カフェオレはありますか?

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 目覚ましが鳴って、僕の頭を沼の底から引き上げる。いつもは目覚ましが鳴る前に起きるのに。目覚ましを止めて息を吐く。不吉なことが起こらなければ良いが。眼鏡を掛けて、制服に着替えようとしたところで動きを止める。鞄と制服は、バイト先のロッカーの中だ。バイト先のロッカーの片付けは、檜山が引き受けると頑なに譲らなかったから、着替えも出来ず、荷物も残しそのまま仕方なく檜山に家まで送ってもらうことにしたのを思い出す。今日もテスト返却で終わるから、欠席しても大して困らないが、私服で弁当を届けに行くのも問題だよな。とりあえず、弁当を作りながら考えよう。部屋を出て階段を降りると、玄関の方から音がして足を止める。空き巣か?こんな早朝に空き巣はないか。だったら何だ?カチッと、鍵特有の音が聞こえた後は、がさがさと予想外の音が聞こえて眉をしかめる。何かを持ち込もうとしてるのだろうか。捻られたドアノブの向こうに現れた姿を見て、急いで階段を下りて中に入るのを防ぐ。僕と目があった不審者は、何事も無かったかのように笑って挨拶をしてきた。暢気に挨拶をしてくる馬鹿さ具合に頭痛がする。
「早朝から人の家で何をしてるんだ」
「サンタクロース」
「帰れ」
 ドアを閉めようと力を込めると、右足を滑り込ませられてしまい、閉められなくなった。これ、力任せにやったら、ドアと足のどっちが先に壊れるだろうか。
「怖い事考えてないで、入れてくれると嬉しいんだけど」
 不法侵入をするつもりだったヤツを入れるわけないだろ。
「断る」
「あら、茜くん。元気になったのね。良かったわ」
 母さんの登場に、檜山を追い出すことが叶わなくなったと悟り肩を落とす。
「幸慈を迎えに来てくれたの?優しいわねぇ」
「おはようございます!今日も綺麗ですねっ」
「まぁ、嬉しい!幸慈、早く入れてあげなさい」
 盛大に溜め息を吐き出してからドアを開けると、紙袋だけでなく、段ボールも抱えていた事に気付く。朝から、両腕に紙袋をぶら下げて段ボールを抱える人間を見る日が来るとは。しかも、それを家に招くなんて。
「あらあら、大荷物ね。朝ごはん食べてきたかしら?」
「まだでーす!」
「じゃあ、一緒に食べましょ。荷物は幸慈の部屋に置いてらっしゃいね」
「はーい!」
 母さん、何故檜山にそこまで優しくするんだ。洗面所へ向かう背中を見送り、渋々檜山を入れて玄関のドアを閉めると、不満気な顔で溜め息を吐かれた。こっちが吐きたい。
「俺のあげた服じゃない」
「文句があるなら帰れ」
「おっ邪魔しまーす」
 檜山は箱を抱えて靴を脱ぎ、僕の部屋へ迷うことなく向かった。母さんの許可が出ているせいで、部屋の主に許可くらい取れと、文句が言えない。一体何を持ってきたんだか。それを考えるだけで疲れる。洗面所に行くと、顔を洗い終わった母さんが笑顔で僕の頭を撫でてきた。
「何?」
「茜くんは見る目があるわよねぇ」
「何の話?」
 質問に答えることなく、リビングに向かっていく母さんの背中に首を傾げる。檜山が関わると、決まってろくなことがないのに、母さんはそれが良いことみたいに言う回数が増えた。謎だ。眼鏡を外して顔を洗うと、バタバタと足音が聞こえて息を吐く。フェイスタオルで顔を拭いていると、足音が横で止まる。何だと思ってフェイスタオルから顔を放すと、檜山が覗き込むように顔を近付けてきた。それに少し驚いて見つめ返すと、檜山の顔が少し赤くなって離れていく。そのまま背中を向けてリビングへと走り出す。
「お母さーん!幸慈が今日も可愛いでーす!」
「でしょー!」
