あみdan

『編み物男子部』？ができるまで。

137 土曜日デス！帰り道２

　予算は千五百円だけど、軽く越えそうな予感がする。
　五日分のおむすびの具だし、約……五人分だから。
　悩むよ……俺。

　まず向かったのは鮮魚コーナーで鮭の切り身三つ入り一パック。
　ちょうど時期で安かったアサリを二パック。
　頭の中にはアサリと生姜の炊き込みごはんをイメージ。
　たらことちりめん山椒は朔田君が見つけてくれて、その場で中身を見比べながら俺は一パックずつカゴの中に入れた。

「カゴ、持たせろ」

　こういう言い方、ホントじょうちゃんらしいんだよね。
　だけど買うのは俺だし、じょうちゃんの欲しい具を購入する予定はないもん。
　俺はすかさず断ってみた。

「この買い物は神崎川のんじゃないし……気を使わなくていいよ」

　……そう、俺に気を使わないで。

「俺が持ちてーんだ、か・せ！」

　そう言って俺が持っていた買い物カゴを簡単に奪っていった。

　……こういう優しさ、嬉しいけど要らない。
　だって、勘違いしちゃうじゃないか……。
　じょうちゃんの優しさに甘えたいけど、じょうちゃんと俺は『ダチ』でしかないのに。

「ごめん……ありがと……」

　俺は諦めて素直に神崎川の好意を受け入れた。
　困ったような笑顔になったけど、神崎川の顔を見て……そう言えた自分が嬉しかった。