あみdan

『編み物男子部』？ができるまで。

149 楽しい日曜日 ★神崎川side８

　コンコン！

　颯汰が入っていった部屋のドアをノックする。

「俺だ、入っぞ！」

　ドアノブを回して開き了承もなく中へ入る。

　颯汰はベッドの上でうつ伏せになって泣いているようだった。
　俺は颯汰が寝ているベッドの際に腰を下ろし、颯汰に声をかけた。

「颯汰、こっちに来い。話なら俺が聞いてやっから」

　ピクリと身体が震えた。俺の言葉は聞こえているようだ。
　颯汰は起き上がっておずおずと俺の方に寄ってきた。

「皇帝様……兄ちゃ、ひっく……兄ちゃん……犯され、ひっく……犯されたの？誰、ひっく……誰に、ひっく……ヤられ、ひっく……ちゃった……の？」

　俺は颯汰の肩を抱いて言い聞かせるように語りかけた。

「鳴海は……翔琉は、犯されたりはしてないよ。大丈夫だ。何があっても翔琉は翔琉。颯汰、お前の兄ちゃんは紛れもなく兄ちゃんのままだ。誰に抱かれようがだ」

「や、やっぱり男がいるんだ……抱かれちゃってるんだ……」

　涙がみるみるうちにまた溢れてくる。
　兄をとられてショックなんだろう。
　いずれ来る道なんだ。お前は諦めるしかないんだ。

　俺は颯汰を抱きしめるしかなかった。
　颯汰は甘えたように俺に抱きついてきた。

　お前は兄ちゃんが、翔琉のことが、大好きだったもんな……。
　もし、俺がお前の兄ちゃんを奪っても、お前はこうやって泣くんだろうな……。

　そんなことを思いながら、後輩の颯汰を強く抱きしめた。