 なんだその良く解らない会話は。馬鹿しか居ないのか。朝からよくあんなに元気よく喋れるな。僕には無理だ。眼鏡を掛けて、フェイスタオルを洗濯かごに入れる。朝ごはん二人分と、弁当二人分か。檜山の分の弁当も作れと言われるだろうか。言われるよな。賑やかな声を出す二人は、僕の気苦労なんか知るよしも無いだろう。リビングへ行くと、檜山が盛大に欠伸をしていた。この時間に着替えて来るくらいだから、かなり早起きしたんだろう。そこまでしての荷物か。欲しくないな。
「幸慈、コーヒー淹れといたわよ」
「ありがとう」
「茜くんはカフェオレなら飲めたわよね?」
「わーい!ありがとうございます!」
 寝不足なのに元気だな。コーヒーを飲みながら、冷蔵庫の中身を確認していると、聞き慣れた音が聞こえて息を吐く。
「勝手に撮るな」
「はっ、絵になるなぁと思ったらつい」
「つい、じゃない」
 目の前の携帯を取り上げ、睨み付ける。
「あっ、俺の携帯!」
「盗撮するからだろ」
 取り上げた携帯の画面を見ると、まだ録画されていた。それを止めて、映像を削除すると、次の保存された映像が出てきて頭を抱える。嫌な予感がして他のデータを見ようとしたが、檜山が慌てて携帯を取り戻した事で阻止された。未来に相談するべきだろうか。
「母さんはお腹がすいたわ」
 とりあえず、今は母さんの要望を叶えることにしよう。夜のうちに、冷凍室から冷蔵室に移しておいた鮭を二切れ取り出して、フライパンを用意する。味噌汁は昨日の残りがあるからそれを使えば問題ない。ご飯のおかわりを禁止すれば、弁当分まで確保出来るだろう。フライパンに油を敷いて熱し、鮭二切れを入れる。冷蔵庫から豆腐を取り出して、容器から皿に移し鰹節を掛けダイニングテーブルに置く。鮭の焼き色を確認してひっくり返し、味噌汁を温める。お茶碗にご飯をよそい、テーブルに運んだ後、母さんのお気に入りのあさりの佃煮を、冷蔵庫から取り出す。
「それ何?」
「何って、佃煮だろ」
「つくだに?」
「知らないのか?」
「知らない」
 どうしたら佃煮を知らずに生きてこれるんだ。スプーンに少し掬って檜山に差し出す。
「食べてみるか?」
 そう聞くと、何故か檜山は固まってしまった。反応が無いので、小鉢にそれを移す。
「お母さん!幸慈がチョーゼツ可愛いです!」
「でしょー!」
 後何回このやり取りを聞くことになるんだろうか。佃煮を二人分用意してテーブルに運び、ガスコンロの火を止める。皿とお椀にそれぞれ盛って、テーブルに運び終わって時計を見て息を吐く。母さんが出るまで、まだ時間はあるな。
「美味そう!でも、幸慈の分はないんだね」
「幸慈の朝は専業主婦並みに忙しいのよ。食べるより動きたいが勝つの。ねぇ、佃煮食べてみて」
「いただきまーす!……美味!米進むやつ!」
「でしょー」
「二人とも、おかわり禁止だからな」
「えー!」
 喚き出す檜山を黙らせたのは、母さんの愛妻弁当の一言だった。テンションが高くなる檜山を放って、弁当箱を並べていく。今日はスナップエンドウと炒り卵の二色丼と決めていた事もあって、乗せるだけで済むように夜の内に作っておいたから、大分時間が短縮出来る。
「ガンスルーですけど」
「いつもの事よ。鮭美味しい」
 ご飯を敷いて、スナップエンドウと炒り卵をかけ、わざと開けた横のスペースにプチトマトを一個入れる。炒り卵の上に桜デンプンを散らして、昨日のハンバーグの残りをプチトマトの隣に詰めれば完成。キッチンカウンターに弁当箱を並べて、冷ましている間に、空いた容器やフライパン等を洗い、冷蔵庫の中の材料をチェックする。一通り確認した後、ゆっくりと息を吐き出す。二人の使った食器を片すにしても、少し余裕があるな。空になったカップを流しに置いて、歯を磨く為に洗面所へ向かう。玄関に見える予定外の靴に息を吐く。大人しく帰ってはくれないだろうな。洗面所に着いて、歯ブラシに歯磨き粉を乗せ口に咥える。右手で歯ブラシを動かしながら、洗剤の残りを確認する為、しゃがみこんで洗面台の戸を開ける。後五回分くらいかな。柔軟剤を手にとって量を確認していると、また足音が聞こえてきて横で止まった。今度は何だと顔を向けると、お椀を持った檜山と目が合う。何故お椀?
