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9 屯所までの道のり 3

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 山南は沖田の思いが痛いほど理解出来はしたものの、それを叶える気は更々なかった。

「悪かった。お前には酷な問いだった…。」

 すまんな、総司……

 山南はこの問だけは心の中だけで謝罪を留めることにした。

「ち…違う!」

 沖田は顔を真っ赤にしながらムキになって否定する。

 嘘じゃない!即答できなくっても一緒に居たいのは本当なんだ。だから戻らずに追いかけると決めてたんだ。なのに、どうして俺って………

 両手に拳を作りギュッと握りしめて耐えているが、そんなもの何一つ耐える効果なんてなかった。歩く足取りがますます重くなる。
 自分が処罰を宣告させるために導いてる……それは錯覚でもなんでもない事なのに、間違いであって欲しいとつい思ってしまうのだった。

「いいんだよ。わかってる。わかってるから、何もいうな、忘れてくれ…」

 苦しめちまったか……と思いつつも山南は自分を思ってくれる沖田に感謝していた。屯所までの道のりが苦痛でもなんでもなく、楽しく過ごせるのは沖田だからこそなのだと。


「敬…さ…」

 沖田は言葉が出てこなかった。

 本当に、違う…のに…言えない自分がただただ嫌だ!そう自分の事を思ってしまうのだが、それは山南にとって本意ではない。

 山南は話を切り替えることにした。

「昔の…試衛館の頃がいちばんよかったな…戻れるものなら…いや、よそうか」

 戻れる筈もない過去を、楽しそうに話すのはいいとしてもそこに戻りたいと願うのは勝手が違う。

 辛そうな顔しよって…本当にお前は…                     
 そんな沖田の顔を横でみるのは山南にとって流石に居た堪れない思いになった。
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