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いち

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ボクは何故なにゆえか段ボールの中にいる。

生まれた場所はこの世界じゃないのに。

姿形も違うのに。

でも、ボクはこの姿が気に入っちゃったんだ。

だって…好きな人ができたから。

きっと彼女がボクを迎えに来てくれるんだよ。

だからおとなしく待ってるんだ。

雨が降ったって大丈夫!

ボクはいつまでも待ち続けられるよ。

他の誰かじゃ嫌なんだ。

背の高い颯爽と現れたカッコいいおねえさん。

彼女が迎えに来てくれる。

そう信じてるんだよ、ボク。



…待ってても死にかけたらおしまいなんだ。

雨に濡れてるボクの体温を一刻、また一刻と奪っていくの。

そう、ボクは瀕死の状態まで陥っていた。



人目でいい…

死んじゃうのなら…もう一度だけあいたい。



必死に願ったら…ずっとずっと願ったら…

叶っちゃった!

もう、ボクはこの世から消えても満足だよ…

だから、抱きしめても泣かないで。

ボクは…幸せなんだから。

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