「味噌汁のおかわりは良いのかなぁって、聞きに来ました」
 それを聞きにくるのにお椀は要らないだろ。喋れない変わりに頷いて答えると、檜山は携帯を取り出してシャッター音を一度鳴らし去っていく。
「お母さーん!幸慈がベラボーに可愛いでーす!」
「でしょー!」
 色々と面倒になってきたな。洗剤の残りを確認して、歯ブラシを洗い、うがいを終えてリビングへ向かう。リビングに入る手前で足を止めて、壁に背中を預ける。しんどいな。母さんが楽しそうなのは良いことだ。檜山が理由なのは納得がいかないが、事実なのだから仕方がない。しんどいのは、いつもと違うから。平気な振りをしても、突然変わった日課に精神が付いてこない。体は元気なはずなのに、とても重く感じる。早く一人になりたい。そう思う僕は、最低だ。足音が聞こえて壁からゆっくりと背中を離す。母さんが僕を見付けて、困った顔をした。
「わがまま言ってごめんね」
「今に始まった事じゃない」
「そうね。それを叶えてくれようと頑張る姿は嬉しいけど、たくさん無理をさせてるのも知ってるわ」
 母さんは右手で僕の左頬に触れる。何かを言いたそうにしていたが、結局黙ったまま、階段を上がってしまう。母さんが残した左頬の温もりに、寂しくなった。母さんを傷付けたい訳じゃないのに。母さんが使った食器を洗うために台所へ向かうと、檜山が弁当箱の写真を撮っていた。
「弁当の写真も禁止とか言う?」
 も、って何だよ。人の事を散々撮っておいて今更何を悩んでるんだか。他に何かあるなら是非とも知りたい。
「言う気力もない」
 流しに食器が全部置いてあるのを確認して、スポンジに洗剤を付け水を出す。
「ごめんね」
 母さんに続いて檜山まで謝ってくるとは予想外だ。槍でも降るのだろうか。
「朝ごはんと弁当、無理して作ってくれてありがとう」
 バカ騒ぎしていた人間から予想外の言葉が出てきて驚く。こんな事が言えたのか。いや、保護者に怒られた事による成果とも考えられる。なら、効果は一日もたないかもな。
「悪く思うなら持ち込んだ荷物をどうにかしろ」
「そうだね。頑張ってきまーす」
 頑張るほどの物を持ち込んだのか。僕の部屋へと向かった背中に不安を覚えながら、手を動かす事に専念した。洗い物でも、勉強でも、一つの事をモクモクとやるのは好きだと思う。好きは違うな。楽と言った方がしっくりくるか。洗い物を終えて、食器を棚に片して弁当箱を袋へ入れる。支度を終えた母さんが戻ってきて、弁当箱を手渡すと、鞄に入れ天井を見つめた。
「何をあんなに持ってきたのかしら」
「知りたくない」
「嫌でも解るわよ」
 玄関に向かおうとする母さんに、いつもより早くないか、と質問すると、実習生が来るらしく、早めに準備しておきたいことがあるそうだ。医者ってだけでも大変なのに、それを誰かに教えるなんて凄いな。玄関まで付いていくと、檜山がバタバタと階段を下りてきた。
「お仕事行ってらっしゃい!」
「階段はゆっくり下りないと危ないわよ」
「はーい」
 檜山は母さんに少し顔を近付けて、何かをねだっている様だった。母さんはそれがすぐに解ったのか、柔らかく笑う。
「茜くんが笑顔でいられますように」
 そう言って、母さんがチークキスをすると、檜山は心底嬉しそうに笑った。
「行ってらっしゃい」
 俺と檜山に見送られた母さんは、いつもより上機嫌な気がした。
「お見舞いに来てくれたときもしてくれたんだ」
「良かったな」
「うん!あ、今何時だろ。間に合うかな」
 上の片付けを思い出して階段を駆け上がる姿に、母さんの忠告は虚しく散った。追いかけて部屋へ入ると、新品の鞄と制服が壁際のハンガーラックに掛かっていた。それだけでなく、あの日ロッカーに入れてあった物全部が新しく用意されている。ノートの中身も全部書き移してあると言われて確認すると、綺麗な字では無かったが、確かに全部移してあった。普通だったら何週間も掛かるものをたった一晩で用意するとか、有り得ないだろう。
「結構オジィに協力してもらっちゃったけど、無事に留年回避した御祝いとしてお願いしたら頑張ってくれたんだぁ。まぁ、幸慈の為と解った途端、協力的になったけど。オジィにどんな貸し作ったの?」
 子供のように無邪気に笑う顔には不釣り合いな隈が出来ていた。本当、バカなやつ。
