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しおりを挟むカタカタ、カタ、カタ、カタ....
カタ
おや、変だな。
あんなに五月蝿かった頭の中が、一転して静かになっていく。
秒針が止まりそうだ
壊れる寸前の壁掛け時計のように──。
決して時間は、止まらないけれど。
カタ、カタ、カタ
ねぇ?
僕の愛しいお嬢さん。
君が何と言おうとさ、僕はやっぱり人間になりたかったよ。
人間は君が言うように、嘘つきで、卑怯で欲深くて、弱い存在かもしれないけれど。
それでも、誰もが……僕より自由に生きていた。
つらい過去や、忘れたい記憶を引きずりながら
そんな苦しい日々の中で
愛したい人を、愛していたんだ。
ねぇ……僕は、どうしてマスター以外を愛してはならないのか。
何故 君 自身を愛しては……いけないのだろうね。
この憤りが……ああ、そうか
これが本当に感情なら、まっさらになった後も、君に愛を誓えるのに。
更新されたその先で──君と同じ景色を、記憶に刻んでいけたのに。
(完)
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