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女人禁制の☆あみだん☆開始!
80 宣戦布告 1
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あの後、智さんは細い裏道を通ったりいろんな所を曲がりながら俺を連れて歩いた。
かなりの寄り道をしたというのは時間の経過でわかった。
三十分で駅に到着すると言っていたのに軽く一時間は越えていた。
きっとわざと横道に逸れて歩いたのだろう。
歩いている最中はずっと肩に手があった。
サッカーの話、対戦相手の学校の話からここら辺の道を知っている理由なんかも教えてくれた。サッカー部の前の先輩たちとはとても仲がよかったとわかるエピソードなんかもちょっぴり教えてくれたりもした。
駅に到着すると智さんはトイレで制服に着替えた。練習の時は制服で学校に行くのが常識らしい。
着替えた智さんと一緒にいる俺は私服なので一緒にいると浮きそうなんだけどって躊躇するのを気にもせず俺の手首を掴む智さん。
俺を気遣ってなのかどうかはわからないけど、手を握ったりはして来ない。
「自販機でいい?」
駅の中にある自販機コーナーで炭酸飲料を購入するのを見て俺も同じものを購入した。
一時間以上歩いたので喉を潤したかった。
炭酸を求めたのは中学時代の部活帰りの名残のようなものだろうか。
智さんがプルタブを開けるとジュワっという音がする。まさしく炭酸飲料ならではの音だ。体が欲するかのようにゴクゴクと飲んでいく。
俺もそれに習った。
飲み干した智さんは空き缶を自販機の隣にあるゴミ箱に捨て、何でもないように自販機を眺めて呟いた。
「本当は……どっかカフェなんかによってさ、翔琉の顔を見ながらケーキでも食べたりしたかったんだけど……」
顔を俺に向けて笑う笑顔が寂しそうに見えるのは何故なんだろう?
「自販機で我慢することにしたよ。今日、試合観てくれただけでも嬉しかったし……」
俺、智さんだけを見てたんじゃあないよ……。
そんな言葉が思わず出そうになってしまう。
そんなこと、できる筈もない、知っている。
言ってはいけない言葉だと。
「帰ろっか?途中までなら電車、一緒に乗れるでしょ?」
「はい……。ごめんなさい……」
「謝らないでくれる?傷つくから、でも……」
傷つくわけ……ない……。
傷ついてたら……そんなことしないよね?
人通りがあるのを気にすることなく智さんは、印の場所に触れるだけのキスをして来た。
戸惑う俺の気持ちも態度もお構いなしに。
ここだけは智さんに譲った場所だから……嫌がる権利は俺にはない。
そういう『契約』を交わしたようなものだから。
あまりにも自然な流れだったのか、誰も俺たちに振り向かない。
「本当は、ここにしたいんだけど……」
人差し指が俺の唇に触れる。
「いつかはもらうから。いつかはね!」
智さんは不適な笑みを浮かべて先程と同じように俺の手首を掴んで歩き出した。
かなりの寄り道をしたというのは時間の経過でわかった。
三十分で駅に到着すると言っていたのに軽く一時間は越えていた。
きっとわざと横道に逸れて歩いたのだろう。
歩いている最中はずっと肩に手があった。
サッカーの話、対戦相手の学校の話からここら辺の道を知っている理由なんかも教えてくれた。サッカー部の前の先輩たちとはとても仲がよかったとわかるエピソードなんかもちょっぴり教えてくれたりもした。
駅に到着すると智さんはトイレで制服に着替えた。練習の時は制服で学校に行くのが常識らしい。
着替えた智さんと一緒にいる俺は私服なので一緒にいると浮きそうなんだけどって躊躇するのを気にもせず俺の手首を掴む智さん。
俺を気遣ってなのかどうかはわからないけど、手を握ったりはして来ない。
「自販機でいい?」
駅の中にある自販機コーナーで炭酸飲料を購入するのを見て俺も同じものを購入した。
一時間以上歩いたので喉を潤したかった。
炭酸を求めたのは中学時代の部活帰りの名残のようなものだろうか。
智さんがプルタブを開けるとジュワっという音がする。まさしく炭酸飲料ならではの音だ。体が欲するかのようにゴクゴクと飲んでいく。
俺もそれに習った。
飲み干した智さんは空き缶を自販機の隣にあるゴミ箱に捨て、何でもないように自販機を眺めて呟いた。
「本当は……どっかカフェなんかによってさ、翔琉の顔を見ながらケーキでも食べたりしたかったんだけど……」
顔を俺に向けて笑う笑顔が寂しそうに見えるのは何故なんだろう?
「自販機で我慢することにしたよ。今日、試合観てくれただけでも嬉しかったし……」
俺、智さんだけを見てたんじゃあないよ……。
そんな言葉が思わず出そうになってしまう。
そんなこと、できる筈もない、知っている。
言ってはいけない言葉だと。
「帰ろっか?途中までなら電車、一緒に乗れるでしょ?」
「はい……。ごめんなさい……」
「謝らないでくれる?傷つくから、でも……」
傷つくわけ……ない……。
傷ついてたら……そんなことしないよね?
人通りがあるのを気にすることなく智さんは、印の場所に触れるだけのキスをして来た。
戸惑う俺の気持ちも態度もお構いなしに。
ここだけは智さんに譲った場所だから……嫌がる権利は俺にはない。
そういう『契約』を交わしたようなものだから。
あまりにも自然な流れだったのか、誰も俺たちに振り向かない。
「本当は、ここにしたいんだけど……」
人差し指が俺の唇に触れる。
「いつかはもらうから。いつかはね!」
智さんは不適な笑みを浮かべて先程と同じように俺の手首を掴んで歩き出した。
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