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女人禁制の☆あみだん☆開始!
58 ショッピング? 3
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和紙の物色を終えた女性客たちがこちらの方へ歩いてきた。
「あら、いい男!」
「君たちは手芸をするの?」
「学生さん達かしら?」
口々に話し出す女性客に俺は焦って言葉を詰まらすが、二人は慣れたかのように相手をする。
「お嬢様方、僕たちは高校生ですよ」
どうみてもお嬢様じゃないよね?
歯の浮く台詞を事も無げに醸し出すのは校内ナンバーワンの男で生徒会長も兼ねている正真正銘の編み物同好会の部員である戸神先輩。
「俺たち編み物クラブなんですよー。ねえねえお姉さん方、ここ以外でいいとこ知らないですか?」
どうみても声を掛けてきてるのは若い女性じゃないよね?
二人とも女性の扱いに手慣れ過ぎじゃないかな?
それともこれが普通なの?
俺が無知ってこと?
でも……初対面だよね?
田岡先輩が問いかけてたことに答えたのは後ろにいた若い女性の方だった。
「えっとね……隣町のちょっと大きめの普通のスーパーの二階が編み物関係の商品の品揃えがいいと思うわ。そこのスーパーは手芸用品に力を入れてるの。たぶん、小・中学校が近くにあるからじゃないかな?私もそこではよくお世話になってるの」
うわぁ!
馴染みの手芸屋さん以外でも品揃えが豊富なお店があるんだ。
俺の目はたぶんキラッキラに輝いていたのだろう。
「そんなに編み物が好きなの?」
この言葉は俺に言っているみたいだ。
だって彼女の目がまっすぐ俺を見ていたから。
戸神先輩と田岡先輩は年配の女性三人に掴まったらしく楽し気に?会話を続けている。
「あ、はい……」
「DKたちで編み物かぁ……。数年前なら一時ブームだったんだけどなぁ。じゃあ、頑張ってね」
「あ、ありがとう……ございます……」
手を振って彼女は年配女性を掴まえてその場から立ち去っていった。
年配の女性達は先輩達のと憩い惜しみつつ連れ去られた状態だ。
さすがだ。
先輩達は見た目だけじゃない。ハイスペックなのは全身から溢れ出ているのだろう。
ポツンと立っている俺は、なんか、なんというのか、自分が言葉にした「ありがとう」が変に思えて居心地が悪かった。
「どした?」
田岡先輩が俺の肩に腕を回して聞いてきた。
なにか心配事でもあるのだろうか?
「え?」
「『え?』じゃねーよ。放心してただろ?なんか言われたのか?あの化粧婆ぁに」
「『化粧婆ぁ』?」
田岡先輩って口は悪いけどどうやら気にかけてくれてるみたいだ。
そんなにあからさまにわかる状態だったってことかな?
「婆ぁさんたちもだが、あの女も大概だな。厚化粧してただろ?」
厚化粧って何だろう?
いわれてみれば……化粧と香水が混ざったような臭いはしてたけど。
女性ってそういうのもだと思ってたからどうとも思わないんだけど。
もちろん化粧の臭いは……好きじゃない。
身近にいる女性は母だけだし母の化粧って液体のなにかを顔に薄く塗った後口紅をつけるだけ。
あまり代わり映えしないけど仕事へ行くのにはしないよりかはいいらしい。
「そんなの、どうだっていいよ。なにか収穫あった?」
俺がなにも答えないでいたから助け船を出してくれたのだろうか?
戸神先輩の言葉であのとき教えてもらったことを思い出した。
「隣町のスーパーの二階にあるらしいです」
「隣町って……何処だ?」
田岡先輩の言葉に我に返った。
どこの隣町かなんか……俺、聞いてないんですけど?
「あら、いい男!」
「君たちは手芸をするの?」
「学生さん達かしら?」
口々に話し出す女性客に俺は焦って言葉を詰まらすが、二人は慣れたかのように相手をする。
「お嬢様方、僕たちは高校生ですよ」
どうみてもお嬢様じゃないよね?
歯の浮く台詞を事も無げに醸し出すのは校内ナンバーワンの男で生徒会長も兼ねている正真正銘の編み物同好会の部員である戸神先輩。
「俺たち編み物クラブなんですよー。ねえねえお姉さん方、ここ以外でいいとこ知らないですか?」
どうみても声を掛けてきてるのは若い女性じゃないよね?
二人とも女性の扱いに手慣れ過ぎじゃないかな?
それともこれが普通なの?
俺が無知ってこと?
でも……初対面だよね?
田岡先輩が問いかけてたことに答えたのは後ろにいた若い女性の方だった。
「えっとね……隣町のちょっと大きめの普通のスーパーの二階が編み物関係の商品の品揃えがいいと思うわ。そこのスーパーは手芸用品に力を入れてるの。たぶん、小・中学校が近くにあるからじゃないかな?私もそこではよくお世話になってるの」
うわぁ!
馴染みの手芸屋さん以外でも品揃えが豊富なお店があるんだ。
俺の目はたぶんキラッキラに輝いていたのだろう。
「そんなに編み物が好きなの?」
この言葉は俺に言っているみたいだ。
だって彼女の目がまっすぐ俺を見ていたから。
戸神先輩と田岡先輩は年配の女性三人に掴まったらしく楽し気に?会話を続けている。
「あ、はい……」
「DKたちで編み物かぁ……。数年前なら一時ブームだったんだけどなぁ。じゃあ、頑張ってね」
「あ、ありがとう……ございます……」
手を振って彼女は年配女性を掴まえてその場から立ち去っていった。
年配の女性達は先輩達のと憩い惜しみつつ連れ去られた状態だ。
さすがだ。
先輩達は見た目だけじゃない。ハイスペックなのは全身から溢れ出ているのだろう。
ポツンと立っている俺は、なんか、なんというのか、自分が言葉にした「ありがとう」が変に思えて居心地が悪かった。
「どした?」
田岡先輩が俺の肩に腕を回して聞いてきた。
なにか心配事でもあるのだろうか?
「え?」
「『え?』じゃねーよ。放心してただろ?なんか言われたのか?あの化粧婆ぁに」
「『化粧婆ぁ』?」
田岡先輩って口は悪いけどどうやら気にかけてくれてるみたいだ。
そんなにあからさまにわかる状態だったってことかな?
「婆ぁさんたちもだが、あの女も大概だな。厚化粧してただろ?」
厚化粧って何だろう?
いわれてみれば……化粧と香水が混ざったような臭いはしてたけど。
女性ってそういうのもだと思ってたからどうとも思わないんだけど。
もちろん化粧の臭いは……好きじゃない。
身近にいる女性は母だけだし母の化粧って液体のなにかを顔に薄く塗った後口紅をつけるだけ。
あまり代わり映えしないけど仕事へ行くのにはしないよりかはいいらしい。
「そんなの、どうだっていいよ。なにか収穫あった?」
俺がなにも答えないでいたから助け船を出してくれたのだろうか?
戸神先輩の言葉であのとき教えてもらったことを思い出した。
「隣町のスーパーの二階にあるらしいです」
「隣町って……何処だ?」
田岡先輩の言葉に我に返った。
どこの隣町かなんか……俺、聞いてないんですけど?
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