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※第二部 建白書  心の内編

第二話 2  

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医師(顔色が変わったわ……。やはりな……)
  「すまないね、君を責めたりはしていないんだ。君はよくやったよ、感謝する」  

   頭を下げる

   (どうやら此奴は責任を背負い過ぎのようだ。生死をさ迷うような傷口では致し方ないというのに……)
山崎「い、いえ……そんな」
  (そんな事ない……そんな事な……そんな事……!)

   下を向いて何度も頭を振る

  (頭を下げられるような、何一つ俺はしていない。でも……いいのか?もしかして俺でも……認められている?こんな俺でも必要とされている?)
医師「謙遜しなくてもいい。もっと自分を誇りなさい。では、私は私の使命をしなくては……ね。君、名は何と言うんだったかい?」
山崎「……山崎です……山崎丞」
  (誇っていいんだ……。こんな俺でも役に立つんだ。必要以上に闘えなくても、俺なりに新撰組の中で役立てられてるんだ……。もっと……精進しないと……)
医師「山崎君だね?覚えておくよ……山崎君、此処の局長を呼んできてもらえるかい?直接言うしかあるまい」
  (解りやすい指南書でも探してみて此奴に渡すか……。先が楽しみだ)
山崎「……。わかりました」
  (どうするんだろう……?嫌な予感がする。気のせいであって欲しいけど……)

  山崎が立ち去った後   

安藤「せ、先生……。新田は……新田の……容態は?」
  (俺の前で斬られたんだ……どうか……無事で……あって……くれ)
医師「君の隣で寝て居るのが新田君かい?」
安藤「え、ええ……」
医師(仲がよかったのか、或いは同じ所属かもしれない)
  「隠していても仕方がないからはっきり言うよ。彼は……たぶん、長くはないよ……。残念だがね」
  (これだけの手負い傷で未だ生存している方が奇跡に近いといえるのに……二人とも並々ならぬ精神力の持ち主だ。流石、池田屋に踏み込んだ新撰組と云うべきか?この痛みでは失神しても致し方あるまいというのに……)
安藤「そ、それなら……」
  (苦しまずに……死なせてやって欲しい……そう思うのは……俺の我が儘……なのだろうか?)
新田「あ、安藤さ……」
  (い、いいんです……、なにも、いわなくても……)

  首さえ動かすことも叶わず

安藤「に、新田……」

  少しだけ新田の方に顔を向ける。
  それが安藤の動かせる限界であった。

新田「い、いいん……です……」
  (わかって……ます……でも、でも……俺は……)
安藤「せ、せめて……楽にしてやっ……」
  (つ……辛いのは……新田……お前なのに……。痛みで苦しむ……新田の……新田の声を……聞くのが…………許せ……)
新田「先生……。俺……最後まで……生にしがみ……つき、ます……。だから、よ、よろしく……お願い……しても……いいで、すか」
  (焼けるよう……な、痛み……望めないかも……しれ……ない……未来、しかし……死なずに、ここまで……ここまで戻って……来れ、た……。たとえ……一縷の光を……求めて叶うな……ら、生きて……もう一度、もう一度だけ……でも…………)
医師「わかった……。出来る限りのことはしよう……。約束する。君は安藤君だね?君も新田君とそう変わらないよ」
  (二人ともこれほどの気力を持ち合わせているとは……なんという精神力……。それでもこの手負い、痛み止も気休めにもならぬ……かもしれないというのに……)
安藤「承知……した……。よろしく……た、頼んます……」
  (俺も……死期が近いという……のか……。痛みで感覚が……からだが、狂いそうだ。俺でさえ、こうだというのに……新田は……それ以上の苦しみか……?)
医師「ああ、もういいから、ゆっくり休みなさい」
  (ゆっくり休めるような状況ではあるまい。気休めにもならぬ言葉しか、かけられぬとは……。少しでも、少しでも何とかせねば……何とか……。冷静に対処出来るのか?これを見た私に……)  

   医師は席を立ってその場から離れる……
   山崎を待つことなく歩き出す……

   途中で近藤・山崎と出会す……

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