……!?」
“ 違う──シアンじゃない ”
「だ、誰だよあんた……!?」
狭い室内で後ずさるオメルに、逃げ場は無く──
中に押し入ってきた何者かに、いとも簡単に捕らえられた。
──…
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