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『編み物男子部』?ができるまで。
203 ★火花散らす 6
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アイツ……村瀬キャプテンは翔琉から俺のだった袋をもらって今度は翔琉の前髪を掻き分けておでこにキスをして俺の方へ向かって歩いて来やがった。
俺は笑顔でアイツの顔を見続ける。俺は立ち止まったままだ。
アイツはそれを気にすることもなく、普通に歩いている。
一メートルも離れていないところまで来た。
お互い笑みを浮かべている。その光景は異様だったに違いない。
もちろん、穏やかな笑みではないからだ。
「翔琉は渡さないよ。神崎川」
「翔琉は誰のものでもありませんよ。翔琉が翔琉である限り、誰のものになることなんて……ありえません」
「言ってろ。僕のところに翔琉が来る。それが現実だよ」
「奪い返しに来ますから。首を洗って待っててくださいよ、キャプテン」
「待たないからね」
アイツは鼻で笑ってそのまま部室まで鼻唄を歌いながら歩いていった。
チッ!
俺は舌打ちし、大きく息を吐き気持ちを……アイツとのやり取りをすべて腹に沈めて翔琉の元へ足を動かした。
「よ!」
翔琉はアイツの女子生徒と遠目で挨拶をしてた。
「あ、神崎川。最近着替えるの早くない?」
基本、俺は着替えるのは早い方だがそれよりも早く着替えている自覚はある。理由は言いたくないから素っ気なく言葉を返す。目線は泳がせない。普通にしてなきゃ……バレる。
冷静であれ!俺。
「気のせいだろ?俺、いつもはえーし」
翔琉は俺の隣まで寄って来て一緒に歩き出した。帰るってことはわかっているようだ。
「うん。気のせいかな?うん。でも……」
まだ気になるのかよ……。
「ゆっくりの方がいいってのか?なんか、特別な意味でもあるのかよ」
俺は片目で睨みながら答えを待っている。何を翔琉が言うのかが気になってイライラするのを必死に隠す。
俺は翔琉の前ではいい男でいたいのだ。
翔琉の前でなら……何処までも取り繕ってみせる。
「なにもないよ。智さんのファンたちとお話もう少ししたかったかなって思っただけだから」
お前はその智と云う男と一緒にいただろうが!
アイツのファンとはいなかったよな?
「鳴海はずーっとその智さんとやらのファンと一緒にいたのか?」
「えっ?あ、あの……ごめん……」
俯くようなこと言うんだったら、俺に言わせるようなことを振るんじゃねー
とぼとぼ歩く翔琉を横で見つつ、いつ話し始めるか考えていた。
アイツといたことに罪悪感でもあるのか?
あるのだったら……嬉しいんだが、そうではないだろ?
お前がアイツと一緒にいるって決めたんだ。
ヤった仲なら当然だろう。
朔田の『鳴海君はつきあってないって言ってた』という言葉を信じたいが、事実は……二人はヤった仲なのだ。
一緒にいてもどこもおかしいこともなければ、翔琉に疚しい想いがある筈もない。
俺が……あの二人が一緒にいるって現実が、嫌なだけだ。
歩き始めて校門を出たところで俺は一区切りした。
「いいって。……それより、明日だな。部会……」
「あ、う、うん」
切り替えた話しに翔琉はほんのり頬を赤く染めて頷いた。
俺は笑顔でアイツの顔を見続ける。俺は立ち止まったままだ。
アイツはそれを気にすることもなく、普通に歩いている。
一メートルも離れていないところまで来た。
お互い笑みを浮かべている。その光景は異様だったに違いない。
もちろん、穏やかな笑みではないからだ。
「翔琉は渡さないよ。神崎川」
「翔琉は誰のものでもありませんよ。翔琉が翔琉である限り、誰のものになることなんて……ありえません」
「言ってろ。僕のところに翔琉が来る。それが現実だよ」
「奪い返しに来ますから。首を洗って待っててくださいよ、キャプテン」
「待たないからね」
アイツは鼻で笑ってそのまま部室まで鼻唄を歌いながら歩いていった。
チッ!
俺は舌打ちし、大きく息を吐き気持ちを……アイツとのやり取りをすべて腹に沈めて翔琉の元へ足を動かした。
「よ!」
翔琉はアイツの女子生徒と遠目で挨拶をしてた。
「あ、神崎川。最近着替えるの早くない?」
基本、俺は着替えるのは早い方だがそれよりも早く着替えている自覚はある。理由は言いたくないから素っ気なく言葉を返す。目線は泳がせない。普通にしてなきゃ……バレる。
冷静であれ!俺。
「気のせいだろ?俺、いつもはえーし」
翔琉は俺の隣まで寄って来て一緒に歩き出した。帰るってことはわかっているようだ。
「うん。気のせいかな?うん。でも……」
まだ気になるのかよ……。
「ゆっくりの方がいいってのか?なんか、特別な意味でもあるのかよ」
俺は片目で睨みながら答えを待っている。何を翔琉が言うのかが気になってイライラするのを必死に隠す。
俺は翔琉の前ではいい男でいたいのだ。
翔琉の前でなら……何処までも取り繕ってみせる。
「なにもないよ。智さんのファンたちとお話もう少ししたかったかなって思っただけだから」
お前はその智と云う男と一緒にいただろうが!
アイツのファンとはいなかったよな?
「鳴海はずーっとその智さんとやらのファンと一緒にいたのか?」
「えっ?あ、あの……ごめん……」
俯くようなこと言うんだったら、俺に言わせるようなことを振るんじゃねー
とぼとぼ歩く翔琉を横で見つつ、いつ話し始めるか考えていた。
アイツといたことに罪悪感でもあるのか?
あるのだったら……嬉しいんだが、そうではないだろ?
お前がアイツと一緒にいるって決めたんだ。
ヤった仲なら当然だろう。
朔田の『鳴海君はつきあってないって言ってた』という言葉を信じたいが、事実は……二人はヤった仲なのだ。
一緒にいてもどこもおかしいこともなければ、翔琉に疚しい想いがある筈もない。
俺が……あの二人が一緒にいるって現実が、嫌なだけだ。
歩き始めて校門を出たところで俺は一区切りした。
「いいって。……それより、明日だな。部会……」
「あ、う、うん」
切り替えた話しに翔琉はほんのり頬を赤く染めて頷いた。
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