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女人禁制の☆あみだん☆開始!
73 練習試合のあとで…… 1
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「翔琉ー!」
明るい聞きなれた声にからだ全体がビクッとした。思わずつんのめりになりそうなのを何とか堪えた。
サッカーの練習試合を観に来ていることを智さんには伝えてないし、見られるような場所で観戦してない。
恐る恐る声の方を向く。
私服を見せるのは初めてだし、帽子を深く被っているのにどうして俺だとわかったのだろう?
「え?智さん?」
俺は智さんに見つかったことに慌てふためいた。
そんな俺の気持ちなんかお構いなしに俺の傍まで駆け寄ってくる。智さんはユニフォームのままだ。着替える時間を惜しんでまで俺の方まで急いで来てくれたのだろう。
大きなスポーツバックを左肩にかけてる。そこにはきっと制服やシューズとかが入っているのだろう。
俺の目の前で足を止めてゼーゼーする息を整えるように智さんは胸に手を当てた。ユニフォームが所々汗ばんでいる。
男の独特の汗のにおいがする。
それはきっと試合で戦った智さんの名誉の証だろう。
「来てたんだね……」
嬉しそうな声なのは顔を見なくてもわかる。
数日のつきあいでも感じるものは確かにある。
智さんが俺を好きだってこと……。
「あ、……はい」
返事する声がぎこちないのがバレてると思う。
でも、それを隠したってなんの意味があるのだろう?
見つかった時点で……アウトだ。
「僕に黙ってたからって気にしなくていいから、ね?」
「はい……」
いつになく優しい言葉をかけてくれる。
気を使ってくれてるのがわかるだけに申し訳なく思うから智さんの目を見られずに地面に視線を向けてしまう。
俺が誰を観に来たのかなんてわかっているのに言わずにいてくれるのは……どうしてなのだろう?
「バス停にいるってことは、バスに乗って帰るつもりかい?」
「ええ、そうですけど……」
声のトーンが不思議そうだ。
駅からバスに乗ってこの高校へ来るのが当たり前だと思っていたんだけど、違っていたのだろうか?
「バスを使わなくても三十分ほど歩けば駅に着けるんだよ。もうじき観戦者もバスに乗ってくる。一緒に行こう!ほら!」
智さんが俺の手首を掴んで歩き出す。
知らなかった。
三十分ほどなら歩いただろうか?
いつもの俺だったら歩いていただろうな……。
でも時間が時間だったし、はっきりした場所を知らなかった俺はやっぱりバスを頼っただろう。
無理矢理ではなく、智さんの歩調に合わせて智さんの後ろをついて歩いた。その歩調は少しゆっくりめだ。
俺の掴まれた手首はちょっと汗を感じるし少し温かい。
「翔琉……」
バス停が見えなくなるまで歩いてから見計らったように声を小さめに智さんが俺に話しかけた。
「翔琉、気付いてない?翔琉は泣きそうな顔をしてたよ……」
その言葉に動揺して、歩を止めてしまった。
智さんもそれにつられて歩くのをやめる。
くるっと後ろを向いて俺の目を真っ直ぐ見る。
俺の気持ちまで射抜くように。
「彼女……気になったんだろ?」
智さんが掴む手に力を込めてくるのを払うことも出来ず俺は智さんの目から逸らせないでいた。
智さんは何処まで知っているのだろう?
俺は言葉を失って……顔を、からださえも固めてしまった。
明るい聞きなれた声にからだ全体がビクッとした。思わずつんのめりになりそうなのを何とか堪えた。
サッカーの練習試合を観に来ていることを智さんには伝えてないし、見られるような場所で観戦してない。
恐る恐る声の方を向く。
私服を見せるのは初めてだし、帽子を深く被っているのにどうして俺だとわかったのだろう?
「え?智さん?」
俺は智さんに見つかったことに慌てふためいた。
そんな俺の気持ちなんかお構いなしに俺の傍まで駆け寄ってくる。智さんはユニフォームのままだ。着替える時間を惜しんでまで俺の方まで急いで来てくれたのだろう。
大きなスポーツバックを左肩にかけてる。そこにはきっと制服やシューズとかが入っているのだろう。
俺の目の前で足を止めてゼーゼーする息を整えるように智さんは胸に手を当てた。ユニフォームが所々汗ばんでいる。
男の独特の汗のにおいがする。
それはきっと試合で戦った智さんの名誉の証だろう。
「来てたんだね……」
嬉しそうな声なのは顔を見なくてもわかる。
数日のつきあいでも感じるものは確かにある。
智さんが俺を好きだってこと……。
「あ、……はい」
返事する声がぎこちないのがバレてると思う。
でも、それを隠したってなんの意味があるのだろう?
見つかった時点で……アウトだ。
「僕に黙ってたからって気にしなくていいから、ね?」
「はい……」
いつになく優しい言葉をかけてくれる。
気を使ってくれてるのがわかるだけに申し訳なく思うから智さんの目を見られずに地面に視線を向けてしまう。
俺が誰を観に来たのかなんてわかっているのに言わずにいてくれるのは……どうしてなのだろう?
「バス停にいるってことは、バスに乗って帰るつもりかい?」
「ええ、そうですけど……」
声のトーンが不思議そうだ。
駅からバスに乗ってこの高校へ来るのが当たり前だと思っていたんだけど、違っていたのだろうか?
「バスを使わなくても三十分ほど歩けば駅に着けるんだよ。もうじき観戦者もバスに乗ってくる。一緒に行こう!ほら!」
智さんが俺の手首を掴んで歩き出す。
知らなかった。
三十分ほどなら歩いただろうか?
いつもの俺だったら歩いていただろうな……。
でも時間が時間だったし、はっきりした場所を知らなかった俺はやっぱりバスを頼っただろう。
無理矢理ではなく、智さんの歩調に合わせて智さんの後ろをついて歩いた。その歩調は少しゆっくりめだ。
俺の掴まれた手首はちょっと汗を感じるし少し温かい。
「翔琉……」
バス停が見えなくなるまで歩いてから見計らったように声を小さめに智さんが俺に話しかけた。
「翔琉、気付いてない?翔琉は泣きそうな顔をしてたよ……」
その言葉に動揺して、歩を止めてしまった。
智さんもそれにつられて歩くのをやめる。
くるっと後ろを向いて俺の目を真っ直ぐ見る。
俺の気持ちまで射抜くように。
「彼女……気になったんだろ?」
智さんが掴む手に力を込めてくるのを払うことも出来ず俺は智さんの目から逸らせないでいた。
智さんは何処まで知っているのだろう?
俺は言葉を失って……顔を、からださえも固めてしまった。
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