上 下
121 / 125
※第二部 建白書  心の内編

第六話 1 屯所の奥の部屋  

しおりを挟む
   屯所の奥の部屋へ向かい、襖を開ける


  山南がその扉を開けると……
 
 見るに耐えない二人の無惨な姿があり、その隣には寄り添うように山崎がいた……。



山南「山崎君……」
  (な…なんということだ!) 
  
   信じられないとでもいうかのように……

山崎「や、山南様……。ど、どうして?」
  (や、山南様?う、うそだ……みつかって……)
山南「本当に、本当に君が一人で……」
  (こんな……こんなことが……。)
山崎「あ、あの、あの……」
  (ど、どうすればいい?みつかってしまった!それも山南様に……!考えなきゃ……二人を護るためにも……)
山南「いいんだよ……わかっているから……。でもね、もうこれからは独りで背負わなくてもいい、私にも背負わせておくれ……。何も言わなくていいから、今日はゆっくりやすみなさい」
  (こんな事になっていたとは……私の責任は計り知れない。せめて少しでも償わねば…)
山崎「で、ですが……」
  (これは俺が決めた事!)
山南「よくやってくれたね、山崎君。御苦労であった……」
  (本当に君はよくやってくれたよ…)
山崎「山南様……」
  (山南様が俺を…俺なんかを労ってくれてる?なんでだろう……。う、嬉しい……)
山南「あとは私が看るからもう行きなさい」
  (監察の仕事をこなしながらこの上、このような辛い仕事を……少しでも休ませてあげねば、身が持たぬというものだ……)
山崎「で、ですが山南様……」
  (少しでも一緒に仕事がしたい。たとえ、この先辛いことになっても……!)
山南「どうしたんだい?」
  (私はもしかして差し出がましい事を言ったのでは?だが私に責任があることなのだ)
山崎「ですがやはり俺、ここまで看たんです。せ、責任があります……だから、さ、最後まで看たいんです……お願いします!」
  (出来る限りお願いして聞き入れてもらおう!俺はこのチャンスを逃したくはない!!)
山南「わかったよ……君は律儀な上に人優しいんだね。責任感も強い。嬉しいよ。君みたいな人が二人を看てくれていただなんて……。山崎君、無理はしないという約束でいいかな?」
  (本当にいい子だな……。山崎君みたいな子が監察をしているとは。若いとはいえ、こういうのは心身共疲労する。今日は何が何でも休んでもらうとしよう)
山崎「は、はい!よ、喜んで!」
  (これから此処では山南様と一緒にいられる……辛い看病でも耐えられる……!)
山南「では、今日は私が看るとしよう。行きなさい。明日からまた、頼むよ」
  (少しでも山崎君の負担が軽減出来ればいいのだが……。これほど辛い仕事もあるまいて……)
山崎「は、はい!わ、わかりました」
  (感謝します……。山南様……)

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...