見世物小屋の少年たち【R18】

舞台１ー25

　俺は伊久のからだを肌襦袢が並べてある方の下手しもてに後ろ向けにし、はだけた着物の共衿をギュッと閉める。其処を伊久の手で掴ませた。
　今日は伊久の乳首は客には見せない……そう決めた。
　そして左腕で伊久の腰をしっかりと絡め客に伊久の肩から鎖骨、上腕半分の白肌を見せつける。

　静かに息を呑む客たち。
　これからはヤジなどは一切飛ばない。

　本気で伊久を楽しむ時間だと云うことは、空気でわかる客である。
　上気する顔をするのは伊久だけでではない。
　これから客も伊久の色香にやられるのだ。

　見せつけるように伊久の唇を右上唇の端からゆっくり左上唇まで俺の伸ばした舌で這わす。

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。も、もっとぉ……！た、たりな……はぁ……たり……な……い……」

　喘ぎ声の言葉もトーンも変わる伊久。
　キスをする時の行程すべて伊久はとろとろに蕩けるのだ。

　白い肌がほんわかと薄い桜色に染まっていく……

　その瞬間でさえ、客たちは見逃さない。

　客のゴクリと唾を呑み込む音があちこちから聞こえてきそうだ。
　まだキスの前戯だけでこの艶やさか……

　すべての客をこれだけで魅了していった……。