上 下
9 / 28
一章

1-9

しおりを挟む

「アイドルかぁぁぁぁぁ!!」
俺はとても緊張しながら天照さんの部屋で脱力した感じで寝転がる。それを天照さんはニヤニヤして俺を見守っている。「というか絶対この顔アイドルと言うよりは別の事で俺を見てるな!」と思うのも一瞬。またこれからのことについて考える。

「お主らしくないのう。」
さっきまでニヤニヤしていた天照さんもあまりにも静かな俺に心配したのだろうか。それともいつもふざけてる俺が悩むのが物珍しいのか。

「天照さんならこんなスケールのでかい活動するとなったらどうする?」

「わからんのう。じゃが、一緒に歌っていた時のお主はとても見た事のない笑顔を浮かべていたぞい」

 「そうか」

ふと俺はシャウトをしている。ロックスターを見てそれに憧れているところを思い出す。

「ウジウジしても仕方ねぇな!!佐々木先生のそばにいられる利点はデケェし!! 天照さん!よーく聞け!」

「ん?」

「俺は佐々木先生の事が好きだぁぁぁぁぁ!!!」

俺が叫ぶと同時に佐々木先生本人が居酒屋に来店した…のだ。
一瞬で俺は気まずくなった。
 
 「ま、ま、ま、ま、ま、嘘だろ! 佐々木先生…」
俺は顔を赤くした。
彼女を見るだけで胸の中がドキドキしていく。

「そっか…。」

「どうなんですか…? 佐々木先生…。」

佐々木先生は俺の頭を優しく撫でてくれる。

「えへへへ…」

「ごめんねー。私、結婚してるんだぁ」

「分かってました。先生可愛いもん…。」
佐々木先生は連絡先を俺のスマホに入れる。
スマホのSNSアプリRainに入った新しい友達には佐々木七瀬と新しく追加される。素直に喜べないや。

それにしても結婚してたんだな…。ははっ…そいつは相当かっこいい人なんだろうな…。

俺は大泣きしたい気持ちを抑えかわりにその分大笑いする。
佐々木先生が俺を抱きしめる。
 
 「にしし、泣くのは我慢するもんじゃないよ!」
佐々木先生が優しくそう言うと心の中の感情が全て爆発した。

「うわぁぁぁぁぁぁん!!」
大泣きしてる間は佐々木先生がずっとギュッと抱きしめてくれたのか早く落ち着く。

「…スッキリしました。」

「にしし、それは良かった。っと三人でアイドルする事がマネージャーさんから許可貰えたよ!」

「そうですか! じゃあ、頑張りましょう!佐々木先生!」

「にしし、学校の外では七瀬で良いよ! 頑張ろうね!」

それにしても…柔らかくてなんか良かったなぁ。何がとは言わんぞ!!これは俺の中でとどめるぞ!


そして佐々木先生が居酒屋から去った後の出来事。

「お主は失恋の立ち直りが早いのう。驚いたわい」

「なーに!たしかに喪失感はデカかったがそれでも七瀬がとても可愛いという事実には変わらん!」

「そうかいそうかい」

七瀬、俺は失恋したとしても俺の気持ちは揺るぎはしないぞ。しつこく追いかけたりはしないけど。失恋後でも思ってる感情を歌詞で例えさせてもらうわ。
たった一つたしかな事があるとするのならば
「君は綺麗だ。」
(Pretender  歌ってる人Official髭男dism)より
これは心でとどめておこう。天照さんや本人に聞かれたら恥ずかしいからな。

 続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

「お節介鬼神とタヌキ娘のほっこり喫茶店~お疲れ心にお茶を一杯~」

GOM
キャラ文芸
  ここは四国のど真ん中、お大師様の力に守られた地。  そこに住まう、お節介焼きなあやかし達と人々の物語。  GOMがお送りします地元ファンタジー物語。  アルファポリス初登場です。 イラスト:鷲羽さん  

黎明のヴァンパイア

猫宮乾
キャラ文芸
 仏国で対吸血鬼専門の拷問官として育った俺は、『オロール卿』と呼称される、ディフュージョンされている国際手配書『深緋』の吸血鬼を追いかけて日本に来た結果、霊能力の強い子供を欲する日本人女性に精子提供を求められ、借金があるため同意する。なのに――気づいたら溺愛されていた。まだ十三歳なので結婚は出来ないが、将来的には婿になってほしいと望まれながら、餌付けされている。そんな出会いと吸血鬼退治の物語の序幕。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

宮廷の九訳士と後宮の生華

狭間夕
キャラ文芸
宮廷の通訳士である英明(インミン)は、文字を扱う仕事をしていることから「暗号の解読」を頼まれることもある。ある日、後宮入りした若い妃に充てられてた手紙が謎の文字で書かれていたことから、これは恋文ではないかと噂になった。真相は単純で、兄が妹に充てただけの悪意のない内容だったが、これをきっかけに静月(ジンユェ)という若い妃のことを知る。通訳士と、後宮の妃。立場は違えど、後宮に生きる華として、二人は陰謀の渦に巻き込まれることになって――

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...