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妖魔篇

妖魔編-5

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「ん……」
 気がついたら私はふかふかのベッドで眠っていた。
 そして、隣にはポニーテールメイドが1人で椅子に座って見守っていた。
「気が付きましたか?」
「ここは…?あなたは…誰ですか?ココアさんは!?ブランは!?」
「落ち着いてください。おばさまと使い魔様は一階のリビングでくつろがれてもらっています。さて…私は鈴音メイリンと言います。今のところは…この娘の身体をかりて二つ名があるんだけどね?ふふっ」
 私はメイドに殴りかかったがメイドはいともたやすく私の拳を止める。そして、彼女は笑顔を崩すことなく説明を続けた。
 「私はあなたのよく知っている者です。二つ名はアスモデウス。」
 「マスター… 」
マスターは名前を名乗ったなら黙っていた。あくまでも鈴音メイリンを演じているのだろう。
「あの…私は本来は佐々木七瀬というものですか?」
 「さようです。あなたが行方不明になっている。佐々木七瀬ですよ。」
メイドは説明している途中で後ろに向かってフォークを思いっきり投げた。
「にゃぁっ!?」
「ブラン!?」
ブランはギリギリフォークを避ける。
「流石ですね。動きが洗練されています。」
「死ぬと思ったにゃっ!」
「そうですね、当たったらあなたの頭は熟したトマトのように潰れていたでしょうね。」
ブランはマスターの言葉に震え上がっていた。
 「さて、人が増えましたが、問題ないでしょう。あなたはアスタロトであるが本来は佐々木七瀬です。」
 「マスター…わけわからないですよ?佐々木七瀬は悪魔と契約したから魂が抜かれて今頃は天国でもなく地獄でもない無の世界に行っているのでしょう?」
「その佐々木七瀬を悪魔として蘇らせたのが私です。名前はアスタロト。」
「にゃ?つまり、新聞に載っている行方不明の少女はこの七瀬、ううん、ななっちという事で良いかにゃ?」
「見た目に寄らずに理解の早い人ですね。」
ブランは「にゃははっ」と笑っている中私は全然理解できなかった。
「覚えていない事も無理はないでしょう。なので、明日は客人を呼んでおきました。」
「…そうですか。」
「それと朝食を用意しますのでそれを食べ終わったら佐々木七瀬様は私と一緒に来て下さい。鍛え直してあげます。」
「えぇっ!?マスターが私に様付けをすると違和感しかないですよっ!それに鍛え直すって…」
マスター突然私にデコピンをした。するとデコピンの威力は凄まじく普通の人間なら頭がガラスのようにバラバラになるだろう。つまり痛いあまり声は抑えつつも痛みに悶えた。
 「未来を見通せるならこの程度の攻撃は避けられるでしょう?それが出来ないから修行相手になってあげます。」
「はい!」
私は気合を入れて返事をする。
「それとそこの猫も来て下さい。とっておきの技を仕込んであげます。」
「はいにゃっ!」
マスターは私達の返事を聞くとそのまま一階のキッチンへと向かっていった。
 
続く
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