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舞台2ー7

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 男は立ち上がって懐から金子を取り出し、その中のひとつを詰まんで舞台に投げた。それは一分だった。
 この金額は陰間茶屋では一、二時間のおあいてだが、そんなことをこの男が知る筈もなくもちろん外の事を知らない那智が知る筈もなかった。

 安いのか高いのかはお客次第。
 男は両腕を組み上目使いで那智を見上げ、鼻を鳴らした。

 那智はその挑発を面白いと思った。
 こういう男は此処ではいない。

 どんな風に俺の乳首を味わうのか。
 想像しただけでゾクゾクするからだに火照りそうだ。

「おまえさん、舞台に上がってきな」

 男はそれなりの顔で男らしくからだも悪い見た目じゃなくそこそこしまっていそうだ。身なりは最前列に座るような町人風情よりかは身嗜みは整っていてそこそこ金子を持っているようなそんな風貌だ。そんな風貌でも遊び人には見えなかった。

 その男は……イヤラシイ薄くて細い唇をしている。

 男は舞台の傍まで来て舞台に手を乗せてジャンプをして舞台上に上がった。
 那智の前まで歩いていき、首を斜めに傾げた。

「どっちのが好みだい?」

 那智は扇子の先を自身の胸の中央を片方ずつ指し示した。

「じゃあ、左を頂戴しようかな?」
「その理由は?」

 那智は舌を出して上唇をゆっくり舐めて見せた。

「客席に見えるのはこっちの方だろ?片手はあんたの腰にやってもいいかい?」
「それは……どういう意味だね?」
「あんたのからだを逃がさないためさ!」

 その言葉が気に入った那智はうっとりしたような表情を見せた。もちろん演舞用の表情で。

「いいよ、きっちり十、俺のをしゃぶらせてやんよ」

 那智は左側の袷を掴み、左の胸をさらけ出した。
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