あみdan

20xx年 初詣……颯汰

　彼女と近所の神社で初詣。
　
　有名な神社でお参りに行こうだなんて我が儘をいうような彼女ではなく、身の丈で自然といられるのが一番だといって笑ってくれる……そんな彼女だから好きになったのだろう。

　俺が初詣なんて……気が気じゃないのを理解してくれつつも、外に連れ出してくれるのだから、本当にありがたい存在。

　俺は……あの日から荒れた。
　
　大好きな俺の兄ちゃんが消えたのだ……。

　両親はなにかを知っている筈なのに、俺がどれ程暴れても口を割らなかった。

　どうして？

　中学時代の兄ちゃんを思い出して兄ちゃんが居たベッドでただただ泣き崩れた。

　そんな日々を１ヶ月も過ごした。
　
　俺は大好きになった剣道を捨て、学校と家の往復しかすることがなくなった。

　そんな投げ遣りな俺に彼女はずっと傍に居てくれた。
　俺のブラコンは筋金入りだということもわかってくれてる。
　
　境内で御詣りすることは……。

　兄ちゃんに逢いたい。
　兄ちゃんの無事を知りたい。

　兄ちゃんが泣いていない事を……

　切に望む。

　俺は、兄ちゃんが元気だったらなにも望まない。
　傍にいたいけど我慢するから……！

　兄ちゃん……何処にいるの？

　どうか神様！それだけでいいから……

　教えてください……ませ。


　いつもならせいぜいよくても十円しか賽銭箱に入れない俺。
　今日は奮発して真新しい折り目がない千円札をそっと入れた。

　願いと共に……