あみdan

女人禁制の☆あみだん☆開始！

33 自己紹介 10

　それよりも気になることがあったのに、完全に田岡さんの言葉でスルーされてるので無理矢理引き戻すことにした。

「戸神さん、あ、あの……ニットデザイナーって？！」

「ん？知らないの？那瑠樹ん家ファッションデザイナーやってんの」

　田岡さんが質問に答えてくれるみたいだ。

「とがみとがみとがみ……」

　その言葉を聞いて念仏のように突然相沢君が唱え出した。

　答を導き出す前に簡単に名塚君が言い当てた。

「ＴＯＧＡＭＩブランドでしょ？若者向けの一部で熱狂的なファンがいるという……違ってたかな？」

「あー！それそれ！ちょっと高額なんだけどすんごくカッケーデザインなんだよな！俺、欲しいのあったもん。流石に手が……でねーけど」

「やっぱ、知ってる人いたんだね。そうだよ。那瑠樹はＴＯＧＡＭＩデザイナーの息子で那瑠樹もデザイナーを目指してんの」

「す……すごい」

　ちょっと興奮気味の朔田君。

　あ……そういうことだったんだ。
　だから俺の行動を把握していろんなことを対処してくれてたってこと……？

「ほ、本当に……いいの？単なる『編み物部』だよ？戸神さんの時間の浪費になったりしない？」

　本格的なデザイナーを目指すのであれば、部活なんかしている暇なんか……ないのではないか？ただでさえ『生徒会会長』の肩書きさえ持っている人物なのだから。

「那瑠樹なら大丈夫だよ。「この学校に『編み物部』が出来そう」だって「それも男だけの編み物部だぜ？」って喜んでいたのは那瑠樹本人だったし……な！そうだろ？」

「いうな……」

　戸神さんが田岡さんを軽く小突きながら顔をしかめている。
　それを笑顔でなんなく受け入れてる……そんな二人が何故か微笑ましかった。

　どうやら……戸神さん本人が何も言わないのはちょっと照れているからなのかもしれないって……田岡さんとのやり取りを見てそう感じた。