恵と凛の妄想幕末２ とある事件

第二部 建白書

第十三話 １ 屯所内

　新撰組内での不穏な空気が流れる中、副長の土方・復帰した沖田・井上らの旧試衛館門下生等が沈静化に努める。
　だが、実質的にその場を納めたのは二番隊隊長の永倉の一声だが、その訳さえ誰も知らず、この状況が起こった事は屯所に殆ど居なかった局長の近藤だけが何一つ気付くことはなかった……。

　　　屯所内にて

近藤「井上さん、ちょっといいかい？」
井上「ああ、近藤さんですか。お久しぶりです。私に何かご用でしょうか？」
近藤「いつもよくやってくれていて感謝してる。井上さんが隊長だから荒ぶってる奴等も言うことを聞くし、頼りにしてる」
井上「滅相も御座いません。日々、任された隊務を忠実に全うする……それが私の努めですから」
近藤「ありがとう。ところで、急な話ではないのだが、隊長が一人居なくなったのでこの際だから隊の編成をするつもりなのだが……井上さんには三番隊隊長から外れて欲しい」
井上「え?!」
近藤「隊長を降りてもらう訳ではない。番号が変わるだけだ。隊長にしたい者が数名いてな……。まだ先の事になるが聞き入れてくれ」
井上「私が……何か、不手際を？」
近藤「そうではない。重く考えないでくれるか？ただ、序列をもっと徹底しようと思ってな。悪いが三番隊隊長は一に任せて俺の直属にしたいのだ。直属が十番隊みたいなことでも困る。総司と新八は動かせぬ。聞き入れてくれるな？」
井上「わかり……ました」
近藤「ということだ。引き留めてすまなかったな、任務に戻ってくれ。話は以上だ」