見世物小屋の少年たち【R18】

舞台１ー13

　頬がヒクヒクと引き吊り俺のこめかみを微かに震わせた。
　怒りがジワジワと胸に宿っていく。

　此処でそれは違うだろうが！
　　
　おねだり言葉は客が一番好む口調ではある。
　舞台でのおねだり言葉は、舞台客に見せる言葉。
　可愛く求めるおねだり口調の言葉は春を買う客にしかしてはいけない。
　大金を払ってくれる羽振りのいい客を取り込むための言葉使いなのだから。

　ー　その掟は誰であれ破ってはならない　ー

　今日は最前列の客も金子をふんだくるか……
　客にちょっと褒美をやりすぎたようだと、こっそり悪態をつく。

　そして俺は客に見えないようにため息をついた。

　此処でその言葉は厳禁だとあれほど口酸っぱく言った筈が……。
　どうやら俺は伊久を優しく甘やかしていたようだ。
　だから少しはバツを与えてやらないとな。

　間の抜けたおねだりをした伊久の両肩が客にしっかりと見えるように思いっきり着物を脱がせてやった。

「きゃ、きゃぁあああ！やっ、やだぁあああ！見ちゃ、やなのぉ！」

　伊久が泣きそうになりながら顔をイヤイヤって左右に振りながら叫ぶ。