恵と凛の妄想幕末２ とある事件

第二部 建白書

第十七話 ３ 了

山南「任せられない……か。新さんは熱いからね。でも、よく此処まで冷静に判断している。流石だね」
齊藤「わかっていらっしゃるのですね……」
山南「長く共に居たんだからね。…………ああ、失いたくはないんだ。……残される身、か……」
齊藤「未だそうと決まった訳では御座いませぬ！此処は私奴わたくしめを信じてどうか堪えて頂きたい」
山南「……。あい、承知した。もう一度聞くが、署名は……いけないんだね？」
齊藤「心苦しいのは重々承知の上、無理をいい申し訳御座いません」
山南「出来上がった訴状はどうすればよい？」
齊藤「私が直に此処へ取りに行きたいところですが、隊務の関係上時間が作れるかどうか皆目検討がつきません。もし、私が取りに来られない場合、気心知れた隊士に此処へ取りに来させます。……それで宜しいでしょうか？」
山南「承知した。早速、認めるとしよう」
齊藤「有難う御座います」

　　　それからひととき後　　屯所内廊下

永倉「一、早いな……稽古か？」
齊藤「まぁ……そんなところです。一汗……如何です？」

永倉「ほぉー……、一とは久々じゃのう。そうじゃな、手合わせ願おうか」

永倉「一、来い！」


第十七話　了