「毎回同じ事を聞くな。貸しなんて無い。むしろ、こっちが作ってばかりだ。それより、少し寝てろ」
「でも、学校遅れちゃうよ」
 今にも寝そうな顔で何を言う。
「まだ時間はある。まぁ、今日くらい社長出勤気分を味わっても構わない。昼までに間に合えば良いし」
 昨日の今日で、一人で立ち向かえる気がしないしな。あの学校ばしょに、昨日のヤツが居る。そう思うだけで、足が重くなった様に感じた。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
 携帯でアラームをセットする姿に、何故かGPSの事を思い出した。
「盗聴機でも仕掛けるつもりだったのか?」
「それは仕掛けないよ(もう仕掛けてるなんて絶対に言えない)」
 それは、ってどういう意味だ。問いただす前に、限界を迎えた体は床に倒れ、ゆっくりと寝息をたて始めた。ベッドを使えば良いのに。未来には連絡をしておかないとな。携帯を取り出して未来にメールを送ると、知らないアドレスからメール通知が来た。本文も、添付された写真も開くつもりは最初から無かったが、その件名に手から携帯が落ちた。
「ん、幸慈?」
「あ、悪い、起こしたか。携帯落としただけだから、気にするな」
 そう言う僕の姿は、とても説得力がない。それは自分でも解っていた。落としたと言った携帯を見ることもなく、拾おうともせず座ったままの姿は、とても変に見えるだろう。
「幸」
 小さく呼ばれた名前に肩が跳ねる。檜山は横になっていた体を起こして、胡座あぐらをかいた体勢で、両手を僕へ伸ばしてきた。
「幸、おいで」
「呼ぶな」
 その呼ばれ方は好きじゃない。何度も言っているのに、檜山は止めてくれるどころか、こういう時に必ずそう呼んでくる。真っ直ぐに伸ばされた手に視線が止まって、息を吐く。その手を取ったら、楽になれるのかもしれない。でも、もう二度と一人で立てなくなってしまうかも。それを思うと、堪らなく苦しかった。そんな僕を追い詰めるように、メールの通知を携帯が告げる。反射的に携帯へ目を向けると、止めどなく通知が届き始めた。何で放っておいてくれないんだよ。何もしてないのに。何かを望んだことなんて無いじゃないか。
「幸」
 見るなと言うような、名を呼ぶ声に諭されるままに目をつぶった。もう、携帯の音が怖いのか、名前を呼ばれることが怖いのか。どちらとも解らなくなった僕は両手で耳を塞ぐ。もう嫌だ。何なんだよ。唇が震える。息が出来ない。そんな僕を誰かが抱き締める。震えた体は、この温もりを知っていた。
「大丈夫。ゆっくり息をして」
 背中を擦る手の動きに合わせて、ゆっくりと息を吐き、ゆっくりと吸う。それを繰り返して、息の仕方を思い出す。
「そう、上手」
 咳き込みながら、目を開けて檜山の姿を認識する。
「……茜」
「うん」
 やっとの思いで吐き出した言葉に、はっきりと返事が届く。
「茜」
「うん」
 あの夢が、終わったときみたいに、この夢も終わってくれれば良いのにと、願わずにはいられなかった。そうすれば、こんな気持ちを抱かなくて良いのに。指先に触れた何かを、すがるようにして握り締める。怖い。怖いんだ。何もかもが、どうしようもなく。
「俺がいる。俺が守るよ」
 今ならまだ、この言葉にしがみつかなくても生きていける自分に戻れる。僕はいつでも自分の事で手一杯で、周りが見えていない。だから、解放してあげないといけないんだ。なのに僕は、どんどん増えていく何かに怯えては期待している。苦しい。息をしているだけなのに、どうしてこんなに苦しいんだ。何も悪くないのに。自分の全てを正当化しようと、頭の中で言い訳を並べるくせに、それを認めたくない自分が居る。全部の悪になれば良いと思えば、失う何かにまた怯える惨めさに吐き気がするのに、止められない。ああすれば良い。でもこれは嫌。こうすれば良い。でもそれは嫌。その繰り返し。なんて醜いんだろう。この腕の中に居て良い存在じゃない。解ってる。なのに、動けない。動きたくない俺が居るんだ。たくさんの言い訳を並べて、居座ろうとする俺が居る。選ぶ資格なんて、無いくせに。
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