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女人禁制の☆あみだん☆開始!
91 宣戦布告 11 ★神崎川side
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「くそっ!」
悔しさを、拳を地面に叩きつける。
俺はボールを追い、手も足も出ずに這いつくばっていた。
「あと一球だぞ」
「わかってます!」
俺は泥だらけの中、ゆっくりと起き上がった。
そうじゃない。ゆっくりとしか起き上がれなかった。
体も心もズタズタだ。
俺は舐めきっていた。
顧問を……サッカーを……。
「最後だから、ど真ん中に蹴ってやる。それぐらい防げよ。防いだら……考えてやってもいい」
「は、はい!お願いします」
さすがにど真ん中なら止められる筈だ。
十球中九球も外した。手に触れることも出来ずにいた。
始まる前、この決闘を知った村瀬キャプテンは鼻で笑った。
「神崎川、なんて無謀なことを持ちかけたんだ?顧問はサッカープロ級だよ?ゴールキーパーしたいからって……十球中一球取れても奇跡だよ」
全部は無理でも半分は大丈夫だと思ってた。弾けばいい、決めさせなければ余裕だと……そう楽観視してた。
折れた心を鞭打って、意地でも最後は阻止したい……。
その強い気持ちで立ち上がれた。
構える。
ど真ん中だ。弾く訳がない。
絶対に止められる!
「蹴るぞ」
その言葉が開始の合図。
数歩動いて一気に蹴る。
ぐはっ……
速さと鋭さが際だったボールが俺の体の芯に突き刺さるように飛んでくる。
グローブ越しなのに強くて重い。摩擦が止まらない。
体全体で止めようとしているのに、両足の踏ん張りが利かない。
ボールは何とか体ごと止められた……が。
「ライン入ってるから。神崎川、お前の敗けだ」
下を向きゴールラインの中に両足が入っているのを目にする。
敗けた?
淡々とした様子で顧問は村瀬キャプテンに練習メニューを伝えて職員室へ戻っていった。
呆然として項垂れている俺に村瀬キャプテンは肩に手を置いた。
「今日はあれだったら休んでもいいよ。どうする?」
「いえ……大丈夫です。ご迷惑お掛けしました……」
「FWとして期待してるからね」
「……はい」
俺は下を向くのをやめて部員と合流して一緒に練習を開始した。
もう、これ以上我が儘はいえない。
翔琉は俺のこと、どう思うだろう?
ゴールキーパーになれなかった俺なんか、興味なくすかもな……。
それだけが気がかりだった。
そんな気持ちでゴールキーキーパーをしたいと思ったことがそもそもの間違いだということに俺は全く気がつかずにいた。
ゴールキーパーを諦めるしかなかった俺にとって、サッカーなんかどうでもいいような部活になった。
悔しさを、拳を地面に叩きつける。
俺はボールを追い、手も足も出ずに這いつくばっていた。
「あと一球だぞ」
「わかってます!」
俺は泥だらけの中、ゆっくりと起き上がった。
そうじゃない。ゆっくりとしか起き上がれなかった。
体も心もズタズタだ。
俺は舐めきっていた。
顧問を……サッカーを……。
「最後だから、ど真ん中に蹴ってやる。それぐらい防げよ。防いだら……考えてやってもいい」
「は、はい!お願いします」
さすがにど真ん中なら止められる筈だ。
十球中九球も外した。手に触れることも出来ずにいた。
始まる前、この決闘を知った村瀬キャプテンは鼻で笑った。
「神崎川、なんて無謀なことを持ちかけたんだ?顧問はサッカープロ級だよ?ゴールキーパーしたいからって……十球中一球取れても奇跡だよ」
全部は無理でも半分は大丈夫だと思ってた。弾けばいい、決めさせなければ余裕だと……そう楽観視してた。
折れた心を鞭打って、意地でも最後は阻止したい……。
その強い気持ちで立ち上がれた。
構える。
ど真ん中だ。弾く訳がない。
絶対に止められる!
「蹴るぞ」
その言葉が開始の合図。
数歩動いて一気に蹴る。
ぐはっ……
速さと鋭さが際だったボールが俺の体の芯に突き刺さるように飛んでくる。
グローブ越しなのに強くて重い。摩擦が止まらない。
体全体で止めようとしているのに、両足の踏ん張りが利かない。
ボールは何とか体ごと止められた……が。
「ライン入ってるから。神崎川、お前の敗けだ」
下を向きゴールラインの中に両足が入っているのを目にする。
敗けた?
淡々とした様子で顧問は村瀬キャプテンに練習メニューを伝えて職員室へ戻っていった。
呆然として項垂れている俺に村瀬キャプテンは肩に手を置いた。
「今日はあれだったら休んでもいいよ。どうする?」
「いえ……大丈夫です。ご迷惑お掛けしました……」
「FWとして期待してるからね」
「……はい」
俺は下を向くのをやめて部員と合流して一緒に練習を開始した。
もう、これ以上我が儘はいえない。
翔琉は俺のこと、どう思うだろう?
ゴールキーパーになれなかった俺なんか、興味なくすかもな……。
それだけが気がかりだった。
そんな気持ちでゴールキーキーパーをしたいと思ったことがそもそもの間違いだということに俺は全く気がつかずにいた。
ゴールキーパーを諦めるしかなかった俺にとって、サッカーなんかどうでもいいような部活になった。
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